福原遥が朝ドラヒロインを経て変わったことは? 25歳で公開の主演作で特攻隊員に恋をする女子高生に
朝ドラ『舞いあがれ!』でヒロインを演じた福原遥。時空を越えた女子高生が戦時中の特攻隊員に恋をする映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』に主演している。人生についても考えたというこの作品への取り組みと、スター街道を進みながら25歳を迎えた自身の変化についても聞いた。
落ち込んで立ち止まることはなくなりました
――朝ドラ『舞いあがれ!』に出演して、変わったことってありますか?
福原 夢でもありましたし、1年間、同じ役を演じることは初めてで、お芝居でも人としても、いろいろなものを吸収できました。
――ヒロインを経験した方がよく言われるのが、タイトなスケジュールで撮影が連日ある中で、切り替えがうまくなったと。
福原 次から次へと進んでいくので、メンタル的にも強くなれたかなと思います。1回ごとに立ち止まって、落ち込んだりはしなくなったので。そこは成長できました。
――お芝居の面では、どんなことを吸収できました?
福原 1年間やらせていただいて、ここまでやれば自分の気持ちが動くんだとか、発見はすごくあって。他の作品でもまたそこまで行けるように、もっと頑張ろうと思っています。
心がキュッとなったのをそのまま表現できたらと
――戦時中が舞台になる『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』に主演の話が来て、最初は原作の小説を読まれたとか。
福原 そうです。その時代の映像や記事も見させていただきましたけど、私が演じる百合は防空壕跡で目が覚めると、1945年の日本にいたという役なので。現代の女子高生がその状況で感じたままに演じることを意識しました。
――あえて予備知識を付けすぎずに。
福原 原作を読ませていただいて、戦争のことでいろいろな想いは感じましたし、それ以上に特攻隊員の彰と百合が想い合っている姿に、心がキュッと切なくなったり温かくなったりしました。本当に素敵なストーリーで、これを絶対そのまま表現したいなと思いました。
――劇中で「似合ってるね」と言われたもんぺを穿いたのも、初めてですよね?
福原 穿き心地はすごく良かったです。動きやすいし、デザインもかわいらしくて。撮影が終わったあとにいただいて、家で1回だけ着ました(笑)。
モヤモヤして親とぶつかってしまうのはわかります
――百合は「若者がお国のために命を捨てることに何の意味があるの?」などと言ったり、特攻について言い合いになるシーンがありました。
福原 特攻隊員にも見送る側にもそれぞれの想いがあって、私自身も考えさせられました。自分の大切な人の命のことも愛の深さも、ストレートに心に響く作品でした。
――百合は思ったことを率直に口にしていて。
福原 思春期のモヤモヤした気持ちや、何かわからないけどイライラする部分は大事にしたくて。高校生のリアルな葛藤ですよね。百合自身はお母さんにも、あの時代で出会った彰にも、愛がすごく強い女の子なので、その強い心はブレないようにしました。
――お母さんには反抗的でした。そういった思春期のモヤモヤは、遥さん自身も覚えのあるものですか?
福原 親に当たったりすることはなかったですけど、お母さんを大切に思うからこそイライラするのは、すごくわかりました。お父さんが亡くなって働き詰めのお母さんに「なんでそういられるの?」と当たるシーンがあって。これ以上無理をさせたくない。でも、どうしたらいいのかわからずに、ぶつかってしまうのは理解できました。周りの高校生たちを見たり、いとこに話を聞いたりしながら演じました。
――津田寛治さんが演じる警官に食ってかかって、投げ飛ばされるシーンは大変でした?
福原 そうですね。でも、津田さんが本気でぶつかってきてくださったので、私もワーッと行けて、すごく印象的なシーンになりました。
――原作者の汐見夏衛先生が現場にいらしたときに、話をされたそうですが、どんなことを聞いたんですか?
福原 どんな想いで書かれたのか、百合はどんな性格なのか。原作では百合は中学生で、映画では高校生だったので、その違いはあると思いましたけど、いろいろお話しできて安心しました。
涙もろいけど泣くお芝居は難しいです
――出撃を控えた彰に「行かないで」とか、涙を流すシーンもいくつかありました。観ていても泣きそうになりますが、自然に溢れ出た感じでした?
福原 いえ、難しかったです。順撮りでなかったり、時間がなかったりで、悔しいなという部分も多くて。彰役の水上(恒司)さんとも話し合いながら、あのときの全力を出しました。
――『3年A組』などでも、遥さんの涙のシーンは印象に残っています。
福原 でも、泣くお芝居はそんなに得意でなくて……。
――普段は泣くことはあまりないですか?
福原 涙もろいかもしれません。感動して泣くことは多いです。最近だと、バラエティ番組に出させてもらったとき、高校生がダブルダッチをやっている映像を観て泣きました。
――今回は全体的に、考えることの多い撮影でした?
福原 そうですね。想像できない部分も多くて、合っているのかわからないことがあったり。みんな結構悩みながら撮っていたと思います。でも、最初に水上さんと彰と百合の関係性とかいろいろ話し合えたので、心強かったです。
焼肉を白米と食べるのを解禁しました(笑)
――この映画に出演して、人生について考えたこともありました?
福原 今、普通に過ごせているのは当たり前ではなくて、幸せなことなんだなと改めて思いました。1日1日を後悔しないようにていねいに生きる、自分の大切な人たちとの時間を大事にしたいと、すごく感じる作品でした。皆さんにもその想いが、ちょっとでも届いたらいいなと思っています。
――劇中で百合はかき氷を食べて、「幸せの味」と言っていました。遥さんにとって、そういう食べ物はありますか?
福原 焼肉です(笑)。大好きでよく食べます。最近は白米も解禁しました。
――前は肉だけ食べていたんですね。
福原 今はごはんと一緒に肉をタレでいっぱい食べるのが、幸せになっています(笑)。
高校生役は「まだ大丈夫」と励まされて
――遥さんは8月で25歳になりましたが、今回の女子高生役も違和感なく演じられたようですね。
福原 いえ、違和感あります(笑)。現場で「大丈夫かな」と思いながら、みんなに「まだいけるよ」と励まされて頑張っていました(笑)。
――ご自分では大人になった感覚だから?
福原 中身はそのままですけど、見た目的に(撮影当時は)24歳の私が制服を着てどうなるのかと、単純に不安がありました。
――普段の生活は大人モードになっていませんか?
福原 何も変わりません。変わらなすぎます(笑)。でも、オシャレなごはん屋さんに行ったりはするようになりました。
――夜景の見えるフレンチレストランとか?
福原 いやいや(笑)。ちょっとずつコース料理のイタリアンとかを、同世代の友だちと「見てみようか」という感じです。やっぱり焼肉屋さんが多いですね。
作品にどっぷり浸かって自分を磨きたいです
――水上恒司さんは遥さんのことを「とても良い意味で普通の女の子でした」とコメントされています。朝ドラヒロインの国民的女優になっても、そこは変わらない部分ですか?
福原 私は本当に普通ですから。ヒロインみたいに言っていただくのは恥ずかしいです。まだまだ実力不足で、できないことが多いまま、頑張らせていただいているだけなので。
――朝ドラのヒロインまで務めたら、自信は付いたのでは?
福原 その経験をさせていただいたからこそ、これからという感じです。
――では、20代後半はどんなふうに過ごしますか?
福原 まだ人に甘えてしまう部分があるので、ちゃんと地に足を付けて、自立した女性になりたいです。25歳は新たなスタートだと思うので、自分自身と向き合いながら、何をして何を伝えたいか、改めて考えて頑張ります。
――具体的にやりたいこともありますか?
福原 作品に対して、より責任を持って、どっぷり浸かって、自分の力を磨けるようにしたいです。
Profile
福原遥(ふくはら・はるか)
1998年8月28日生まれ、埼玉県出身。
子役としてデビューし、2009年スタートの子ども向け料理番組『クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!』で注目される。主な出演作は、ドラマ『3年A組-今から皆さんは、人質です-』、『ゆるキャン△』、『正直不動産』、『舞いあがれ!』、『18/40~ふたりなら夢も恋も~』、映画『チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~』、『4月の君、スピカ。』、『羊とオオカミの恋と殺人』ほか。アニメ『キラキラ☆プリキュアアラモード』などで声優を務める。12月8日公開の映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』に主演。
『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』
監督/成田洋一 脚本/山浦雅大、成田洋一 原作/汐見夏衛
出演/福原遥、水上恒司、伊藤健太郎、嶋﨑斗亜、上川周作、小野塚勇人、出口夏希、松坂慶子ほか
12月8日より全国公開