ライバル次々と消え、大阪桐蔭独走か? 甲子園は白熱の3回戦へ
夏の甲子園はベスト16が決まり、8強入りを懸けた3回戦8試合が行われる。準々決勝は初日の勝者同士、2日目の勝者同士が当たる。まずこれを念頭に、カード全体を俯瞰していただくと、先を展望しやすいのではないかと察する。
8月15日(1日目)=勝者は準々決勝の第1、第2試合のいずれか
明秀日立(茨城)-仙台育英(宮城)
高松商(香川)-九州国際大付(福岡)
明豊(大分)-愛工大名電(愛知)
近江(滋賀)-海星(長崎)
仙台育英投手陣に挑む明秀
初日に実力校同士の好カードが集中した。第1、第2試合は2回戦からの登場組同士で、それぞれが持ち味を発揮して初戦を突破した。明秀は、多彩な投手陣を誇る仙台育英をどこまで攻められるか。初戦で5投手が「試運転」できたこともあり、仙台育英の須江航監督(39)も調子の見極めはできているだろう。明秀はエース・猪俣駿太(3年)の踏ん張りがポイントになる。九州国際大付は、エース・香西一希(3年)が復活。浅野翔吾(3年=主将)ら、強打の高松商を、得意の緩急でかわしたい。
近江と海星は投手戦か
第3試合は、複数投手を巧みに使い分ける明豊と打線好調の名電が激突。名電はエース・有馬伽久(3年=主将)に疲れが見える。明豊の投手交代機につけ込んで、岩瀬法樹(3年)、4番打者の山田空暉(3年)ら救援陣に、いい形でバトンを渡したい。近江と海星は投手戦か。今大会ナンバーワンの山田陽翔(3年=主将)が大車輪の活躍を見せる近江は、打線も好機に強い。海星はエース・宮原明弥(3年)が先発か。球威、制球力とも申し分なく、見ごたえのある投げ合いになりそうだ。
16日(2日目)=勝者は準々決勝の第3、第4試合のいずれか
下関国際(山口)-浜田(島根)
九州学院(熊本)-国学院栃木
敦賀気比(福井)-聖光学院(福島)
二松学舎大付(東東京)-大阪桐蔭
投打噛み合う国学院栃木
下関国際は昨春センバツ経験者を多く擁し、安定した試合運びで富島(宮崎)に快勝した。浜田は波田瑛介(2年)ら投手陣が、ムダな四球を減らし、しっかり守りたい。初戦で19安打を放った九州学院は、智弁和歌山を抑えた国学院栃木の投手陣を打ち崩せるか。エース・盛永智也(2年)を先発させるか、その起用法が焦点の国学院栃木は、4番・平井悠馬(3年=主将)、6番・長田悠也(2年)が勝負強く、投打がうまく噛み合っている。
大阪桐蔭はエース・前田が万全
エース・上加世田頼希(3年)が打たれながらも打線が力強く援護している気比は、聖光の投手陣からは大量点は見込めないだろう。救援で結果を残している左腕・清野仁楽(3年)の早期登板も考えられる。聖光は、横浜(神奈川)戦完投のエース・佐山未来(3年)を救援待機させ、左腕・小林剛介(3年)が先発か。大阪桐蔭は聖望学園(埼玉)との2回戦で、エース・前田悠伍(2年=タイトル写真)が今大会初先発。大差がついたため5回で後続にマウンドを譲ったが、内野安打を1本許しただけで、9奪三振無失点と万全の仕上がりだった。前田は先発、救援を問わない万能型なので、西谷浩一監督(52)も安堵しただろう。相手の二松学舎大付は、社(兵庫)の猛追にあって、球場の雰囲気にのまれかけたが、辛くも振り切った。エース左腕の辻大雅(3年)が粘り強く投げて、競り合いに持ち込みたい。
近江と大阪桐蔭が当たるとすれば最短でも準決勝
大阪桐蔭のライバルと目されたチームの中で、京都国際、智弁和歌山は初戦敗退を喫し、横浜も2回戦で聖光学院に競り負けた。現状、残っているのは近江だけで、独走ムードに拍車がかかる。大会前の展望で、「大阪桐蔭に勝つとすれば、3点以内に抑える投手力を持ったチーム」と書いた。近江の山田が万全ならそれに該当するが、当たるとすれば最短でも準決勝になる。近江が山田を温存しつつ勝ち上がることは現実的ではなく、大阪桐蔭の優位は揺るぎない。あとは、投手陣に厚みがある仙台育英、緩急を使えるエースのいる九州国際大付あたりが2回戦からの登場組で、消耗の少ない状態で勝ち上がれれば面白い。