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防御率6点台の投手が球団記録に並ぶ「1試合16奪三振」。今シーズンの1試合14K以上は他に皆無

宇根夏樹ベースボール・ライター
ランス・リン(シカゴ・ホワイトソックス)Jun 18, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 6月18日、ランス・リン(シカゴ・ホワイトソックス)は、8回裏の先頭打者にヒットを打たれて降板するまでに、16三振を奪った。

 ホワイトソックスによると、1試合16奪三振は球団最多タイ。1954年7月25日のジャック・ハーシュマンに並ぶという。ハーシュマンは、ダブルヘッダーの1試合目に9イニングを投げきった。

 それまで、リンが1試合に奪った三振は、12が最も多かった。3度記録していて、最初は、ホワイトソックスを相手に投げた2012年6月13日。2度目と3度目は、2019年の7月21日と9月22日だ。2021年以降のホワイトソックス時代に限ると、2021年4月8日と2022年9月5日の11奪三振が最多だった。

 今シーズン、1試合に14三振以上を奪った投手は、リン以外にいない。1試合13奪三振は、延べ6人。4月7日にソニー・グレイ(ミネソタ・ツインズ)、4月24日にスペンサー・ストライダー(アトランタ・ブレーブス)、4月29日と6月6日にケビン・ゴーズマン(トロント・ブルージェイズ)、5月3日に大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)、5月14日にミッチ・ケラー(ピッツバーグ・パイレーツ)が記録している。

 さらに、目を惹くのは、リンの防御率だ。今シーズン、先発14登板の防御率は6.75。自責点3の6月18日を含めても、15登板で防御率6.51だ。どちらも、規定投球回以上の投手では、防御率6.89のジョーダン・ライルズ(カンザスシティ・ロイヤルズ)に次いで高い。

 ESPNスタッツ&インフォによると、自責点が公式記録となった1913年以降のア・リーグとナ・リーグにおいて、リンの1試合16奪三振は、シーズン5先発以上で防御率6.00以上の投手による最多記録だという。

 なお、6月18日の試合で、リンはシーズン8敗目を喫した。降板した時点のスコアは1対2。ホワイトソックスは、1対5で敗れた。

 リンの黒星は、こちらも、0勝11敗のライルズに次いで多く、カイル・フリーランド(コロラド・ロッキーズ)とパトリック・コービン(ワシントン・ナショナルズ)の2人と並んでいる。フリーランドは防御率4.48、コービンは防御率4.89だが、勝敗はリンと同じ4勝8敗だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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