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NPB36本塁打の打撃コーチを解任し、後任にNPBの首位打者を据える。次はNPB1本塁打の監督か

宇根夏樹ベースボール・ライター
ダーネル・コールズ Mar 1, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 6月10日、低迷するアリゾナ・ダイヤモンドバックスが、コーチの入れ替えを行った。打撃コーチのダーネル・コールズとアシスタント打撃コーチのエリック・ヒンスキーを解任し、AAAの打撃コーチだったリック・ショートとラン・プロダクション・コーディネーターだったドルー・ヘドマンを後任に据えた。新たな打撃コーチとアシスタント打撃コーチではなく、2人とも打撃コーチの肩書きを持つ。

 ダイヤモンドバックスは、5月16日~29日に13連敗を喫し、現在も7連敗中だ(6月10日は試合がない)。ロード19連敗も継続している。それについては「継続中の「ロード19連敗」は史上4番目の長さ。次にロードでスウィープされると、最長記録を塗り替える」で書いた。ここまでの63試合は、20勝43敗。勝率.317は、両リーグで最も低い。

 解任されたコールズは、1996年に中日ドラゴンズで29本のホームランを打った。翌年に阪神タイガースで記録した7本と合わせ、NPB通算本塁打は36本だ。MLBでは、14シーズンで75本塁打だった。一方、後任のリックは、NPB通算35本塁打。5シーズンを過ごした――2003年は千葉ロッテ・マリーンズ、2006~09年は東北楽天ゴールデンイーグルス――にもかかわらず、コールズよりも1本少ない。MLBでは、2005年に出場11試合で2本塁打だ。こちらも、コールズのほうが多い。

 ただ、リックは2008年に打率.332を記録し、パ・リーグの首位打者を獲得している。埼玉西武ライオンズの中島裕之(宏之/現・読売ジャイアンツ)を僅かに上回った。ちなみに、この年の163安打は、今も東北楽天の球団記録だ(「「シーズン安打の球団記録」を持つ選手。中日は福留孝介と大島洋平。東京ヤクルトは195安打が球団4位」)。2003年と2006~07年も、リックの打率は.300を超え、それぞれ、パ・リーグ17位(.303)、3位(.314)、2位(.330)に位置した。ちなみに、コールズは1996年にセ・リーグ13位の打率.302を記録した。

 ダイヤモンドバックスは、監督のトーリ・ルベロも、NPBでプレーしている。2000年にヤクルト・スワローズで29試合に出場し、ホームランを1本打った。当時の登録名は、トレイ・ロブロだった。今のところ、解任の噂は浮上していないが、いつそうなってもおかしくない。

 なお、本人はNPBでプレーしていないが、ダイヤモンドバックスのフィールド・コーディネーターは、広島東洋カープにいるケビン・クロンの父、クリス・クロンだ。クリスの息子のうち、ケビンの兄であるC.J.クロンは、コロラド・ロッキーズでプレーしている。MLBとNPBの違いはあるが、現時点のシーズン本塁打は、C.J.が5本、ケビンは6本。出塁率は.357と.282だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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