【上田市】全国的にもレアな気象現象が真田忍者を支えた! 太郎山の「逆さ霧」がよく見られる季節です。
太郎山の「逆さ霧」。日常生活の1コマといえるほど、上田市民にはおなじみの光景ですが、実は全国的にみると、とても珍しい気象現象です。(以下の画像は2024年10月24日の撮影です。)
逆さ霧とは、上田盆地の北に位置する太郎山の稜線から、雲が下ってくるように見える現象をいいます。画像では雲の動きがわかりませんので、動画をご覧ください。
霧は、普通は下から上へ昇っていきます。対して逆さ霧はその名の通り、山頂から滝のように霧が下っていくことが特徴です。
真田十勇士のひとり「霧隠才蔵」は、太郎山の逆さ霧から「霧隠れの術」を編み出した、とされています。
また逆さ霧のおかげで薬草が豊富に採れ、真田忍者がそれを売り歩いて情報を集めたとも言われます。では、どうしてこの現象が太郎山でばかり起きるのでしょうか。
日本海からやってくる湿った空気が、北から太郎山を越えるときに、上空の寒気に触れることにより凝縮して雨雲(雪雲)になる場合があります。その雲が山頂から降りてくる現象が、逆さ霧です。
太郎山の北方には雪の多い菅平がありますが、上田盆地は冬でも雪があまり降りません。これは、太郎山が北から流れてくる低い雲をせき止めるような地形になっているからです。
昔の人たちは、空のようすや身近なもののようすなどから天気を予想していました。これを「観天望気」といいます。「夕焼けは晴れ」が有名です。「太郎山に逆さ霧がかかると○○○○」も、上田ならではの観天望気です。
「○○○○」の部分は、「気温が下がる」「天気が崩れる」「寒くなるから霜に注意」など、いくつかのパターンがありますが「天候が悪化する兆候」という点は一致していますね。
11月は霜月。この時期は観天望気のとおり、逆さ霧を見るチャンスが多くなります。壮観という言葉にふさわしい、太郎山の逆さ霧。真田忍者に想いを馳せながら眺めてみませんか?