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ラグビーの欧州王者を決める大会で輝いた日本代表FB松島。欧州の主要メディアが「ベスト15」に選出

斉藤健仁スポーツライター
前半9分、相手のトライを防ぐタックルをしたクレルモンの松島(写真:ロイター/アフロ)

4月2日(金)~4日(日)、ラグビー版の「チャンピオンズリーグ」と言える、ラグビーの欧州クラブ王者を決める「ハイネケン・チャンピオンズカップ」のプレーオフ1回戦が行われた。

レンスター(アイルランド)対トゥーロン(フランス)は、トゥーロン側の選手に新型コロナウィルス感染症の陽性者が出たため中止となり、レンスターの不戦勝となったが、それ以外の7試合が行われた。

◇松島がトライを挙げてクレルモンが逆転勝利!

4月3日(土)、日本代表FBである松島幸太朗が所属するクレルモン・オーヴェルニュ(フランス)は、アウェイで過去2度の優勝を誇るワスプス(イングランド)と対戦した。

試合は最後までどちらが勝つかわからないクロスゲームとなったが、松島はロスタイムに同点となるトライを挙げて、SOカミーユ・ロペスがゴールを決めてクレルモンが27-25で逆転勝利を収めた。

クレルモンの松島は前半9分に、インゴールで相手のイタリア代表FBマッテオ・ミノッツィの腕にタックルしてトライを防いだプレーも評価されて、この試合のMVPである「スター・オブ・ザ・マッチ」にも輝いた。

試合後、松島は「最後に全てを出し切った。このチームの戦い方は自分に合っている。今日はパーフェクトだ」と喜んだ。また試合当日、松島の母が誕生日だったこともあり、自身のTwitterで「母の誕生日に勝てて良かった。良いプレゼントができたと思います!」ともつぶやいた。

◇松島は欧州のメディアで1回戦の「ベスト15」に選出

今週、欧州各国の主要ラグビーメディアがチャンピオンズカップのプレーオフ1回戦7試合における「ベスト15」を発表した。

フランスのMidi Olympiqueはもちろんのこと、Planet RugbyTelegraph(ともにイングランド)、Ultimate Rugby(アイルランド)と欧州の主要ラグビーメディア4媒体が、FBの「ベスト15」に松島を選んだ。

同点となるトライだけでなく、トライセービングタックルが評価されての選出だった。7点を防ぐビッグタックルをして、7点につながるトライを挙げたことは試合の流れ上、大きかった。

2019年ワールドカップ後、さまざまなチームからオファーがあったという松島は、フランス1部の「TOP14」のクレルモンを選んだ理由を「レベルアップのために、厳しい環境に身を置きたい。サントリーのように、キックよりもパスが多いチームがいい」と話していた。

またサッカーのようにヨーロッパで日本人選手が活躍していない現状を踏まえて、松島は「(日本人選手の)ネガティブなイメージをなくしたい。勢いをつけたい」ともコメントしていたが、まさしく、その通りの活躍だった。

◇4月11日の準々決勝は強豪トゥルーズ戦に挑む

松島は日本代表やクレルモンだけでなく、欧州の舞台で活躍していけば、ワールドラグビー世界最優秀選手賞にノミネートされることも夢ではないだろう。

松島は渡仏前、「世界で通用する選手になって、そういった賞を狙えるようになっていきたい」とも意気込んでいたが、今後の活躍次第ではノミネートされる可能性も出てくるはずだ。

いずれにせよ、2023年ラグビーワールドカップは松島がプレーしているフランスで開催されるが、その前に松島はクレルモンで10トライ(リーグ戦4トライ、今季のチャンピオンズカップ5トライ)を挙げるなど自身の評価を上げるパフォーマンスを続けている。

4月11日(日)のチャンピオンズカップ準々決勝、クレルモンは、ホームで同じフランスのトゥルーズと対戦する。トゥルーズはフランス代表SHアントワーヌ・デュポン、SOロマン・ヌタマック、南アフリカ代表WTBチェスリン・コルビなど世界的な選手が所属している強豪だ。

松島は欧州の舞台で再び輝き、さらに、その名を世界に轟かせることができるか。

※チャンピオンズカップのプレーオフの全試合はJ SPORTSとJ SPORTSオンデマンドで放送、配信されている。詳しい放送時間はJ SPORTSのホームページ参照

スポーツライター

ラグビーとサッカーを中心に新聞、雑誌、Web等で執筆。大学(西洋史学専攻)卒業後、印刷会社を経てスポーツライターに。サッカーは「ピッチ外」、ラグビーは「ピッチ内」を中心に取材(エディージャパン全57試合を現地取材)。「高校生スポーツ」「Rugby Japan 365」の記者も務める。「ラグビー『観戦力』が高まる」「ラグビーは頭脳が9割」「高校ラグビーは頭脳が9割」「日本ラグビーの戦術・システムを教えましょう」(4冊とも東邦出版)「世界のサッカー愛称のひみつ」(光文社)「世界最強のGK論」(出版芸術社)など著書多数。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。1975年生まれ。

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