突然の記憶障害、一過性全健忘(TGA)とは?
こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。
今日は、一過性全健忘(TGA)についてお話したいと思います。
はじめに、健忘症とは記憶障害のことで、簡単に言えば「物忘れ」になります。誰もが少しは、物忘れすることがあるかと思いますが、特に齢を重ねると、物忘れがひどくなりますが、この「もの忘れ」がひどい状態を健忘症と言います。
健忘症には、2種類あります。
前向性健忘と逆向性健忘の2つです。
前向性健忘は、物事を新しく覚えられない障害です。
上記は、私(竹内成彦)のことです。最近は、新しい歌が全然覚えられません。カラオケに行っても、昔の歌ばかりを歌っています。
逆向性健忘は、昔の記憶が思い出せない障害です。
ああ、これも私(竹内成彦)のことです。「昨日の夕食、何を食べたのか?」思い出すのに苦労したりします。
つづいて、逆行性健忘には、全て思い出せない全健忘と、少しだけ思い出せる部分健忘があります。今日、お話するのは、ある限られた時間の全てを思い出せないという、一過性全健忘のお話です。
一過性全健忘とは、一時的に記憶を失う病気です。本人は、いつもと同じように行動していますが、数時間後、自分が記憶が全くないことに気付き、うろたえます。本人としては、急に認知症になったと思うことが多いです。
代表的な例として、本人が「今日、俺は何処へ行ってたの?」とか「俺は、どうやって帰ってきたの?」とか、言ったりするので、周囲の人は、相当心配します。
一過性全健忘は、たくさんお酒を飲んで酔っ払った状態に似ていますね。
一過性全健忘症の患者は、10万に3人から10人ぐらいです。認知症と違って、相当少ないです。男女差はなく、男性でも女性でも罹ります。概ね、50歳から80歳の人がかかります。記憶を失う時間は、15分から48時間ぐらいですが、多くは24時間以内に記憶することができる脳に回復します。
今、お話したのは一過性全健忘症です。一過性ではない健忘症の場合は、若い人もよくなります。若い人が健忘症になる理由は、精神的なストレスが原因であることが多いです。
一過性全健忘の原因は、ハッキリとはわかっておりません。わかっているのは、脳血管障害ではない、片頭痛ではない、てんかんではない、ということです。そう、今言った、脳血管障害、片頭痛、てんかん、だったら、それは一過性全健忘ではないということです。
記憶を失った患者が病院に行った時、医師は、脳波を調べ、CTを撮り、てんかんではないか? 脳出血ではないか? 脳梗塞ではないか? 脳腫瘍ではないか? と調べます。そこで、てんかん・脳出血・脳梗塞・脳腫瘍である場合は、一過性全健忘ではないということになります。
こういう、他の病気ではないことを診断することによって、最終的にその病気であることを診断することを除外診断といいます。そう、一過性全健忘は、除外診断によって診断されるもなのです。
続いて、一過性全健忘ですが、1回きりで、2回3回と繰り返し起こす方は、少ないです。くりかえす確率としては、10%以下と言われております。よって、いたずらに心配する必要はありません。
とは言っても、突然の記憶障害が一過性全健忘とは限りません。脳に重大な損傷があるかもしれないので、まずはお早めに病院に行くことをおススメします。
でも…、そうですね。私なら1回目の全健忘なら軽くスルーしてしまいます。それは、心配する必要のない一過性全健忘である可能性が高いからです。そうではなく、全健忘が2度3度起こるようだったら、それで初めて、私は病院に行くと思います。まあ検査代も馬鹿にならないですからね。
行く病院は、一般的には神経内科、精神科、心療内科、脳外科になります。
「もの忘れ外来」というような専門外来で診てもらえば間違いないですね。
今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。
この記事を書いた人は、心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。