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アメリカ民主主義こそ世界に戦争をばらまき世界を戦争に導く元凶

田中良紹ジャーナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 カマラ・ハリス副大統領が民主党全国党大会で行った大統領指名受諾演説の最後は、「我々は世界史上もっとも偉大な民主主義の継承者である。我々は我々の子供、孫、そして我々の自由のために犠牲になったすべての人たちに報いなければならない。我々の前の世代がやってきたことを今度は我々がやる番だ。愛する国のために楽観主義と信念に導かれて戦おう!」というものだった。

 これはアメリカの政治家が演説する時の「決まり文句」である。アメリカ民主主義は世界でもっとも偉大である。それを世界に広める使命が自分たちにはある。アメリカには世界最強の軍事力と世界一の経済力があり、自分たちの理想は必ず達成されるという意味だ。

 他国から見ると傲慢不遜に思えるが、この演説にアメリカ国民は熱狂する。それは近代民主主義を作ったのが「アメリカ建国の父たち」というストーリーを信じているからだ。ストーリーの出発点はアメリカがイギリスから独立する時、1776年に採択された「アメリカ独立宣言」である。

 建国の父の一人であるトーマス・ジェファーソンが起草した「独立宣言」は、人間の平等を謳い、人間には生きる権利、自由の権利、幸福追求の権利があることを主張し、抑圧する国家に対して人民には「革命権」があると宣言した。

 それが「自由、平等、友愛」を掲げた1789年のフランス革命に影響し、基本的人権や民主主義の思想が世界に広まる契機になった。アメリカ国民はそう信じている。だからアメリカ民主主義は「世界でもっとも偉大」なのだ。

 しかし「アメリカ建国の父たち」に影響を与えた哲学者がいる。イギリスのジョン・ロック(1632-1704)である。ロックは権力が神から与えられたとする王権神授説を否定し、個人には生命、健康、財産、所有、自由の権利があり、それを保証するため国民が負託する政府が必要になると主張した。

 その政府が国民から財産や自由を奪おうとすれば、国民には抵抗する権利がある。また政府には立法権と行政権があるが、それを分離して立法権が行政権より優位に立つと考えた。そして国民が代表者を選出する間接民主制や多数決原理など民主主義の基本的な仕組みもロックの考えである。

 さらにロックは1760年代にイギリスで始まる産業革命とそれに伴う資本主義にも影響を与えた。ロックは「労働が生産物と私的所有権を生み出す」と主張して「私有」を認め、「所得は労働に比例する」として所得が不平等になることを肯定した。産業革命は農地の「囲い込み」によって農民を賃金労働者にしたことから始まるが、ロックは「囲い込み」を擁護する立場だった。

 経済学の出発点とされるアダム・スミスの『国富論』は、アメリカ独立宣言と同じ年の出版だが、スミスは利益の追求が「神の見えざる手」で調整されると主張して個人の利益追求を肯定した。つまりスミスの資本主義経済理論もロックの思想を土台にしている。私から見れば、アメリカの民主主義と資本主義に一貫するのはロックの思想である。

 これに対抗してフランス人哲学者ジャン・ジャック・ルソー(1760-1830)は私的所有と不平等を否定して結果の平等を求め、間接民主制や多数決原理にも反対し、直接民主制と全員一致の決定を主張した。

 ルソーの出発点は、なぜ人類は不平等なのかである。原始的な狩猟採集社会に不平等はなかった。しかし人類が農業を始め、定住したことで私有と蓄積が生まれ、貧富の格差が広がり、そこから権力と専制が生まれた。そのため人類は戦争状態に置かれているとルソーは主張する。

 ルソーは個人が私的財産をいったん共同体に差し出し、共同体の中で全員が「一般意思」を共有できれば財産を個人に戻すやり方を提唱する。「一般意思」を共有した個人はみな全体のことを考えて行動するようになり、不平等社会はなくなると言うのだ。

 ルソーの思想は「アメリカ独立宣言」と並んで「フランス人権宣言」の基礎となり、その後カール・マルクスの共産主義思想やファシズムの全体主義思想にも影響を与えた。ロックやルソーの思想を「啓蒙思想」と呼ぶが、我々は学校で啓蒙思想を徹底的に教え込まれた世代である。

 理性を尊重しなければならない。人類は科学によって進歩していく。欧米が文明社会の中心で、アメリカ先住民などは未開の原始状態にあり、アジアやアフリカは啓蒙思想によって進歩を目指さなければならないと教えられた。

 そうした考えに立てば、第二次大戦で日本とドイツが敗れ、連合国が勝利したのはルソーに影響されたファシズム思想の敗北である。その後の冷戦時代はロックの思想に基づくアメリカ資本主義と、ルソーの思想に影響されたソ連共産主義の対立だった。

 1991年12月、ソ連が崩壊してアメリカが唯一の超大国になった。ロックの思想がルソーの思想に勝利したのである。その頃、私はワシントンに事務所を置いて米議会の情報を日本に送る仕事をしていた。

 冷戦が終わったことで世界が平和になることを私は期待した。冷戦後の最初の大統領は民主党のビル・クリントンで、ファーストレディのヒラリーはリベラルな思想の持ち主だった。日本の国民皆保険制度に共鳴し、アメリカにもそれを導入しようと旗振り役を務めた。また『子供を育てるのは村』というアフリカの諺を本にして共同体の重要性を説いた。

 ところがこれがアメリカ国民から猛反発された。アメリカの伝統である「建国の父たち」の思想に反するからだ。個人を重視し国家の役割を最小にする社会で「国民皆保険制度は悪」と考えられ、また一夫一婦制を重視するキリスト教社会では子供を育てるのは親である。クリントン政権は中間選挙に大惨敗、そこから夫妻は新自由主義に転向する。

 さらに選挙に勝つため、クリントンは軍事力を使って民主主義を世界に広めることを始めた。アメリカを「世界の警察官」と位置付け、ソマリアやコソボの内戦に介入し、さらに冷戦時代にタブーとされた「NATO東方拡大」に舵を切った。

 「NATO東方拡大」とは旧ソ連の衛星国を西側世界に取り込み、ロシアを追い詰めて最終的にアメリカに従属させる政策だが、核大国を追い詰めれば第三次世界大戦の可能性が高まる。そのため冷戦時代の対ソ政策は「封じ込め」で、ソ連を追い詰めることをしなかった。それをクリントンは転換した。

 冷戦の勝利はアメリカ政治に「ネオコン」と呼ばれる勢力を拡大させた。「ネオコン」は戦前の左翼トロツキストがベトナム反戦運動を契機に右翼に転向し、反スターリンの立場から徹底した反ロシアで、世界を軍事力で民主主義に統一しようとする思想集団である。

 これが民主・共和両党に浸透してアメリカ政治を動かした。チェイニー副大統領、ウォルフォウッツ国防副長官らのネオコンに取り囲まれたブッシュ(子)政権で、9・11同時多発テロが起こると、アメリカはそれを口実に軍事力で中東の民主化に乗り出す。

 その時の掛け声が「リメンバー・パール・ハーバー」だった。「アメリカが空から攻撃されたのは日本軍の真珠湾攻撃に次ぐが、日本軍を戦争で打ち負かした結果、日本は従順な民主国家に変わった。だから中東も戦争で打ち負かして民主化する」とブッシュは演説した。

 ブッシュは「イラン、イラク、北朝鮮」を「悪の枢軸」と定義し、「ならず者国家」と呼んだ。国連加盟国を「ならず者」と呼ぶ神経は尋常でない。しかし民主主義を世界に広める使命感に取りつかれるとそれが普通になる。

 それより前、私はイラク政府の招待でイラン・イラク戦争中のイラクを取材したことがある。イラク政府は2年おきに世界中からジャーナリストを招待し取材に応じていた。砂漠の前線に行くことになり、報道担当者がバスを手配すると、欧州のジャーナリストたちが大型ヘリコプターを要求、受け入れられないと一斉に荷物をまとめて帰国してしまった。

 炎熱の砂漠をバスで行くのは確かに大変だったが、ヘリコプターを要求した時の態度に私は欧州と中東の植民地支配の関係を見る思いがした。そしてその時の取材でイラクがイスラム社会では珍しく男女平等であること、シーア派とスンニ派が平和的に共存していることを知った。それをアメリカは「ならず者」と呼び、軍事力で民主主義を押し付けようとしたのである。

 アメリカはイラクが大量破壊兵器を保有していると嘘を流し、世界中を騙して先制攻撃に踏み切った。力による現状変更以外の何物でもない。その結果、サダム・フセインは殺され、イラクは大混乱に陥り、新テロ組織「イスラム国」が誕生してテロは世界中に蔓延した。

 アメリカがサダム・フセインを殺害したのは、彼がユーロで石油決済を認めたことへの見せしめだと私は思った。なぜならイラク戦争に反対したのはフランスとドイツだ。石油の決済をドルでしか認めないドル基軸通貨体制にユーロが挑戦しようとしたことが背景にある。しかしいまだに誰もイラク戦争の真相を語らない。

 イラク戦争に反対したドイツのシュレーダー首相は、その後ロシアのプーチン大統領と親しくなり、ロシアの天然ガスを海底パイプラインでドイツに引き込むノルドストリームを完成させた。ロシアの安いエネルギー資源は脱原発を目指すドイツ経済にプラスとなり、欧州の中でドイツの存在感が大きくなった。

 するとイラク戦争から19年目にウクライナ戦争が起き、ノルドストリームが何者かによって爆破された。数々のスクープで有名なアメリカ人ジャーナリストのシーモア・ハーシュは、バイデン大統領の了承の下でアメリカとノルウェイの秘密部隊が爆破したと報道したが、欧米メディアはこれを完全に無視している。

 最近の報道では、ドイツの捜査当局がウクライナ人男性のダイバーを容疑者として逮捕状を出したが、まだ拘束されていない。真相は謎のままになりそうだ。イラク戦争では「大量破壊兵器保有」という嘘が流されたが、ウクライナ戦争では「プーチンの帝国主義的侵略」とメディアが煽り立て、世界はそれを信じ込まされた。

 私はドイツがG7議長国の年にウクライナ戦争が起きたことに注目している。ドイツは日本と同じで戦後は平和国家を目指すように仕向けられ、おかげで軍事支出が少なく、経済成長に成功した国だ。冷戦後のアメリカは、それまでとは逆に日独に対し軍事支出を増額させ経済に負担を負わせようとしている。

 ウクライナ戦争はNATO対ロシアの戦いだから、G7議長国はNATOメンバーとして戦争の先頭に立たなければならない。ドイツは防衛費を増額するとともに戦車やミサイルなど自国製兵器をウクライナに提供せざるを得なくなった。それがこの戦争のアメリカの真の狙いだと私は見ている。

 そして中東での「テロとの戦い」に懲りたアメリカは、自らは軍隊を出動せず、戦争を他国にやらせて兵器を提供するだけの戦争を始めた。ウクライナの次の紛争地として台湾が候補に挙げられている。そのため欧州から遠く離れた日本がNATOの準加盟国の扱いを受け、合同で軍事訓練を始めるようになった。

 ソ連崩壊後の初のロシア大統領エリツィンは「我々はアメリカのジュニア・パートナーになる」と発言して私を驚かせた。ジュニア・パートナーとは日米関係における日本のことで、格下の扱いを受ける国のことだ。戦後アメリカと世界を二分して対峙した国がそこまでへりくだるのかと思ったが、実際ロシア経済は資本主義への転換で大混乱していた。

 エネルギー産業を所有した新興財閥が超富裕層になる反面、庶民の暮らしは共産主義時代より劣悪になった。エリツィンに代わって大統領に就任したプーチンは、エネルギー産業を国有化することで経済の混乱を抑え、国家資本主義への道を歩みだす。これがアメリカを刺激した。ジュニア・パートナーが自立し始めたからだ。

 夫より自分の方が大統領に向いていると思うヒラリーは、大統領になるためには軍事分野に精通する必要があると考え、ニューヨーク州の上院議員となり、上院軍事委員会に所属して共和党のタカ派議員たちと親交を深めた。そしてプーチンに対する最強硬派の一人となり「リベラル・ホーク(リベラルな鷹)」と呼ばれるタカ派政治家に変身した。

 プーチンは00年の就任以来ブッシュ政権の「テロとの戦い」に協力し、旧ソ連領内に米軍基地を作ることを容認した。またNATO加盟を目指して準加盟国の扱いを受けるところまで行った。しかしクリントンが敷いた「NATO東方拡大」路線は止まらず、しかもそれがロシアを敵視する形で進められていることに反発する。

 08年にセルビア領内のコソボ独立をアメリカが承認すると、国際社会はみなそれに従った。プーチンはセルビアの主権が侵されていると反発する。そしてそれなら同じことを自分たちもやると言い、グルジア領内のオセチアとアブハジアを独立させ、ロシア軍を常駐させて西側世界と対立した。

 これがウクライナ戦争の伏線にある。そのウクライナ戦争に火をつけたのは、アメリカ国務省でナンバー3の地位に上り詰めたビクトリア・ヌーランド、ネオコンの中心人物である。彼女は14年にNATO大使としてウクライナの親露派政権を打倒したマイダン革命を支援し、2年前にはウクライナ軍に東部の親露派地域を攻撃させ、それを救う名目でロシア軍がウクライナに侵攻すると「罠にかかった」と喜んだと言われる。

 しかし国際社会を巻き込んでプーチンを孤立させ、経済制裁で追い詰めるはずの計画は思い通りにならず、今年3月に理由も明らかにされないまま彼女は国務次官の職を辞した。一方、彼女の義理の妹が所長を務めるシンクタンク「戦争研究所」は、今でも世界のメディアにウクライナ戦争情報を提供し続けている。

 ウクライナ戦争はロシアと中国の結束を強め、それが核となってBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)を拡大させる効果を生んだ。世界は欧米対非欧米に二極化された。そしてイスラエルのガザ地区でハマスのテロが起こり、イスラエルとパレスチナの衝突が悲惨な状況を招いている。

 この衝突の原因もクリントン時代にアメリカによって作られたと私は思う。冷戦後の最初の大統領であるクリントンは、自らのレガシー(遺産)として冷戦体制の終了を考えた。つまり朝鮮半島の分断を終わらせようとした。ドイツ統一の前例を下敷きに作業は進められたが、クリントンは途中でそれを打ち切り、イスラエルとパレスチナの二国家共存を実現する「オスロ合意」に力を入れた。

 現在起きていることは、ハマスもイスラエルも二国家共存を拒否する構図だ。それぞれが欧米の手によって与えられた領土や平和ではなく、自らが血を流してでも独自の国家建設を達成しようとしているように私には見える。

 アメリカ主導の平和共存は、長らく被支配的な状況に置かれてきた民族には受け入れられないのだろう。あの時クリントンはなぜ冷戦体制の完全な終焉に向かわなかったのか。その直後に10万人規模の米軍を東アジアに配備する計画を打ち出したことから、アメリカはこの地域に紛争の芽を残しておきたかったのだと私は考えている。

 その朝鮮半島統一を実現しようとしたのが一期目のトランプ大統領だった。トランプは38度線を越えて北朝鮮領内に足を踏み入れた最初のアメリカ大統領である。結果的には政権内にいるネオコンのボルトン大統領補佐官に足を掬われ失敗したが、トランプはこの地域からの米軍撤退を考えていた。

 トランプの主張を聞くと、クリントン政権以降の歴代アメリカ政権が追求してきた「民主主義による世界統一」を否定している。冷戦後に見捨てられた製造業労働者など底辺の国民に光を当て、戦前のアメリカが大恐慌から立ち直る時、投資によって橋を作り道路を作ったように、外国から投資を呼び込み、雇用を増やし、製造業を再生しようと考えている。

 そのためまず共和党を予備選挙で打ち負かし、次に本選挙で民主党に勝利しようとしている。つまり大統領選挙は共和党と民主党の戦いではなく、共和・民主両党に浸透したネオコンとトランプとの戦いである。先日、ロバート・ケネディ・ジュニアが選挙戦撤退を決めてトランプ支持を打ち出したが、2人の間ではネオコンとの決別が約束された。

 折しも欧州では極右勢力が選挙で躍進を始めた。それを民主主義の否定と見て眉をしかめる人たちも多い。しかしこの現象には産業革命以降の「啓蒙思想」の限界が反映されているとみて、「啓蒙思想からの脱却」を訴える学者も出てきた。人権思想に裏付けられた移民の流入は我慢の限界を超えているというのだ。

 最近出版された『万物の黎明』(光文社)は、イギリスの人類学者と考古学者の共著によるルソーら啓蒙思想家に対する反論である。それによると1680年代にアメリカ先住民族の酋長と交流したフランスの軍人が、酋長から欧州文明に対する痛烈な批判を受け、それを本にして出版したところ注目を集めた。

 酋長はなぜ欧州人が不自由なのかを指摘する。土地を私有にし、貨幣を作るから、それを守るために法が必要になり、警察や官僚が必要になり、国家が必要になり、それらが強制的手段で個人の自由を束縛する。しかし土地はみんなのものと考えている先住民には、移り住む自由、他人に従わない自由、新しい社会を作る自由があるというのだ。

 これに対しルソーは『人間不平等起源論』を書き、農業が始まってから人間に私有と蓄積が生まれ、格差が生まれ、権力が人間を支配するようになったと主張したが、『万物の黎明』の著者たちはそれを嘘だという。南米の先住民には農業共同体も都市もあったが、みんなで分かち合う社会には、法も官僚も政治家も必要なかった。

 地球上の土地を人間が勝手に細分化して私有し、そこから価値を得ようと労働したことによって、人間は不自由になり、地球環境は破壊された。「人新世」という言葉がある。産業革命以降の戦争と自然破壊で現在の人間は深刻な気候変動に見舞われている。人間が自然の中で生きるのではなく、人間が自然を変える時代を「人新世」と呼ぶのだという。

 産業革命をもたらした啓蒙思想は我々に人権や民主主義を教えてくれた。しかしそれは同時に戦争を引き起こし、自然を破壊する思想でもあった。民主主義は古代メソポタミアから存在し、ギリシアのアテネで花開いたと言われるが、ギリシアの哲学者プラトンやアリストテレスはその欺瞞性を鋭く指摘している。

 プラトンは、民主主義は表では人民が支配しているように見せるが、しかし見えない力で人民は支配され、言葉巧みに民衆を操る者が現れて権力を握ると言い、アリストテレスは選挙は必ず既得権益に有利になり、ジャンケンで決めるのが最も民主的な方法だと言った。

 啓蒙思想と産業革命からの250年は人類の歴史のほんの一部である。その頃、新大陸に移住した欧州人たちは先住民を追い出し、肥沃な大地を私有して労働に励み、民主主義を国是とするアメリカを建国した。表では人権と平等と自由を謳うが、裏には先住民抹殺と奴隷労働の黒歴史を持つ。

 しかしそのアメリカが世界最強の軍事力と世界一の経済力で唯一の超大国となった。それから30年、民主主義で世界を統一しようとした試みは世界を二つに分断した。我々は現在その変化の真っただ中にいる。

 11月のアメリカ大統領選挙はその意味で歴史を問う選挙になる。啓蒙思想を信じ込まされてきた我々も「啓蒙思想とは何だったのか」を改めて考える時が来たのではないか。

ジャーナリスト

1969年TBS入社。ドキュメンタリー・ディレクターや放送記者としてロッキード事件、田中角栄、日米摩擦などを取材。90年 米国の政治専門テレビC-SPANの配給権を取得。日本に米議会情報を紹介しながら国会の映像公開を提案。98年CS放送で「国会TV」を開局。07年退職し現在はブログ執筆と政治塾を主宰■オンライン「田中塾」の次回日時:11月24日(日)午後3時から4時半まで。パソコンかスマホでご覧いただけます。世界と日本の政治の動きを講義し、皆様からの質問を受け付けます。参加ご希望の方は https://bit.ly/2WUhRgg までお申し込みください。

「田中良紹のフーテン老人世直し録」

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「フーテン老人は定職を持たず、組織に縛られない自由人。しかし社会の裏表を取材した長い経験があります。世の中には支配する者とされる者とがおり、支配の手段は情報操作による世論誘導です。権力を取材すればするほどメディアは情報操作に操られ、メディアには日々洗脳情報が流れます。その嘘を見抜いてみんなでこの国を学び直す。そこから世直しが始まる。それがフーテン老人の願いで、これはその実録ドキュメントです」

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