三重から東京へ!400年の歴史に新しい風を「KIKYOYA ORII」さんの和洋折衷な拘り食材の大福
ブルーベリーとマスカルポーネの大福・濃茶大福大福。大きな福、という縁起の良い字体と耳障りの良い音が印象的な定番和菓子のひとつ。その大福も近年では実に多種多様なスタイリングを施されるようになり、ドット柄のお馴染み豆大福や愛らしい苺大福、はたまた洋風スタイルのカジュアルだったりリッチな大福も続々と登場しています。
広大な敷地と四季折々の自然溢れる駒沢公園から徒歩10分程にお店を構える「餅菓子専門 KIKYOYA ORII」さん。オープンは2022年11月ではございますが、実は三重県伊賀市において創業400年以上の歴史を誇る和菓子屋「桔梗屋織居」のご子息である19代目が腕を振るうお店なのです。現在も三重県のお店には18代目がいらっしゃり、19代目は奥渋ともいわれるお洒落な街にて腰を据えてKIKYOUYA ORIIさんを開業。ご自身にとって身近な和菓子、ひいては餅街道でもお馴染み三重県の美味しい餅技術を取り入れた実直かつユニークな餅菓子を製造販売していらっしゃいます。
今回はその中から、催事限定の「ブルーベリーとマスカルポーネの大福」と「濃茶大福」をご紹介。
共通するのは、いずれもニュースタイルな大福といえども、決して作り置きせず全て「滋賀羽二重餅」を朝搗き上げたものを使い切り、鬼ザラ糖や北海道産小豆といった、食材と引き継がれてきた伝統へ敬意をはらいつつ、新しい風を吹き込むという姿勢。
ブルーベリーとマスカルポーネの大福にキラリと輝くのは、バタフライピーのお茶で色付けした柔らかいジュレと銀箔。そしてそっと横たわるディルです。
銀箔を浮かべたバタフライピーのジュレは滴るように柔らか
中餡は小豆の紫ではなく、ブルーベリーの青さをたたえた紫。ほんのり透き通る澄んだ餅肌によく映えます。
肝心の味わいは、といいますと…ブルーベリー餡ワイルドな酸味の仄かな渋みは想像以上に果実の持ち味をひきたてており、更にもともとの手亡餡の名残がきちんと備わっているのでお餅の旨味との親和性が非常に高いバランスです。マスカルポーネのふんわりとそしてまろやかな乳脂肪分が中から溢れてくると、一気に洋風な和スイーツに。クリームチーズでも生クリームでもなく、コク深いマスカルポーネとブルーベリーが高級感のあるテイストに。これは日本茶ではなく白ワインでしょうか。
濃茶大福はその言葉通り、「たっぷりの抹茶」。上質な抹茶粉を重厚に纏ったお餅はまんまるの腰高フォルム、そのてっぺんにあしらわれた金箔から気品が漂います。
抹茶風味、ではなく、本当に濃茶をいただいているような大人の清涼感を孕んだ口当たりの大福は、特濃と形容しても違和感のない抹茶。薫り高さをゆっくりと噛みしめていくうちに、京都の宇治産の抹茶をふんだんにあわせた抹茶餡の控えめな甘味と、キュンとときめくようなホワイトチョコレートが段階をふんで溢れ出していく一連の流れは、どこか妖艶なほど。
素材のピースをひとつずつ確かめるような、大人の時間を提供してくれる大福たちでした。
※ブルーベリーとマスカルポーネの大福は、10月18日~10月24日まで伊勢丹新宿店地下1階のポップアップ限定商品となります。