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いよいよセンバツ抽選会! 「究極の抽選」に込められた思いとは?

森本栄浩毎日放送アナウンサー
センバツ抽選の方法は複雑だが、全国大会にふさわしいカードが続出する(筆者撮影)

 18日に開幕するセンバツ高校野球の組み合わせ抽選会が目前に迫った。夏に比べると、センバツの抽選は複雑で時間がかかる。「もう少し手際よくやれないものか」との指摘があることも承知しているし、司会の立場で言えば、待たされるチームやファンのことを考えれば当然だろう。しかし、この「究極の抽選」で出来上がったカードを見渡せば、これこそが決定版だということがお分かりいただけると確信している。

以前のセンバツは東西対抗だった

 筆者が入社し、センバツに関わり始めた頃は、いわゆる東西対抗方式を採っていた。ただ、センバツは年によって地区ごとの出場校数が変わるので、きっちりと東西に分けることができない。今年であれば、東を北海道(2)、東北(3)、関東・東京(6)、東海(3)で、ここに北信越(3)を加えると「17」になってしまう。したがって、北信越を西に入れて、2校枠の中国か四国を東に組み込むという具合だ。また仮に東日本勢に奇数番号を引かせると、初戦で西日本勢はすべて三塁側となり、近畿勢が続いた場合などで応援団の入れ替えに支障が出るといった弊害があった。そこで、センバツの原点に立ち戻る形で、「地区対抗」の採用となった次第である。

センバツの原点は「地区対抗」

 センバツは夏の選手権に対抗して始まり、「予選を持たない招待試合」の意味合いが濃かった。全国を一括して見渡して出場校を決めていた時代から、地区ごとに出場校を選出する形になり、現在のような前年の秋季地区大会の成績を拠りどころにして選ぶ形につながっていく。つまりセンバツは、「地区対抗」が本分なのである。よく「センバツらしさ」という言葉を耳にするが、方法論で言えば、この抽選方法が最もセンバツらしい。夏は北海道と東京の2校を除いて完全フリー抽選で、隣県対決もお構いなしだからだ。

センバツ抽選の主要コンセプトは?

 抽選方法の詳細は省くが、主要なコンセプトは以下の通りである。

・同一都道府県からの2校出場の場合は決勝まで当たらない

・5校以上出場の地区は、少なくとも準々決勝まで同じ地区のチームと当たらない

・3校以上出場の地区は、少なくとも準決勝まで同じ地区のチームと当たらない

・2校出場の地区は、決勝まで当たらない

 甲子園の高校野球はシード制を採用しないので、21世紀枠の出場校も優勝候補とされる強豪も、スタートラインは同じ。したがって、「1回戦からもったいない」と言われるようなビッグカードが実現する可能性もある。

大多数が「甲子園でしか実現しないカード」

 この抽選方法は20年以上にわたって行われ(コロナ禍の21、22年を除く)、少なくとも1、2回戦は完全地区対抗となる。カード数で言えば4分の3を上回る。この抽選方法が採用された当時、「せっかくの甲子園。甲子園でしか見られないカード、全国大会にふさわしいカードを一つでも多く」という言葉を聞いた。これこそが、センバツの醍醐味ではなかろうか。筆者はこの思いを胸に刻んで、究極の抽選をお手伝いしている。「センバツLIVE」で生配信される抽選会に、注目していただきたい。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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