今年も波乱続出か? 大阪桐蔭、京都国際は好スタートも、近江は苦闘の船出 兵庫では強豪がヒヤリ
甲子園をめざす全国の地方大会は真っ盛り。沖縄では4強が決まり、北海道は南北でセンバツ出場校が相次ぎ敗退した。近畿でも大阪桐蔭や報徳学園(兵庫)、京都国際が快勝スタートとなった一方、現状、全国最長の6大会連続出場を狙う近江(滋賀)は、看板の投手陣に陰りが見え、辛勝で初戦を突破した。また兵庫では、春の近畿大会4強の須磨翔風が、タイブレークの死闘を逆転サヨナラで制した。
報徳は打線奮起、翔風は粘りの本領発揮
報徳は初戦(2回戦)で舞子と当たり、今夏、背番号1を背負う今朝丸裕喜(3年)が先発。しかし立ち上がりからピリッとせず、3回まで毎回失点で苦しい投球に終始した。攻撃陣の奮起もあってコールド勝ちしたが、次戦以降、間木歩(3年)との2枚看板がしっかり調整したい。同じ兵庫では、秋、春ともに県2位の翔風が、六甲アイランドに大苦戦。延長タイブレークに突入し、エース・槙野遥斗(3年)が11回に押し出しで勝ち越しを許したが、下位打者の適時打と犠飛で逆転サヨナラ勝ち。10回にも1点を勝ち越されて、2死まで追い詰められていたが、粘りの本領を発揮した。
全国屈指の激戦・兵庫は、社や明石商など強豪も苦戦
兵庫は全国屈指の激戦で、春の王者で夏3連覇をめざす社も初戦から大苦戦。相手の洲本は、71年前のセンバツで優勝経験のある伝統校で、4点のリードを追いつかれる展開となり、5-4で辛くも振り切った。また春3位の明石商は、名門・関西学院に逆転勝ちして初戦を突破した。近年、優勝争いの中心となる神戸国際大付も、名門・滝川に6-4で競り勝ったが、ヒジ痛のエース・津嘉山憲志郎(3年=主将)の登板は難しそうだ。実力校同士の早期対決もある中、秋、春に活躍した県立の進学校も注目されたが、好左腕・舩見将太(3年=主将)の神戸は初戦敗退。長田はタイブレークの10回に一挙6点を奪って辛勝した。
大阪桐蔭は2年生の中野が無安打投球
大阪桐蔭は、府立東との2回戦を、10-0の6回コールドで突破して、危なげないスタートを切った。先発の中野大虎(2年=タイトル写真)は1四球を与えただけの5回無安打投球。攻撃陣も3回に1番・境亮陽(3年)の2点二塁打で先制すると、4回には3番・徳丸快晴(3年)の満塁一掃打など、打者一巡の猛攻で突き放し、試合を決めた。立ち上がりこそ東の技巧派左腕に手こずったが、要所での対応力はさすが。投手陣は近年で最も層が厚く、接り合ったとき、野手陣が守りも含めてしっかり援護できるかがカギだろう。
京都国際は監督の母校に完封勝ち
京都では、春の近畿大会で優勝した京都国際が、京都成章を3-0で破って、無難なスタートを切った。エース・中崎琉生(3年)が5安打完封で、終盤に加点して勝機を逃さなかった。小牧憲継監督(40)にとっては母校でもあり、初戦としてはやりづらかっただろうが、無失点はチームの特長そのもので評価できる。昨夏代表の立命館宇治や龍谷大平安もコールドで初戦を飾り、順調な仕上がりを見せている。
彦根総合は雨に泣き、近江は投手陣に不安
滋賀は昨春センバツ出場の彦根総合が、初戦で草津に逆転負けを喫する波乱があった。豪雨で1時間を超える中断があり、投手がリズムを崩して流れを手放すなど、気の毒な展開だった。6大会連続出場を狙う近江は、エース・西山恒誠(3年)がヒジの故障で離脱し、大きな痛手。左腕・河越大輝(3年)に期待がかかるが、彦根東打線につかまり、5回途中6失点で降板した。攻撃陣が4番・市原悠希(2年)の2ランなどで10得点して乱戦を10-6で制したが、ライバル・滋賀学園とは対照的な初戦だった。滋賀学園はエース・脇本耀士(3年)が8回を「ノーヒットワンラン」の快投で、守山北に8-1でコールド勝ち。近江の前途は険しいと言わざるを得ない。
北海道ではセンバツ出場校が相次いで敗退
全国に目をやると、北海道では南大会で、センバツ出場の北海が札幌光星に1-9の7回コールドで敗れる大波乱があった。また北大会でも、21世紀枠でセンバツ初出場の別海が、白樺学園に0-8で7回コールド負け。白樺学園は有力校だったが、センバツ出場校が、相次いでコールドで姿を消すのは意外だった。沖縄でも昨夏甲子園8強の沖縄尚学が、創部3年目のエナジックスポーツにコールド負けした。沖縄は4強が決まり、エナジック-ウェルネス沖縄、興南-KBC未来沖縄の準決勝となった。本土はまだ梅雨明けしておらず、不順な天候とそのあとに待ち受ける猛暑が、選手たちの襲いかかる。波乱の要素は、昨年以上に多いかもしれない。