IBMが楽天を特許侵害で提訴:その特許を解説する(2)
ちょっと間が開いてしまいましたが、米国でIBMが楽天を特許権侵害で訴えた件の過去記事の続きです。
今回解説する特許はUS7,631,346です。前回解説したUS7,072,849は、米国の旧特許制度の影響により、1993年の出願(優先日は1988年)のアイデアが現在も特許権として残っているというとんでもない特許でしたが、今回解説のものはそういう性質のものではありません。ただし、出願日は2005年4月1日と古く、後述のとおり、今日のウェブサービスでは半ば常識化しているアイデアが特許化されているので結構強力です。少なくとも、プライスライン、グルーポン、エクスペディア、AirBnB、カヤックソフトウェア等に対して権利行使されており、IBMの「伝家の宝刀」特許の1つと言えそうです。発明の名称は、”Method and system for a runtime user account creation operation within a single-sign-on process in a federated computing environment”、シングル・サインオンに関する特許です。
発明のポイントは、複数システムを横断したシングル・サインオンを実現する上で、ユーザーがアカウントを持っていないシステム上では自動的にアカウントを生成することです。あるウェブサービスを初めて使用するときに一から情報を入力してユーザー登録(サインアップ)するパターンに加えて、Google、Facebook、Twitter等における自分の既存アカウント情報を使って手軽にサインアップできる方法は、現在は常識になっていると思いますが、それがこの発明です。
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