そろそろ衣類着火にご用心!死傷者が発生した発火事故の約8割が「こんろ」が原因
『衣類着火』とは、何らかの原因で炎が衣類に燃え移る現象のことで、この現象が起きると全身やけどによって死亡するばかりか、家に燃え移り火災を引き起こすケースもあります。
1年をとおして起きている事故ですが、死傷者が発生した衣類着火による出火事故の約8割が「こんろ」が原因となっています。
そろそろ、もふもふの衣類が恋しくなってくる季節です。そこで今回は、衣類着火に注意したく情報をお伝えします。
仏壇のロウソク・タバコ・こんろ・たき火などで起きる
衣類着火は住宅外では「たき火中」にて多く発生していますが、住宅内ではガスこんろでの調理中・喫煙中・仏壇のロウソクなど、火を使うあらゆるケースで発生しています。
東京消防庁の公表値によると、2018年(平成30年)~2022年(令和4年)までの、住宅内における「死傷者が発生した着衣着火件数・死者数・傷者数」は、以下のとおり平均45.2人にものぼっています。
- 2018年(平成30年):死者4名・負傷者37名 計41名
- 2019年(令和元年):死者2名・負傷者48名 計50名
- 2020年(令和2年) :死者4名・負傷者46名 計50名
- 2021年(令和3年) :死者1名・負傷者41名 計42名
- 2022年(令和4年) :死者2名・負傷者41名 計43名
約8割が「こんろ」が出火原因
出火原因別の死傷者が発生した着衣着火件数216件の内、なんと81%(175件)が「こんろ」が出火原因です。
次いで、仏壇などのロウソクからの出火が8.8%(19件)なので、いかに「こんろでの調理中」が危険であるか分かりますね。
衣類着火の特徴|女性の高齢者が多い
「こんろ」による衣類着火の死傷者の特徴は、上記のグラフのとおり男性よりも女性が多いです。
これは、女性のほうが料理をする傾向が高いことが関係していますが、80代の女性が36件と最も多く、次いで70代女性が23件と高齢者が多い傾向に見えます。
しかし、40代の女性でも22件と多いため、料理をする方は注意が必要だといえるでしょう。
衣類着火の具体例を紹介
ここでは、東京消防庁の「STOP!住宅防火シリーズ① 火災から大切な命を守ろう」パンフレットから、実際に衣類着火によって負傷した方の状況を紹介しておくので、ぜひ参考にしてください。
●顔・頸部(8人)
90歳代女性は、自宅の台所で調理をしていた際に、エプロンの袖がこんろの火に接触して着火し受傷した(中等症)
●手・腕(55人)
①20歳代女性はコンロで調理中に着衣に火が燃え移り、同居人20歳代男性に初期消火を依頼。男性も初期消火中に受傷した(男女ともに中等症)
②20歳代女性は、調理中ガステーブルの奥に置いてある調味料を取ろうとした際に、着ていた割烹着の袖がこんろの炎に触れて着火し右手の甲を受傷した(軽症)
●胸部(9人)
60歳代女性は、調理中の鍋からはみ出したこんろの火が着衣のすそに着火し、上半身にかけて燃え広がり受傷した(重症)
●腹部(9人)
30歳代女性は哺乳瓶を煮沸消毒中、こんろ上部のフックに調理器具をかけようとした際に、着衣に着火し受傷した(軽症)
●背部(22人)
70歳代女性は調理のためこんろに火をつけ、後ろを向いたところ着衣に着火し受傷した(中等症)
このように、手や腕が55人と最も多いのはよくイメージできますが、後ろを向いた際に背中に着火する事故は意外でした。見えない場所なので、一瞬なにが起きたか分からないでしょう。こんろを背にする際には要注意ですね!
着衣着火を防ぐポイント
①調理中は、マフラー・ストールなどは外し、すそや袖が広がっている服を着ている時は、特に炎に接しないように注意
②こんろのまわりに物を置かない!こんろのまわりの物を取る時に、着衣に燃え移る事例が多数発生しているので注意
③鍋等の底から炎がはみ出さないよう、適切な火力に調節する
④カセットこんろ等は取り扱い説明書をよく読んで正しく使用する
⑤こんろなどの火気を使用する際はエプロンやアームカバーなどは防炎品を身につける
もふもふの服は要注意!
11月7日に気象庁は、東京と近畿で冬の訪れを告げる「木枯らし1号」が吹いたと発表しています。これからの季節は、フリース素材など「もふもふ」の服が恋しくなりますよね。
外出中や部屋でくつろぐ際には問題ありませんが、こんろを使った調理中や、石油ストーブや電気ストーブのそばでの着用は避けましょう。表面フラッシュが起きやすく衣類着火につながる可能性が高く危険です。
こんろでの調理時には、火がついても容易に着火せず、着火しても延焼拡大を停止する自己消火性を備えた「防炎品ラベル」の付いた、エプロンやアームカバーの使用がおすすめです。