【南海トラフ地震|兵庫県被害想定:西播磨地域②】津波が襲わない太子町で死者1名!半壊家屋500棟超
南海トラフ地震による兵庫県内の被害想定は、2014年(平成26年)6月に公表した内容が最新です。
そのため、県内でどのような災害が起きるのか、知らない方や忘れてしまった方も多いはず。
そこで、地域ごとの被害想定のまとめを、11年ぶりに改めて紹介しています。
今回は津波が襲ってこない「宍粟市・太子町・上郡町・佐用町」における『西播磨北部地域の被害想定のまとめ』を紹介します。
西播磨北部地域とは海岸に隣接していない市町のこと
この記事内での「西播磨北部地域」とは、西播磨地域の中で海に面していない市町のことです。
上記が西播磨地域の位置関係で、今回の西播磨北部地域では南海トラフ地震による津波被害はありません。ただし、震度5弱以上の揺れは襲うため、安心はできないでしょう。
人口約33,000人の太子町が最も揺れが大きい
上記は「宍粟市・太子町・上郡町・佐用町」における、震度別面積率をグラフにしたものです。
先の位置関係図で最も面積の小さい太子町に、南海トラフ地震では震度6弱の揺れが町全体の約53%を襲います。
それ以外の宍粟市・上郡町・佐用町には、震度5弱・5強の揺れとなる予想です。
太子町の震度分布図|町内約53%で震度6弱
太子町の震度分布図を確認すると、姫路市とたつの市に隣接する住宅地の約53%に震度6弱の強い揺れが襲います。
それ以外の地域は、標高の低い山地を含む北部地域の約47%で、震度5強の揺れが予想されています。
西播磨北部地域で最も面積の小さい太子町のみ、震度6弱の揺れが起こるため要注意です。震度6弱と震度5強の揺れの違いを、気象庁のサイトから紹介しておきましょう。
震度5強:大半の人が、物につかまらないと歩くことが難しいなど、行動に支障を感じる
震度6弱:立っていることが困難になる
上郡町の震度分布図|住宅地では震度5強の揺れが襲う
上郡町は中山間地域であり、震度分布図とGoogleマップの航空写真を比較すると、住宅地の多くが谷沿いに展開されており、その住宅地には震度5強の揺れが予想されています。
しかし、揺れによる建物被害を確認すると、全壊棟数はゼロで、半壊棟数が「冬5時」「夏12時」「冬18時」いずれの発災時刻で、26棟と同数になっています。
液状化が原因で半壊する建物は17件であり、合計で3パターンとも43棟の予想です。
そのため、揺れによる土砂災害が原因で被害にあう、建物や負傷者も予想されていません。
佐用町の震度分布図|住宅地は震度5強の揺れとなる
佐用町は西播磨北部地域で2番目に面積の大きい自治体ですが、総土地面積の約8割が山林です。
上記の震度分布図の「震度5強」の範囲を、Googleマップの航空写真に当てはめると、山林部部を除く住宅地のほとんどが該当します。
しかし佐用町も、揺れによる死者や全壊する建物はゼロであり、半壊家屋は「冬5時」「夏12時」「冬18時」のいずれも、揺れが原因で32棟、液状化で5棟、合計38棟の被害が予想されています。
宍粟市の震度分布図|住宅地は震度5強の揺れとなる
宍粟市は西播磨北部地域で最も面積が大きな自治体ですが、Googleマップの航空写真を見ればお分かりのとおり、市域の約90%が森林です。
そして、上郡町や佐用町と同じく谷沿いに展開される住宅地では、震度5弱の揺れとなりますが、山林部分では震度5弱となります。
南海トラフ地震は海溝型地震であるため、やはり海から離れるほど揺れの影響は少なくなるようです。宍粟市北部の山林の一部では、震度4の揺れとなっています。
ただ、被害想定を確認すると、液状化で全壊する建物が「冬5時」「夏12時」「冬18時」のいずれでも1棟、半壊家屋は揺れが原因で41棟、液状化で40棟、合計81棟が被害を受けます。また、死者はゼロですが揺れによる負傷者は以下のように予想されています。
▼揺れによる負傷者数
- 冬5時:7名
- 夏12時:11名
- 冬18時:8名
詳しい解説はありませんが、恐らく揺れによって半壊する家屋での負傷者だと予測されます。また、被害を受ける建物が多いのは、昔ながらの建物が多く耐震補強が間に合っていないことが原因でしょう。
被害は太子町が最も多い!
南海トラフ地震による被害は、西播磨北部地域では面積の最も小さい太子町が最も多くの被害を受けます。揺れによる人的被害は以下のとおりで、死者1名が予想されています。
- 死者:1名「冬5時」「夏12時」「冬18時」いずれも
- 負傷者:冬5時 74名・夏12時 55名・冬18時 54名
- 重傷者:冬5時 2名・夏12時 3名・冬18時 2名
▼全壊家屋棟数
太子町では震度6弱が約54%の地域に及ぶため、全壊する建物も予想されています。
▼半壊家屋棟数
半壊が予想されている家屋は500棟以上あるため、耐震補強を見直す必要があるでしょう。しかし、被害想定から約11年経過していることから、現在では多くの建物が耐震住宅となっているため、予想よりもかなり低い数字になっているはずです。
津波が襲ってこない「宍粟市・太子町・上郡町・佐用町」の被害想定では、太子町が要警戒レベルにあるといえるでしょう。
その他の自治体では森林面積が多く、住宅地には震度5強の揺れとなりますが、人的被害や建物への被害は少ない予想です。
ただし、あくまでも予想であり震度5弱の揺れでも家具の固定がされていなければ、下敷きになる可能性は大いに考えられます。そのため、津波への対策は不要ですが地震への対策は必須ですね。