Yahoo!ニュース

お子さんの「経験」足りてますか?「経験格差」を埋めるにはキャンプが最適な理由をインストラクターが解説

いわもととしたつキャンプクリエイター/アウトドアライター
写真:Unsplash+

2022年12月15日、「公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン」が発表した子どもの「体験格差」実態調査中間報告書は、貧困などに悩む社会的弱者の抱える「経験格差」の問題を浮き彫りにしたとして、メディアでも話題になりました。

そこで私がおススメしたいのが、「キャンプ体験」。気軽な上に工夫次第では多様な学びが得られるため、体験活動にはもってこいなんです。この記事では、なぜキャンプが経験格差を埋められるのかについて解説していきます。

体験格差が生まれる背景

写真:写真AC
写真:写真AC

子どもの「体験活動」は、子どもの持つ学習意欲や主体性といった「社会情動的スキル」に影響するため、文部科学省としても重要な教育政策としてとらえているほど。

ここで言う体験活動とは、学校で経験する授業やレクリエーション以外の体験のことで、例えば、習い事や学外でのクラブ活動、文化的体験、そして自然体験などが挙げられます。

収入が少なかったり、仕事で忙しいため子どもに体験活動をさせてあげられない。そんなご家庭が多いということも報告書では書かれています。

多用なキャンプスタイル

写真:Unsplash+
写真:Unsplash+

日本キャンプ協会によると、キャンプとは「自然環境のもとで、必要最小限の装備で生活したり宿泊したり活動したりすること」とされています。デイキャンプにも代表されるように、宿泊する事だけがキャンプという訳ではありません。

どこかに拠点を作り、そこで食事をしたり、自然観察をしたり、ゆっくりする。これも一つのキャンプと言えるでしょう。

キャンプを通して子どもが獲得できる経験については以下の記事で体験談をまとめていますので、よろしければご覧ください。
キャンプと幼児教育は相性抜群!机上で得られる何倍もの価値がある事が子育てから分かったという話

工夫次第でかなりコストを削減できます

写真:写真AC
写真:写真AC

かくいう私も、4人兄弟の末っ子として生まれ、家計をやりくりするために両親は働き詰めでした。そんな中で体験活動が十分に出来ていなかったため、こういった状況下にある方たちの気持ちは痛いほど分かります。

キャンプをするにはどうしてもお金が必要...それは紛れもない事実ですが、無料のキャンプ場や自宅にあるものを有効活用出来れば、かなりコストを抑えられます。

車が無いというご家庭でも、公共交通機関を利用して行けるキャンプ場もあるので安心です。

無料キャンプ場の情報は流石の「なっぷ」が充実。ブームも落ち着いたので利用もしやすくなっています。
なっぷ/無料で利用できるキャンプ場

写真:写真AC
写真:写真AC

キャンプブームの終焉は、中古品市場に大漁のテントやギアを流してくれました。中古でも状態の良いものがたくさんあり、かなりお値打ちに入手できるようになっています。テントさえ買えばこっちのもので、あとは自宅から使えるものを持って行けばOKです。積載に余裕があれば、布団さえ持って行っても構いません。

デイキャンプならキャンプ場じゃなくても大きな公園でも可能ですし、荷物も少なくて済むのでオススメです。それなら日よけ用のポップアップテントやタープ、あとはみんなが座れるレジャーシートがあれば大丈夫。

写真:写真AC
写真:写真AC

焚火台やランタンなんかは必要ありません。自宅からおにぎりやお弁当を持って行けばいいのです。お湯でも沸かせればアウトドアで食べるカップラーメンもごちそうですし、暗くなったら星空を見て、さっさとシャワーを浴びて寝るのも醍醐味だったりします。

目的をしっかり持てば十分「体験活動」は可能

写真:写真AC
写真:写真AC

大切なのは、キャンプに行って何をするのかという事。間違ってはいけないのは、「親がやってほしい事、やらせたい事」ではなく、「子どもがやりたい事、やってみたい事」を優先させるという点です。何をすればいいか分からない場合に大人がサポートしてあげて、出来るだけ希望を引き出してみましょう。

体験する際のポイントは次の3つです。

家族でのチームワークが必要な活動

拠点を作ったり、食事を用意したり、皆で一つの目標に向かって行動する

五感をフルに使って自然を感じられる事

満天の星空を見る、川の水に触れてみる、土や風の匂いを感じてみる

普段よりたくさんのコミュニケーションを取る

いつも話さない様な話題でも話せてしまうのがキャンプの良い所

今年の夏休みに向け、計画してみては

写真:Unsplash+
写真:Unsplash+

「公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン」の報告書には、「現在の経済状況が厳しい保護者ほど自身が小学生だった頃の体験機会が少ない」という結果も出ています。もちろんこれが全てという訳ではありませんが、事実として「経験格差」は連鎖する可能性は高いとされています。

どこかで少し頑張れば、子どもの中で大きな思い出になる事も十分にあります。色々とご家庭によって事情はあるかと思いますが、ぜひ子どもたちに良質な「体験活動」を経験させてあげてください。

キャンプクリエイター/アウトドアライター

『子どもを育む場としての「キャンプ」こそ持続可能な社会の第一歩』をテーマに、子どもはもちろん大人の環境意識やサバイバル知識を高めるために日夜活動。実体験を通したキャンプの知識や雑学、マニアならではの考察についてお届けしていきます。

いわもととしたつの最近の記事