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相続対策としての不動産の生前贈与。登記にかかる費用について解説。

相続対策で、不動産の生前贈与を検討されている方も多いと思います。法律が改正され、相続時精算課税制度を利用する場合でも110万円の基礎控除を受けることができるようになったため、不動産の生前贈与に前向きな方も増えていると聞きます。

不動産の生前贈与を行った場合、相続の時と同じように、名義を変えるための登記が必ようになります。

では、不動産の生前贈与の登記にはどのくらいの費用が掛かるのでしょうか。相続登記と比較しながら確認していきましょう。

実は登記の面から見ると相続登記の方がコスパがよい

まず、不動産を特定の相手の名義に変更する場合、所有権移転登記を行います。

所有権移転登記を申請する際、登録免許税という税金を国(法務局)に納める必要がありますが、登録免許税の税率は所有権移転登記の原因によって異なります。

実は生前贈与の登記には相続登記と比較して圧倒的に高い税率が課されています。

その差は5倍。贈与登記と相続登記の税率を具体的に見ていきましょう。

生前贈与と相続登記の登録免許税の違い

生前贈与による所有権移転にかかる登録免許税の税率は次の通りです。

固定資産税評価額×1000分の20

例えば評価額が1000万円の不動産だった場合、登録免許税は20万円となります。

次に、相続による所有権移転に係る登録免許税の税率は次の通りです。

固定資産税評価額×1000分の4

例えば評価額が1000万円の不動産だった場合、登録免許税は4万円となります。

これが例えば評価額1億円の不動産だったらどうでしょうか?生前贈与の場合は200万円、相続の場合は40万円の登録免許税となります。その差は160万円。

なかなか大きいですね。

生前贈与をした場合に他にかかる税金は?

ちなみに、相続登記をしたときには課税されないけれど、生前贈与の登記をしたときには課税される税金があります。

それは不動産取得税です。不動産取得税は不動産を取得したときに一度だけかかる税金ですが、相続によって不動産を取得したときには課税されません。

現在のところ、不動産取得税の税率は以下の通りです。

固定資産税評価額×3%(土地・住宅)

なお住宅以外の家屋については4%の税率となっています。

単純計算をすると、例えば評価額が1000万円の不動産(土地・住宅)だった場合、不動産取得税は30万円となります(令和9年3月31日までに取得する宅地等の土地については課税標準を2分の1とする特例があります)。

見落としがちですが、不動産の生前贈与を検討する上では把握しておきたい税金です。

相続時精算課税制度を使った場合には?

相続時精算課税制度とは子や孫が生前贈与で財産を受取った場合に2500万円までなら贈与税を支払うことなく、相続時に相続財産として精算することができる制度です。贈与税が免除になるのではなく、あくまで相続時まで課税を繰り延べる制度となります。

本年度から相続時精算課税制度の一部が改正され、本制度を利用する場合でも、110万円の基礎控除が受けられるようになりました。

ただし、相続時精算課税制度を使っても2500万円の枠を超えた場合には、贈与税がかかります。

生前贈与で受け取る財産の価格に110万円の基礎控除を適用した後、2500万円を超える場合には、その超える部分に対して一律20%の贈与税がかかります。なお、このときに支払った贈与税についても相続時の精算対象となります。

遺言書作成など別の相続対策の検討もしてみよう

今回は主に登記にかかる税金の面から生前贈与について解説しました。

相続時精算課税制度を使う使わないに限らず生前贈与にはメリットデメリットがあります。また、生前贈与をした後7年以内に贈与者が亡くなってしまった場合、相続財産に加算されるリスクがあります。

場合によっては税理士などの専門家に相談したり、遺言書の作成や家族信託の活用を検討してみることがおすすめです。

司法書士とは不動産などの大切な権利を守るための専門家です。司法書士の視点から不動産、相続、終活を中心にわかりやすく役に立つ記事をお届けします。AFP2級ファイナンシャルプランナーでもあり、行政書士、宅建士の有資格者です。

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