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韓国代表DFが初めて体感した“Jリーグのレベル”の高さに驚く「パワーは劣ると言われていたが…」

金明昱スポーツライター
今季からガンバ大阪に加入した韓国代表DFクォン・ギョンウォン(写真:アフロスポーツ)

「もっとコンディションを上げていかないといけない。ミスも多かったと反省しています」

 今季からガンバ大阪に加入した韓国代表DFクォン・ギョンウォンの言葉からは、悲壮な覚悟がにじみ出ていた。

 JリーグYBCルヴァンカップ・グループステージ第5節(23日)で、セレッソ大阪とガンバ大阪が対戦。

 クォン・ギョンウォンは先発に名を連ね、センターバックとして出場。その風貌とプレースタイルは、昨季までガンバ大阪に在籍した韓国代表DFキム・ヨングォン(蔚山現代)を彷彿させるものがあった。

 3月15日のチーム合流からまだ約1カ月と間もないが、球際とフィジカル強さはもちろん、最終ラインからのビルドアップと連携も及第点と感じた。

 試合は0-0で引き分けて、“大阪ダービー”史上、公式戦56度目の対戦で初めてスコアレスドローという記録も生まれたが、ガンバ大阪は1勝2分2敗でグループステージ敗退。

 その結果を踏まえてクォン・ギョンウォンは試合をこう振り返った。

「最終ラインでボールを持った時は、自分からスタートするので、もう少し攻撃に力になるようなプレーが必要だった。自分自身もミスが多かったと反省している」

それでも公式戦の先発出場は今季3度目(リーグ戦1試合、カップ戦2試合)で、いずれもフル出場を果たしており、チームでの信頼も少しずつ勝ち取っている姿が見られた。

「ガンバ大阪の環境にはすごく満足している」

 Kリーグの全北現代でプロデビューし、その後はアル・アハリ(UAE)、天津天海(中国)、Kリーグ軍隊チームの尚州尚武(現在は金泉尚武、韓国)に所属したことで兵役の義務も終えた。

 2021年夏からKリーグの城南でプレーし、今季からJリーグ行きを決めている。

 Jリーグ行きを決めた理由について、韓国メディアに「様々なリーグを体験してみたかった」と語っている。また、「日本は韓国、UAE、中国とはまた違うサッカーを追求している場所。ガンバ大阪がポゼッションサッカーを重視していると聞いている。韓国代表のスタイルと似ている点が多い」とガンバ大阪でのプレーが、代表チームでも生かされると考えている。

 来日して約1カ月。日本での生活はどうなのかを聞いてみた。

「ガンバ大阪には(チュ)セジョン先輩がいますし、長らく(キム・)ヨングォン先輩もプレーしていたチームなので、環境にはすごく満足しています。アドバイスしてくれるチームメイトが多いので生活面もすごく楽で、楽しく過ごしていますよ」

 まだシーズンは始まったばかりだが、Jリーグへの適応についても「自信がありすぎてもだめですし、自信がまったくないのもそれは違いますよね。自分が置かれた状況の中で、ベストを尽くせばいい結果が得られると思っています」と語る。

早い段階でガンバ大阪のサッカースタイルに適応している印象を受けたが、「毎日、学ぶことがとても多い」という。

「これまでの選手生活の中でも学んだことがなかったことを監督やチームメイトから学んでいて、とても新鮮です。自分が成長できる環境にいると実感しています」

「とにかくレベルの高いリーグ」

 クォン・ギョンウォンはKリーグ王者の全北現代でプレーもプレーし、UAEと中国でプレーした現役の韓国代表でもある。日本でもある程度、戦える自信はあったはずだ。それでも「Jリーグに来て驚いたことがたくさんあった」と話し始めた。

「かつて韓国内では日本の細かくて正確なパスサッカーはレベルが高いが、パワーでは劣るというのが定説でした。しかし、実際にJリーグに来てみると、フィジカルが強くて闘志をむき出しにする選手も多い。さらに技術が優れた選手が多いので、(試合で)90分間、常に高い集中力を保たないと“やられます”。とにかくレベルの高いリーグだと感じています」

 韓国代表としては2017年にA代表デビューを飾り、これまで20試合に出場。もちろん11月のカタールW杯に出場することは、大きな目標だ。

「ガンバ大阪でのパフォーマンスによって、カタール・ワールドカップ(W杯)に行けるか、行けないかが決まります。これからもっとコンディションを上げて試合に挑みたい」

 これからさらにチームへの貢献度が高まれば、おのずとカタールW杯の韓国代表メンバー選出の道も開けるだろう。これからガンバ大阪で、どのような成長を遂げるのかを期待したい。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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