宝塚記念展望 前日単勝オッズに注目!前走GI優勝馬が20倍台、調教注目のアイアンバローズは単勝万馬券
今年の宝塚記念はフルゲート18頭
26日、JRA阪神競馬場で第63回宝塚記念が行われる。今年はフルゲート18頭が揃った上にメンバーも面白い。宝塚記念は梅雨の時期に行われるため馬場が悪いことが多かったり、春のGIシリーズでの優勝に全力を注いだため秋に備えるべく回避する馬が多いものだが、今年はファン投票の上位馬で国内外のGI優勝経験馬も数多く参戦しているし、ここまでに好成績を積み上げてきた上がり馬もいる。
JRAが発表した前日オッズを確認しよう。
1番人気は昨年の有馬記念などGI3勝のエフフォーリアで3.5倍、2番人気は今年の天皇賞(春)優勝馬のタイトルホルダーで4.8倍、3番人気はGI2着3回のディープボンドで6.6倍、4番人気は2020年の三冠牝馬デアリングタクトで7.5倍、5番人気は前走ドバイターフでGI初制覇を成したパンサラッサで9.4倍だ。ここまでが単勝1桁台。
続く、3頭が単勝10倍台でヒシイグアス(11.3倍)、オーソリティ(13.1倍)、アリーヴォ(14.0倍)と続く。その次の9番人気が大阪杯を制したポタジェで23.1倍となっている。
注目は逃げ馬2頭の駆け引き
まず、何より気になるのは確固たる逃げ馬が2頭いる点。
逃げ馬にもいろんなタイプがいるが、パンサラッサはいかに気分よく逃げてセーフティリードを保てるか、が心情。一方、タイトルホルダーは自身のリズムを保つことが大事で先頭を走ることが絶対条件ではない、というタイプだ。
したがって、この2頭の先行争いはハナを巡ってやり合うよりも、パンサラッサが逃げてタイトルホルダーがつつく展開になると予想している。ここで気になるのは、タイトルホルダーが自分のリズムで走った場合、パンサラッサからしたら後ろからずっとつついてくる馬がいる馬がいるように感じるのではないか、と想像できる点だ。パンサラッサがタイトルホルダーを気にせずにマイペースでリードを保てればいいのだが、それをタイトルホルダーが許すだろうか。さらにいえば、1枠2番という絶好枠に入ったアフリカンゴールドも同型馬だ。パンサラッサが鮮やかに逃げ切った中山記念はもともと逃げ馬有利のコースだった。今回、この舞台、このメンバーでは決して楽な逃げができるとは思えない。さらに距離がパンサラッサにとっては少し長いので、それらをどれだけ克服して我慢ができるか、が焦点になるとみている。
タイトルホルダーは逃げなくても結果を出せるだけの状態にあるはず。鞍上の横山和生騎手はひらめき型というよりはじっくりと思考に思考を重ねるタイプなので、すでにあらゆるパターンのシュミレーションをしているだろう。有馬記念は番手からの競馬で5着に敗れているが、今回は新たな魅力を引き出した競馬ができるのではないだろうか。とても楽しみである。
■2022年 ドバイターフ(GI) 優勝馬 パンサラッサ
■2022年 天皇賞(春)(GI) 優勝馬 タイトルホルダー
GI2戦1勝なのに単勝23.1倍のポタジェに妙味
気になるのは前走で初のGI勝ちを収めたポタジェが前日単勝23.1倍におさまっているという点だ。確かにポタジェは大阪杯以前は善戦はするが掲示板どまりで勝ち切れないレースが続いてきた。しかし、厩舎が無理せずにじっくりと馬の成長にあわせて育ててきてようやくこの春結果が出るまでのレベルになったのだ。決してフロックではない。
しかし、評価がこの程度に収まっているのは何故なのだろうか。この春のGIにもみられたが、話題の多い馬に単勝買いが集まる傾向が反映されているように感じざるを得ない。もちろんエフフォーリアは強い。前走のゲート内でのアクシデントやこの中間の調教の物足りなさはあれど、あっさり宝塚記念を制しても不思議ない実力の持ち主だ。本格化したタイトルホルダー、遠征を得意とするパンサラッサらに人気が集まるのもわかる。しかし、GI2戦1勝で前走2000mのGIを勝った実績馬が単勝20倍台とは驚いた。
8枠は気になるが「他馬をみて競馬をすすめられる」(大江助手)と厩舎サイドも前向きにとらえている。
大人気の横山兄弟は筆者も大好きだし応援しているが、吉田兄弟も忘れてはいけない。
■2022年 大阪杯(GI) 優勝馬 ポタジェ
単勝万馬券のアイアンバローズ「今までの調教でいちばんいい動き」
調教で筆者が注目しているのはアイアンバローズだ。
このところ長距離レースを中心に走ってきたが、このくらいの中距離でもじゅうぶん立ち回れるはず。今回は積極策に出るとのことで、位置取りは逃げ馬グループの番手につくかたちになるだろう。
阪神コースは2勝クラスで2400m戦を勝っているほか、今年の阪神大賞典でディープボンドの2着にきている。
そして、何より調教がいい。気分よく整わせる程度の走りで好時計をマーク。陣営も「今までの調教でいちばんいい動き」としており、激走があるとしたら今回、とみている。オッズもかなりつくので、少額の応援馬券を買って楽しむつもりだ。
■2022年宝塚記念 調教VTR
心情的にはデアリングタクトの復活劇に期待
心情的に応援したいのはデアリングタクト。右前脚の繋靭帯炎で1年にわたる長期休養を余儀なくされ、前走のヴィクトリアマイルで久々の実戦。6着に敗れたが、休養期間の長さを考えれば十分な成績だったといえる。いちばん心配していたのは、レースへの気持ちの衰えだった。牝馬は一度競走への気持ちが途切れると、そのまま復活しない例が多い。そして、繁殖という次ステップに待つ大事なターンへ進んでいく。叩き2戦目とはいえ、デアリングタクトにとってこのメンバー相手に勝ち切るのはかなり大変だろうが、心情的には復活して欲しいと思う。
近年は中距離戦においても牝馬が牡馬と対等に姿は数多く見られるし、特に宝塚記念は5歳牝馬が馬券対象になることが多い。
・2014年 ヴィルシーナ 3着
・2015年 デニムアンドルビー 2着
・2017年 ミッキークイーン 3着
・2019年 リスグラシュー 1着
・2021年 クロノジェネシス 1着
この中間のデアリングタクトは調教を見る限り、ひと叩きされた上積みは感じられる状態だ。彼女の今後を占う意味でもここは大切な1戦。無事、力を出し切るレースができることを期待したい。
■2020年 秋華賞(GI) 優勝馬 デアリングタクト
参考レース
■2012年宝塚記念 優勝馬 オルフェーヴル(アイアンバローズの父)