不動産業界も首をかしげる「新築マンションがスムーズに売れる」意外な理由
首都圏にコロナ禍による最初の緊急事態宣言が出たのは、昨年4月。行動自粛の要請を受け、新築マンションの販売センターは大部分が営業を停止した。そのとき、門を閉ざした販売センターを見て、「マンションが売れなくて、ついに休業した」と勘違いする人もいた。
そのような勘違いが生じたのは、「コロナ禍で住宅は売れなくなるだろう」と予測する人が多かったからだ。コロナ禍で経済は落ち込み、住宅を買う人は大幅に減ると予想され、さっそくその状況が現れた、と早合点されたわけだ。
しかし、実際の状況はまったく異なるものだった。
コロナ禍にあっても株価は高い水準を維持しているし、住宅の売れ行きも落ち込まなかった。新築マンションの売れ行きも最初の緊急事態宣言が解除された後、6月以降すぐに回復し、昨年夏から新築マンションは各不動産会社が驚くほど売れた。
といっても、「飛ぶように売れる」とか、「品切れ続出になる」というような売れ方ではない。危惧されたような落ち込みはなく、順調に売れている、というのが実際のところだ。
そもそも、新規に発売されるマンション戸数は増えていない。
2020年はバブル崩壊後、最低の発売戸数で、2021年も同等か、それ以下になる見通しだ。
発売戸数は少ないが、集客に苦労していないし、決定率(検討して、そのまま購入に至る比率)も高い。苦労しないでも、新築マンションは順調に売れているのだ。
そこで、出てきたのが、「コロナ禍なのに、なぜ、新築マンションがこんなにスムーズに売れるのか」という疑問。多くの不動産関係者が首をかしげているのだが、販売現場を訪れ、見学者たちの話を聞いて、その答えが見えてきた。
それは、「投資家の動き」がキーワードとなったというもの。といっても、今マンションを買っているのは投資家といっているのではない。
投資家とは対極にいる堅実なファミリー世帯が、コロナ禍でもマンションを買っている人たちだ。その堅実なマイホーム購入に、投資家の動きが意外な影響を及ぼした、という話である。
コロナ禍でも予定を変えない堅実な購入層
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