コロプラ、任天堂特許権の回避のためにゲーム操作方法を変更
本日付で、コロプラが自社ウェブサイトに「2月19日(水)実施予定のクエストにおける操作方法の変更について」というお知らせを発表しています。変更内容は、白猫プロジェクトにおいて「(現在)スキルボタン付近をタップした状態で、指を離すことでアクションスキル発動 →(変更後)スキルボタン付近に指がふれた時点で、アクションスキル発動」ということで、今までは指を離しただけでアクションできていたものが、アクション選択というワンステップが入ることになります。「引き続き係争中ではありますが、白猫プロジェクトを今後も長く皆様にお楽しみいただくための対応となります。今回の件が影響し、白猫プロジェクトのサービスが終了するということは断じてございません。」と書いてあることから、明らかに任天堂の特許権回避のための変更と思われます。
関連する特許は、私も過去記事で紹介した特許4262217号 「ゲームプログラム及びゲーム装置」で間違いないでしょう。過去記事の解説部分を以下に引用します。
任天堂対コロプラの訴訟は、ボランティア的な方がたまに裁判書類を閲覧してネットで公開してくれている以外、なかなか情報が出てこないですが、上記のお知らせから判断する限り、コロプラとしては、差止めを命じられてから対応すると最悪サービス中断という羽目になってしまうので、早目に対応したものと思われます。もう一つの可能性としては、訴訟が損害論に入って損害賠償額が思ったより高くなりそうなことがわかったので、これ以上賠償額が増えないようあわてて設計変更したのかもしれません。なお、設計変更によって特許権侵害を回避しても、過去の侵害による損害賠償の責は負います。
この特許に関するもう一つの情報としては、昨年の11月18日に任天堂による訂正審判で訂正を認める審決が出ていることがあります。訂正審判とは、既に登録されている特許に対して権利者が変更を行なうための審判です。既に権利化された特許の権利が後から広くなったりすると他社はたまりませんので、権利範囲を狭くする変更に限る等の厳しい要件が求められます。この訂正審判では、「ポインティングデバイス」を「タッチパネル」に「オブジェクト」を「プレイヤキャラクタ」に変更すること等が請求されていますが、いずれも適法な訂正として認められています。一般に、訂正審判は、訴訟中に被告側が特許の無効を主張した際にその対抗策として行なわれます。さらに、この訂正審判では、侵害訴訟におけるコロプラ側の無効の主張についても検討されていますが、特許庁審判官は訂正後の本特許には新規性・進歩性があるとの結論を出しています。この訂正審判により、任天堂は、コロプラの特許権侵害状態を維持しつつ、無効を回避できるようちょうど良い塩梅で権利範囲を限定できたと言えます。
ということで、少なくともこの特許については任天堂の勝利は間近という状況だと思われます。