任天堂が対コロプラ特許侵害訴訟で使った特許番号が明らかになったので中身を解説します(前半)
話題になっている任天堂対コロプラの特許侵害訴訟、裁判資料に閲覧制限がかかっていたため、どの特許が問題になっているのか明らかではありませんでしたが、ようやく閲覧制限が解除されたようで、WSJ紙の望月記者が裁判記録を閲覧してツイッターで報告されています(多謝)。
ということで、以下、簡単に内容を説明していきます。
3734820号については、以前に私が書いた記事の勝手予想が当たっていました。内容については当該記事をご参照ください。以下、残りの4件(のうちの2件)について簡単に解説します(公報に直リンが張れるようになったのは助かりますね)。主要クレームのみ見ていきます。
特許4262217号 「ゲームプログラム及びゲーム装置」
どういう特許かというと、自キャラを操作して敵キャラに近づいた時に操作を解除(典型的にはタッチスクリーンから指やペンを離す)した時に、敵キャラに十分近い時には自動的に攻撃等を開始するという操作方法の特許です(タイトル画像の例で言うと、ペンを画面から離した時にモンスターとキャラの距離が所定距離以下であれば攻撃メニューを選ぶことなくモンスターへの攻撃が開始されます)。いちいちメニューから選んで攻撃するのは煩雑ですし、かと言って敵キャラに近づいただけで勝手に攻撃を始めるのではプレーヤーの意図しない攻撃を行なってしまう可能性があるので、指やペンを離すという自然な動作をトリガーとして攻撃するというUI特許です。
特許4010533号「ゲーム機、電子機器、および省電力モード管理プログラム」
なぜか請求項1(プログラムクレーム)ではなく、請求項11(装置クレーム)が使われています。コロプラはゲーム機を製造しているわけではないですが、スマホを装置クレームに記載したゲーム機として機能させるプログラムを提供しているので間接侵害を問える、かつ、装置クレームの方が侵害を立証しやすいからかもしれません。
この発明のポイントは、スリープモードから復帰した時に、いきなりゲーム画面に戻るのではなく、一度確認画面を出して本当に戻ってよいかを確認してからゲーム画面に戻るということです。スマホ(や携帯ゲーム機)がポケットの中などで勝手にスリープ解除され、ゲームが始まってしまうのを防ぐ発明ということになります。
いずれも、いかにもありそうだった(しかし、少なくとも審査では新規性・進歩性ありと判断された)ということで結構強力な特許に思えます。こんなの当たり前だ(特に後者)と思う方は出願日に注目してください。初代iPhone(2007年)よりもはるかに昔です。(ところで、以前の記事を書いた時にも思いましたが、これらの一連の出願、担当弁理士先生の明細書の書き方が大変ていねいでわかりやすいので勉強になります。)
長くなったので残り2件は後半に回します。