2試合続けての5盗塁!しかし2試合続けて満塁弾も浴びました…《6/17 阪神ファーム》
18日朝の地震は本当にビックリしました。もう薄れたと思っていた23年前の感覚がまざまざとよみがえり、その後の余震は大きくなかったものの、あの時と同じように眠れない夜でした。皆様は大丈夫ですか?これ以上の被害がないことを祈ります。
阪神タイガースのファームは休養日でしたが、交流戦を終えた仙台から朝10時台の飛行機で帰阪予定だった1軍は、使用機の到着を待って約2時間遅れで仙台空港を出発。伊丹空港からは球団が急きょ用意したバスに乗って、帰途についたようです。それを聞いて少し安心しました。今もまだ余震が続いてはいます。皆さんも養生なさってください。
チーム100個目の盗塁は荒木選手
当然ながら地震が起きるとは予想だにしていなかった17日、甲子園球場ではウエスタン・阪神-中日戦が行われました。遅くなってしまったけれど、その模様をご紹介します。15日からの3連戦は、まず西田直斗選手の今季1号2ランで逆転サヨナラ勝ちし、16日は8回に満塁ホームランで追い上げられるも前半のリードを守って逃げ切りと連勝。
17日も序盤、中盤と加点して3連勝か?と思ったら…また8回に満塁ホームランを打たれ、今度は追いつかれた上に、9回も3点追加されて敗戦。2日続けて、同じ8回に満塁ホームランですよ。ランナーがたまった時にイヤ~な予感がしたのは私だけじゃないかも。久しぶりに先発した岡本洋介投手が6回3安打1失点の好投だっただけに、残念です。
なお前回の記事で「60試合で98個」とご紹介したチーム盗塁数は、17日にも5つ成功させ、61試合で103個となりました。100個目は3回の荒木郁也投手です。タイミングは際どく、いったんアウトと判定されたんですけど、荒木選手が指差したところにボールが転がっていてセーフ!また島田海吏選手も6回に1つ決めて18盗塁としています。リーグトップで今1軍にいる同期・熊谷敬宥選手の20個を、すぐに抜いてしまいそうな勢いですね。
《ウエスタン公式戦》6月17日
阪神-中日 16回戦 (甲子園)
中日 010 000 063 =10
阪神 022 012 000 = 7
◆バッテリー
【阪神】岡本‐歳内-石井‐モレノ-●松田(3敗2S) / 小宮山-坂本(7回~)
【中日】清水(3回)-福(1回)-山本拓(3回)-○三ツ間(1勝1敗1S)(1回)-S谷元(1敗4S)(1回) / 桂‐加藤(9回裏)
◆本塁打 中:松井佑4号ソロ(岡本)、野本3号満塁(モレノ)
◆三塁打 神:北條
◆二塁打 神:ロサリオ、板山 中:石川駿
◆盗塁 神:島田(18)、荒木(9)、今成(1)、緒方2(5)
◆打撃 (打-安-点/振-球/盗/失) 打率
1]左:島田 (5-1-0 / 0-0 / 1 / 0) .233
2]指:荒木 (3-1-0 / 1-0 / 1 / 0) .205
〃打指:西田 (1-1-0 / 0-1 / 0 / 0) .239
3]二:板山 (5-1-1 / 1-0 / 0 / 0) .264
4]一:ロサリ (3-2-1 / 0-0 / 0 / 0) .346
〃一:森越 (0-0-1 / 0-0 / 0 / 0) .213
5]遊:北條 (5-2-0 / 1-0 / 0 / 0) .242
6]三:今成 (3-1-1 / 1-2 / 1 / 0) .233
7]右:緒方 (4-3-2 / 1-1 / 2 / 0) .281
8]中:江越 (3-0-0 / 1-2 / 0 / 0) .214
9]捕:小宮山 (3-1-1 / 0-0 / 0 / 0) .262
〃捕:坂本 (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .268
※ロサリ=ロサリオ
◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ
岡本 6回 82球 (3-5-1 / 1-1 / 3.50) 145
歳内 1回 15球 (0-0-0 / 0-0 / 6.23) 148
石井 0.1回 30球 (5-1-0 / 5-5 /15.43)138
モレ 0.2回 9球 (1-1-0 / 1-1 / 7.31) 151
松田 1回 25球 (3-1-2 / 3-3 / 6.60) 147
※モレ=モレノ
《試合経過》※敬称略
三者凡退で立ち上がった岡本ですが、2回に先頭・松井佑の4号ソロで1点を先取されます。しかし、そのあとを3人で片づけると3回、4回はビシッと三者凡退。5回は先頭の野本に中前打されますが、後続は遊ゴロ2つ(最後は併殺)で無失点。6回は1安打1四球で2死一、二塁となるも遠藤の遊ゴロを捕った北條がナイススロー!岡本は6回を3安打1失点で交代です。
その間に打線は計7点を取っています。2回はロサリオが三塁線を破る二塁打を放ち、1死後に今成の左前打で生還!すぐに追いつきました。さらに今成が今季初盗塁を決め江越の死球などで2死一、二塁として小宮山がピッチャーへのタイムリー内野安打。あっさりと勝ち越します。
3回にも荒木の左前打と盗塁、板山の二ゴロで1死三塁となりロサリオが中前タイムリー!今成の四球などで2死一、二塁として緒方の右前打でロサリオがまた二塁から生還。これで4対1です。
5回は中日3人目の山本拓に対して、2死を取られたあと北條が左越えの三塁打、今成は四球を選んで、続く緒方が中前タイムリー!6回は島田のセカンド内野安打と二盗、代打・西田は四球で無死一、二塁。板山が右翼線へタイムリー二塁打を放ち、森越の左犠飛でもう1点を加えます。これで7対1とリードを広げました。
7回は歳内と坂本のバッテリーに代わり、4番からを3人でピシャリ!ところが8回の石井が先頭の石川駿、石垣、桂に3連打されて無死満塁。1番・石岡は三振だったものの、伊藤康と遠藤に連続タイムリーを浴びて降板します。
7対3となって、なおも1死満塁で代わったモレノは松井佑を遊飛に(コメントのところで詳しく)打ち取って2死。ホッとしたのも束の間、次の野本に2ボールからの3球目、149キロの真っすぐを右中間スタンドに放り込まれました。なんと満塁ホームラン…。
それでもまだ同点止まり。と思ったら9回に松田が、いきなり二塁打と犠打で1死三塁のピンチを作り、代打・溝脇の中前タイムリーであっさり勝ち越しを許しました。2死後に連続四死球で満塁として松井佑の左前タイムリーで2人を還し、結局3点を追加されて10対7となります。
打線は7回が緒方の四球と二盗があったものの後続を断たれて無得点。8回は西田が左前打、1死後に森越の犠打で二塁へ。続く北條が左前打、一塁から走った西田が三塁を回るところでコーチは制止します。走塁を助けようとした北條は一、二塁間に挟まれてタッチアウト。勝ち越しはなりませんでした。9回は1死から緒方が、この日3本目となる中前打で粘るも、あとが続かず試合終了です。
「北條はすごい、言うことが何もない」
試合後の矢野燿大監督は、久々の先発でしっかりゲームを作った岡本投手に「(前が)4月くらいかな。久しぶりやったから、こっちもどこまで投げられるかわからなかったけど、すごくいいボールがいっていたし、抑え方も内容もしっかりあった。すごくいいピッチングだった」と満足げな表情でした。
続いて、北條史也選手を絶賛。「本当にいい働きをしている。あの守備もすごい!もうジョーは、ここでは結果を出すだけだよ。俺はもう言うことが何もない。もちろん細かい守備の際どいプレーとか、きょうも捕ってすぐ投げるのにジャッグルしてしまう時はあるけど。そういうところのレベルを上げていくのと、プロだから数字をしっかり出して1軍の選手に負けない、『もう北條を上げなしゃーないやろ!』って言われるとこまでいくぐらいしか」
追いつかれた直後、8回の挟殺について矢野監督は「ジョーは何も悪くない。責められない。あそこまでよく引っ張ったよ」と擁護。そして「ほんとにもう、すごいと思う。練習の姿勢も、試合に臨む気持ちも。やれることはしっかりやっていると思う」と、早期再昇格に期待の言葉です。
上がってもいいタイミングのロサリオ
2試合続けて3安打の緒方凌介選手を「せっかくいい攻めで来ていたのに、最後(9回)は3人で終わるのが寂しいなって気持ちもどこかにあったんだけど、緒方が出てくれて。緒方にはああいうところを俺らも求めたい。部分、部分すごく光るものがあるんだけど粘りとか執念みたいなものがアイツに出てくれば、色んな可能性が広がるから。最後のヒットも追い込まれてからの、しかもあんな取られ方で逆転されたところでのヒットっていうのは、すごく価値がある」と評価しました。
この甲子園3連戦で11打数6安打4打点のロサリオ選手には「上から、どう?と聞かれたら、いいんじゃない?と言える。あとは上でいい結果を出してほしいけど。もしあかんかったらまたこっちへ来るだけのことやし。上もなかなか点が取れないからね。上がってもいいタイミングには来ていると思う」と矢野監督。
改善したところは?「打球の方向。方向を意識しているね。きょうの三塁線二塁打も、引っ張りにいったわけじゃないから。センターに打ちたいということで、面がセンター方向に向いてきているかな。練習から打球の方向がよくなっている。きょうのセンターフライも紙一重」。それから矢野監督は「上でも、これくらいリラックスしてやってくれたら」と笑いました。浜中治打撃コーチも「きょうはかなり冷静だった。ボール球を振らなくなった」と分析しています。
ついに100個を超えた盗塁数
盗塁が、61試合で100個を超えた点については「そうだってね。俺もビックリした!」と目を真ん丸にする矢野監督。「超積極的にやっていくことが選手の可能性を広げると思って、その中で自分たちで可能性を広げた数がたまたま100個なのかなと。でも数が目標じゃないんで。相手もかなり警戒しているから、今まで通り数が増えることはないと思う。その中でどう“かいくぐれるか”というのも、またよりレベルアップの部分」
島田選手が加速していますね。「島田もやっと、ここに来て思いきりのいい走塁になってきた。熊谷ほどの思いきりがなかったし、スライディングも弱かったんだけど。16日の三盗なんか、あの強さで入って見事だったし、スタートの切り方やカウントもよかったし。そういうのはどんどん浸透していると思う。今成でも走るわけだから」。最後はちょっとニヤリという表情監督でした。
好投・岡本&3安打2盗塁の緒方
変わって選手のコメントです。岡本投手は「全体的によかったと思います。キャッチャーのリード通り、うまく投げられました」という感想で、そのあと自ら「ホームランは反省です」という言葉。118キロの変化球ですね?「はい、ちょっと抜けました」。でも他は、ほぼ完ぺきだったのでは?「そうですね。他はシュートも有効に使えたし、インコースをうまく使えたのでよかったです」。2か月ぶりの先発で、イニング数は問題なく?「6回はちょっとバテてきたので…まだまだ体力をつけないと」
次は、2日続けて3安打、そして2試合で盗塁3つの緒方選手。速いストレートにめっぽう強い選手ですが、しっかり変化球も打っています。この日は3回の右前タイムリーと5回の中前タイムリーが変化球、監督が絶賛する9回の中前打が145キロの真っすぐでした。「結果が出ているから調子がいいと言えるのかもしれませんが。あまりよくないなと思っていたんです。でも少し前から打てているので」
調子がいいから結果が出るのか、結果が出ているから調子がいいのか。禅問答みたいになっていますね。なお、この日の3安打は、すべて追い込まれてから打ったものでした。「追い込まれてから、しぶとくヒットを打てているのは自分にとって自信になるし、執念とかそういう部分は出ているのかな」。フル出場の試合が常にあるわけではないので、この2試合で出ずっぱりだったこと、そして3本ずつ打って3つ走ったことは、とても大きなアピールですね。
守備でも魅せた北條
最後は三塁打と左前打のマルチヒットに加え、守備でも見せた北條選手。6回は2死一、二塁で遠藤選手のゴロを捕ってランニングスロー!そのまま走ってベンチへ帰る顔が、ちょっと上向きでした。気のせい?そして矢野監督がすごいと褒めた8回の守備は、5安打を集中されて2点を失った石井投手に代わり、なおも1死満塁でモレノ投手が登板。その初球を4番・松井佑選手が打って、ショート、レフト、センターがダッシュします。
おそらく外野が捕るであろうと思われた打球を、伸ばしたグラブでつかんだのはショートの北條選手です。いや~本当にすごかった!これで大量失点を防いだはずだったのですが…次が満塁ホームラン、しかも追いつかれたのでベンチへ戻る時は暗い顔だったのも仕方ないでしょう。
この遊飛について北條選手は「最初は取れんかなと思ったけど、最後は風でフワッとなって」と言うので、失速した?と聞いたら「いや失速はしてないんですよ。こうフワッとなって」。フワッとなって?「止まってた」。止まって見えたの?「いえ、止まってた」。…すみません。そういうことみたいです。
おまけ★市西の山本投手が地元登板
17日の試合で、中日のドラフト6位ルーキー・山本拓実投手がリリーフ登板。西宮に“凱旋”しました。出身は宝塚市だけど、市立西宮高校の卒業ですからね。阪神戦で投げるのは2度目で、最初は5月25日のナゴヤ球場での先発。相手は能見投手でした。この時は3回4安打2三振4四球で3失点(自責2)という内容で負け投手になっています。今回は3人目で登板して3イニング、4安打1三振4四球の3失点。
167センチという身長なので、キャッチャーの桂依央利選手(185センチ)が並ぶと、なお小柄に見えます。でも最速147キロの真っすぐや110キロ台の変化球も織り交ぜて、相手に向かっていくようなフォームは頼もしいですね。カメラでとらえた顔は、まだ本当に“おぼこい(幼い)”印象です。中日担当記者の方に伺うと「甲子園ということで、かなり緊張していたみたい」とのこと。
市立西宮高校と言えば2年生の女子生徒が、夏の甲子園で開会式に各校のプラカードを掲げて入場行進することで有名な、公立の進学校です。市西(いちにし)野球部の男子にとって、近くて遠かった甲子園。そのマウンドに、山本拓実投手がいつか1軍の先発投手として立つ日を楽しみにしたいですね。
<掲載写真は筆者撮影>