Yahoo!ニュース

打率トップの大谷翔平が5打数0安打の一方で、同じ試合に出場した「隠れ首位打者」は5打数2安打

宇根夏樹ベースボール・ライター
ブライス・ハーパー(左)と大谷翔平 Aug 7, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 8月7日を終え、ナ・リーグの打率トップ6は、顔ぶれも順位も、前日と変わっていない。上から順に、大谷翔平(ロサンゼルス・ドジャース)、ルイス・アライズ(サンディエゴ・パドレス)、ジャリクソン・プロファー(パドレス)、ケテル・マーテイ(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)、アレック・ボーム(フィラデルフィア・フィリーズ)、マーセル・オズーナ(アトランタ・ブレーブス)の6人だ。

 上位5人の打率は、いずれも、前日から下降した。5打数0安打の大谷は.306→.302、同じく5打数0安打のアライズは.305→.302、3打数0安打のプロファーは.302→.300、ダブルヘッダーで計6打数1安打のマーテイは.300→.298、5打数1安打のボームは.298→.297だ。3打数1安打のオズーナは、わずかに上昇したものの、表示上の数値は.297から動いていない。

 大谷の1打席目は、一塁手のブライス・ハーパー(フィリーズ)の足が離れ、セーフかと思われたが、ビデオ判定の結果、アウトになった。セーフのままなら、エラーではなく、内野安打の可能性が高かったと思われる。

 一方、大谷やボーム、ハーパーらと同じ試合に出場したトレイ・ターナー(フィリーズ)は、5打数2安打を記録し、打率を.306→.308とした。

 ここまで、335打席のターナーは、フィリーズの試合数×3.1打席未満なので、現時点ではランキングの対象外だ。けれども、ターナーの不足分は、20打席に満たない。フィリーズは、8月7日が114試合目。114×3.1=353.4。従って、353打席-335打席=18打席の不足だ。このまま出場を続ければ、レギュラーシーズンが終わるまでには、まず間違いなく502打席――162×3.1=502.2――に到達する。

 3年前、ワシントン・ナショナルズとドジャースでプレーしたターナーは、打率.328を記録し、首位打者を獲得している。夏のトレードで、マックス・シャーザー(現テキサス・レンジャーズ)とともに移籍した。

 現時点において、大谷の首位打者を阻む候補を挙げるなら、その一番手は、ターナーではないだろうか。昨シーズンの打率は.266ながら、その前の4シーズン、2019~22年の打率は、いずれも.297を上回った。

 アライズは、過去2シーズンとも首位打者を獲得している。ただ、もしかすると、左手の親指が万全の状態ではないのかもしれない。6月25日の試合で三塁に滑り込んだ際に痛め、故障者リストには入っていないが、選出されたオールスター・ゲームには出場しなかった。

 また、後半は、ここまでの16試合中3試合でスターティング・ラインナップから外れている。アライズは左打者で、3試合とも、相手の先発投手は左だが、その頻度が少し高いような気がする。前半と比べると、明らかに高い。今シーズンは、対右が打率.319、対左は.271。左投手を打てていない、というほどの数値ではない。ちなみに、後半に先発出場の13試合中4試合は、対左だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事