再び暑さをもたらす高気圧により、週末に東シナ海に北上してくる台風18号は夏台風のように動きが遅い
暑さで始まった10月
10月1日に全国で気温が一番高かったのは愛知県・豊田の34.1度で、35度以上の猛暑日を観測した地点はありませんでした。
ただ、最高気温が30度以上の真夏日を観測した地点が248地点(気温を観測している全国914地点の約27パーセント)、最高気温が25度以上の夏日を観測した地点が735地点(約80パーセント)あり、5日ぶりに暑い日本列島となりました(図1)。
9月中旬まで続いていた記録的な暑さに比べれば、猛暑日や真夏日の観測地点数は少なくなってはいますが、周期的に暑い日が出現しています。
真夏日予想は10月2日が179地点(約20パーセント)、3日が29地点(約3パーセント)と少なくなるのですが、4日は139地点(約15パーセント)と再び多くなる見込みです。4日には、新潟県で猛暑日を観測するかもしれません。
これは、一旦後退していた太平洋高気圧が再び勢力を強めて日本付近に張り出してくるからです。
これによって、南シナ海にあって、北上中の台風18号に影響を与えます。
台風17号と台風18号
三陸沖を北上中の台風17号は、今後、日本の東を北東へ進み、10月2日夜には千島の東で温帯低気圧に変わる見込みです。
このため、台風17号からのうねりが入ってくる関東沿岸では、2日はうねりを伴った高波に注意が必要です。
一方、南シナ海には、動きの遅い、大型で猛烈な台風18号があります(図2)。
台風18号の動きは遅く、ゆっくりと台湾の西海岸を北上する見込みです(図3)。
台風18号は、今後もゆっくり北上を続けることから、10月3日(木)から5日(土)頃にかけて沖縄に接近するおそれがあります。
沖縄では、最新の台風情報に注意し、うねりを伴った高波に警戒し、強風に注意が必要です。
台風18号周辺の海面水温は、台風が発達する目安の海面水温27度より暖かいのですが、夏の台風のように動きが遅く、しかも台湾に上陸して北上することから、勢力を次第に落とすという予報になっています。
台湾の面積は、九州よりやや小さい島ですが、豊臣秀吉が開国を促した文書に「高山国(たかさぐに)」と称したように、面積に比較して高い山が多い国です(図4)。
太平洋戦争以前は、日本の最高峰であったユイ山、当時の新高山(ニイタカヤマ)3997メートルをはじめとして、3000メートル以上の高峰が133座もあります。
このため、台湾付近の台風の動きは複雑なものが多く、これらは、主として、山脈による地形効果と考えられています。
その結果、ちょっとしたことで南西諸島に接近するタイミングが変わり、予報を難しくしています。このため、予報円がかなり大きくなっています。
令和6年(2024年)の台風
令和6年(2024年)は、台風の発生が遅く、第1号がフィリピン近海で発生したのは、5月26日でした。
台風の統計がある昭和26年(1951年)以降、台風1号が一番遅く発生したのは、平成10年(1998年)の7月9日で、令和6年(2024年)は、史上7番目の遅さということになります。
6月に台風の発生はなく、7月も台風発生数が2個と平年に比べて少なかったのですが、8月は平年並みに6個、9月は平年より多い8個も発生しています。
9月末までの台風発生数は、平年が18個から19個ですので、ほぼ平年並みの発生数になってきました(表)。
なお、「台風の接近」は台風の中心が国内のいずれかの気象官署から300キロ以内に入った場合を指します。また、「台風の上陸」は台風の気圧中心が北海道、本州、四国、九州の海岸線に達した場合を指します。
台風によって大きな被害が発生する月としてあげられるのは9月で、10月になると、接近数や上陸数は9月に比べると大きく減ります。
しかし、10月は大きな被害を出した台風が少なくなるというわけではありません。
最近では、令和元年(2019年)の台風19号、「令和元年東日本台風」と名付けられた台風があります。
台風シーズンは、7月から10月まで続きます。
タイトル画像、図2、図3の出典:ウェザーマップ提供。
図1の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。
図4の出典:饒村曜(平成5年(1993年))、続・台風物語、日本気象協会。
表の出典:気象庁ホームページ。