台風17号が小笠原近海から日本の東を北上、大型で非常に強い台風18号は進路が複雑になる台湾近海を北上
台風17号が北上
台風17号が小笠原諸島近海から関東の東海上を、時速35キロ以上という速度で北上しています(図1)。
台風17号の進行方向の海面水温は、台風が発達する目安の海面水温27度より暖かいため、若干勢力を強めながら北上し、3日には千島近海で温帯低気圧に変わる見込みです。
例年であれば、10月の台風は、夏に比べて海面水温が低くなってきた海域を進むこと、上空の偏西風が日本付近に南下してくることから、北東進することが多くなります。
しかし、台風17号は、衰えることなく北上することから、まるで夏の台風です。
予報円が比較的小さいという、予報精度が高い予報で、上陸の可能性が少ないということができるのですが、台風17号に伴う雨雲が陸地にかかる可能でもあり、台風17号が過ぎ去るまでは、最新の台風情報に注意してください。
台風18号も北上
北上してくる台風は、17号だけではありません(タイトル画像)。
バシー海峡には大型で非常に強い台風18号が発達しながら西進しています。
この台風18号は、今後、次第に進路を北より変えて、3日(木)頃は暴風域を伴って沖縄に接近するおそれがあります(図2)。
このため、沖縄では、台風18号に関する最新の情報を使い、暴風やうねりを伴った高波に警戒してください。
北緯20度付近で動きが遅く、しかも東シナ海で北東進ではなく西に進むという予報は、台風18号もまるで夏の台風の様相です。
ただ、台湾付近の台風は、台湾にある高い山の影響で複雑な動きをします。
台湾の面積は、九州よりやや小さい島ですが、豊臣秀吉が開国を促した文書に「高山国(たかさぐに)」と称したように、面積に比較して高い山が多い国です(図3)。
太平洋戦争以前は、日本の最高峰であったユイ山、当時の新高山(ニイタカヤマ)3997メートルをはじめとして、3000メートル以上の高峰が133座もあります。
ちなみに、日本で3000メートル以上の高峰は12座です。
台湾の中央気象局の王時鼎氏は、台湾に接近する台風を15に分類しています(図4)。
このように、台湾付近の台風の動きは複雑なものが多く、これらは、主として、山脈による地形効果と考えられています。
その結果、ちょっとしたことで南西諸島に接近するタイミングが変わり、予報を難しくしています。このため、予報円がかなり大きくなっています。
令和6年(2024年)の台風
令和6年(2024年)は、台風の発生が遅く、第1号がフィリピン近海で発生したのは、5月26日でした。
台風の統計がある昭和26年(1951年)以降、台風1号が一番遅く発生したのは、平成10年(1998年)の7月9日で、令和6年(2024年)は、史上7番目の遅さということになります。
6月に台風の発生はなく、7月も台風発生数が2個と平年に比べて少なかったのですが、8月は平年並みに6個、9月は平年より多い8個も発生しています。
9月末までの台風発生数は、平年が18個から19個ですので、ほぼ平年並みの発生数になってきました。
これまでに発生した18個の台風の発生位置をみると、台風が発生した月によって発生海域が偏っています(図5)。
5月から7月は南シナ海からフィリピンの東海上で発生しましたが、8月は日本の南で発生しています。
9月は、バラつきはありますが、多くはマリアナ諸島の東海上で発生しています。
9月の台風と10月の台風
台風によって大きな被害が発生する月としてあげられるのは9月で、10月になると、接近数や上陸数は9月に比べると大きく減ります。
平年の本土(北海道、本州、四国、九州)への接近数:
9月:1.9個 10月:0.9個
平年の上陸数:
9月:1.0個 10月:0.3個
しかし、10月は大きな被害を出した台風が少なくなるというわけではありません。
最近では、令和元年(2019年)の台風19号、「令和元年東日本台風」と名付けられた台風があります。
台風シーズンは、7月から10月まで続きます。
タイトル画像、図1、図2の出典:ウェザーマップ提供。
図3、図4の出典:饒村曜(平成5年(1993年))、続・台風物語、日本気象協会。
図5の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。