相手が自爆!? 京口紘人がアメリカデビュー戦を珍しいケースで勝利
14日アメリカのテキサスでボクシングWBA世界ライトフライ級タイトルマッチが行われ、スーパー王者の京口紘人(27=ワタナベ)が同級10位アクセル・アラゴン・ベガ(20=メキシコ)と戦った。
試合の展開
リングに両者が立ち、向かい合うと身長差が目立った。京口の身長は162cm、対するベガの身長は146cm、16cm差もある。
ゴングがなると小柄なベガは、自身の得意な近距離で戦うために積極的に前に出た。
接近戦になると小回りのきくベガがパワフルにパンチを振ってくる。中距離では京口がアッパー、ボディとパンチを打ち分ける。
続く2ラウンド目にはベガがさらに距離を詰めてパンチをまとめてくる。接近戦に強い京口だが、相手の勢いが勝る。
3ラウンド目からは、京口が戦い方を変えてジャブをつきながら相手をコントロール。ベガも前に出ようとするが、ジャブが邪魔になりなかなか懐に入れない。終始京口がペースを握っていた。
5ラウンド目には、京口がジャブからアッパーやボディなどのコンビネーションでパンチを集めていく。
そして、ラウンド終盤にベガが放った右フックが京口の頭部にヒット。京口はすぐに体勢を立て直すが、ベガが突然後退、京口が追撃したところでレフリーがストップ。
激痛に表情を歪めたベガ、レフリーが拳の状態を確認し試合が止められた。
私も試合中に拳を痛めた経験があるが、痛みが気になり大きなハンデになる。しかし、今回のように試合が途中で中止になるケースは非常に珍しい。
結果5ラウンドTKOで京口がアメリカデビュー戦を勝利で飾った。
勝敗のポイント
最後はベガの拳負傷というアクシデントはあったもの、内容では京口が圧倒した。序盤は相手の突進に苦しんだが、相手の出方によって戦い方を変えた。
ファイタータイプの京口だが、接近戦以外にも対応できるボクシングの幅を持っている。途中から、相手をジャブでコントロールして完全にペースを掌握した。
また、接近戦でのアッパーやそこからのボディ打ちで相手の勢いを止めていた。少し前に京口のパンチをミットで受けさせてもらった機会があった。力をためたフックやアッパーは非常に強力だ。ひとつ上のフライ級でも十分に通用するパワーを持っていた。
パワーだけでなく、技術も高いレベルにある。1年半ぶりの試合であったが、ブランクを感じさせない動きで好調さをアピールした。
今後の京口
アメリカデビュー戦を勝利で飾った京口。
海外の舞台でもその存在を十分アピールできたのではないだろうか。
今回の試合からイギリスのマッチルーム社と契約したことで、今後は海外の舞台で活躍できる機会も増えるだろう。
次戦は5月に行われるカネロ・アルバレスとサンダースの前座に出場するとの話も出ている。
また、ライトフライ級での統一戦や3階級目のフライ級進出も視野に入れているようだ。
現在ライトフライ級には以下の王者達が君臨している。
4月には対抗王者の寺地拳四朗がランキング1位の久田哲也と対戦する。勝利した方と統一戦に臨む可能性もあるだろう。
試合後のオンライン会見では「戦えるベストの階級で長くチャンピオンでいたい。いずれ階級を上げていきたいという思いはある」と話した京口。
まだ27歳と若くキャリアもこれからだ。今後の活躍に期待したい。