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2度目の練習試合は、毎回の21安打で西武に圧勝!《阪神・安芸キャンプ》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
20日の西武戦で3安打の片山選手(左)と2安打の小幡選手(右)。これは何タッチ?

 阪神のキャンプは宜野座、安芸とも21日で第5クールが終了しました。きょう22日は今キャンプ最後の休日。あす23日からは5日間の最終クールに入り、安芸は練習試合が3つ、宜野座はオープン戦が2つ予定されています。いよいよラストスパート、ですね。私は20日の夜にいったん帰ってきましたが、また23日から27日まで安芸へ行きます!

 なお17日の守備練習中、ワンバウンドの送球が左側頭部に当たった熊谷敬宥選手は、大事を取って19日から別メ二ュー。20日の試合は帯同せず、安芸に残留でした。21日から本隊に戻ったそうですが、シート打撃には参加していないとのこと。頭部なので無理はしない方がいいでしょう。

 また尾仲祐哉投手は16日の西武戦で登板した際に、少し腰の違和感があったとか。こちらも大事をとって17日は別メ二ューになりましたが、第5クール初日の19日に平田監督は「軽症でよかったね。去年それで3週間くらいかかったらしいので。尾仲はいいよ。まっすぐとキレがいい。仕上がりがいいね。きょうもう(本隊に)入っていたし。軽症でよかった」と話していました。

 尾仲投手本人は「もうまったく問題ないです」と言っていて、20日は安芸に残ってピッチングも行っています。監督が絶賛でしたよ、と伝えたら「いえいえ」と笑ったあと「この前の試合はバランスよく投げられていたと思います。今後はキレとか速さとかを求めていかないと」と前向きなコメント。楽しみですね。

安芸キャンプ2度目の練習試合

高知市東部運動場にある野球場。ずっと昔にお邪魔したんですけど、まったく記憶がありません…。
高知市東部運動場にある野球場。ずっと昔にお邪魔したんですけど、まったく記憶がありません…。

 さて、20日は安芸キャンプ2度目の練習試合で相手は16日と同じ西武のファーム。今回は高知市東部野球場で、久しぶりに見るビジターユニホームが新鮮でしたね。前日は大雨だったため朝もまだ路面は濡れていたのですが、両チームとも屋内で練習をしたあと試合前のシートノックはグラウンドで行っています。気温も20℃まで上がり、半袖で観戦という方もいらっしゃったくらいです。

試合後のスコアボード。阪神の得点と、8番・片山選手の名前部分が壊れていました。
試合後のスコアボード。阪神の得点と、8番・片山選手の名前部分が壊れていました。

 試合は、打線が毎回の21安打を放って11得点。荒木郁也選手と山崎憲晴選手が4安打、片山雄哉選手は3安打4打点、森越祐人選手も3安打、陽川尚将選手に“安芸組”の今季第1号が出ました。投手陣は6人で6安打1失点、計11奪三振(うち石崎剛投手が2回で5三振)。初登板の秋山拓巳投手も1イニング無失点など、4回以降は0点に抑えるリレーです。では結果をどうぞ。

《安芸キャンプ・練習試合》

 西武-阪神  2月20日

 阪神 000 410 060 =11

 西武 001 000 000 = 1

  ※特別ルール

◆バッテリー

【阪神】谷川-石崎-秋山-歳内-石井-牧 / 片山‐小宮山(8回~)

【西武】國場(3回)-中塚(1回)‐相内(1回)‐大石(2回)‐松本直(2回) / 斎藤誠-岡田(7回~)

◆本塁打 西武:高木渉ソロ(谷川) 阪神:陽川3ラン(松本直)

◆二塁打 阪神:片山、森越

◆盗塁 阪神:荒木2

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策)

1]中:荒木   (5-4-0 / 0-1 / 2 / 0)

2]左:俊介   (2-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

〃打遊:小幡  (4-2-1 / 0-0 / 0 / 0)

3]右:伊藤隼  (5-2-1 / 0-1 / 0 / 0)

4]一:陽川   (6-1-3 / 1-0 / 0 / 0)

5]遊二:山崎  (6-4-0 / 0-0 / 0 / 0)

6]指捕:小宮山 (5-1-0 / 1-1 / 0 / 0)

7]二左:森越  (6-3-1 / 1-0 / 0 / 0)

8]捕指:片山  (5-3-4 / 0-0 / 0 / 0)

9]三:藤谷   (4-0-0 / 1-1 / 0 / 0)

◆投手(打-振-球/失点-自責) 最速キロ

谷川 3回 28球 (2-2-0 / 1-1) 143

石崎 2回 21球 (0-5-0 / 0-0) 151

秋山 1回 12球 (1-1-0 / 0-0) 144

歳内 1回 20球 (1-2-0 / 0-0) 143

石井 1回 16球 (1-0-1 / 0-0) 144

牧  1回 18球 (1-1-1 / 0-0) 142

<試合経過>※敬称略

俊介選手が実践初出場。1回に左前打しました!写真は二ゴロだった3回です。
俊介選手が実践初出場。1回に左前打しました!写真は二ゴロだった3回です。
先発の谷川投手。3回にソロを浴びたものの2安打のみです。
先発の谷川投手。3回にソロを浴びたものの2安打のみです。

 阪神は1回、内野安打した荒木が俊介の左前打で三塁へ。暴投や伊藤隼の四球で無死満塁とします。しかし陽川が空振り三振、山崎の三ゴロで併殺、0点で終了。2回は2死から片山が右前打、3回は先頭の荒木が右前打と盗塁を決めるも、得点にはつながりません。

 先発の谷川は1回1死から綱島に左前打を許しますが、片山が盗塁阻止!この回を3人で片づけました。2回は4番・川越と続く斎藤彰を連続で空振り三振に仕留めるなど三者凡退。ところが3回、先頭の高木渉に初球をライトスタンドへ放り込まれます。

 すると4回、打線は打者9人攻撃で逆転。まず山崎が中前打、小宮山は四球、ピッチャーのエラー(二塁へ牽制悪送球)で無死一、三塁として森越の右前タイムリーで同点。続く片山が一塁線を破る二塁打を放って2人を還し、荒木の四球などで2死一、二塁となって伊藤隼が勝ち越しの中前タイムリー。この回4点を取りました。

4回の2点二塁打に続き、5回も左前タイムリー!片山選手。
4回の2点二塁打に続き、5回も左前タイムリー!片山選手。

 5回には先頭の山崎が中前打して暴投などで2死三塁となり、片山が左前タイムリー!8回には途中出場の小幡が右前打、伊藤隼は内野安打、次の陽川がフルカウントから6球目の真っすぐをとらえてレフトへ3ラン!山崎が自身4安打目の中前打、暴投などで1死三塁とし、続く森越の打球はサード方向へのフライ…と思ったら、追っていたショートがファウルゾーンから風で戻された打球を捕れず、記録は二塁打!

7回に登板した歳内投手。1安打2三振で無失点です。
7回に登板した歳内投手。1安打2三振で無失点です。
8回は今季初登板の石井投手。やはり1安打で無失点でした。
8回は今季初登板の石井投手。やはり1安打で無失点でした。
9回の牧投手も今季初登板。1安打無失点、三振を1つ奪っています。
9回の牧投手も今季初登板。1安打無失点、三振を1つ奪っています。

 そして3打席連続安打中の片山はファーストのエラーで、2人生還(打点なしかもしれませんが、相談の結果1点に)。片山は二塁まで進み、2死後に荒木の右前打で一、三塁。打者が一巡して、2打席目の小幡がレフト前へ運ぶ渋いタイムリー!この回は打者11人で7安打6得点でした。9回は2死から小宮山が中前打。

 一方の投手陣は、谷川のあと石崎が登板。4回は2番の綱島から戸川、川越と3者連続で空振り三振!5回は斉藤彰を右飛に切って取り、熊代と高木渉は連続で見逃し三振!2イニングをパーフェクト、しかも5奪三振という内容です。

 6回は秋山。まず先頭の8番・斉藤誠をカウント2-2から空振り三振に。水口は初球を打たせて左飛(森越がナイスキャッチ!)。西川には左前打を許したものの、綱島は初球で左飛。1安打無失点と上々の初実戦となりました。

 7回は歳内が1死から川越に中前打され、暴投もあって三塁まで進めますが、最後は空振り三振。8回の石井も1四球と1安打で走者を出しながら0点に抑えました。9回は牧が先頭に四球を与え、川越に右前打されますが代打の牧野から空振り三振を奪うと、続く熊代の右飛で走者もタッチアウト!併殺で試合終了です。

「みんな良すぎて困るわ」と平田監督

 試合後の平田勝男監督の談話をご紹介しましょう。

16日より5キロも速い151キロをマークした石崎投手。
16日より5キロも速い151キロをマークした石崎投手。

 まず、前回16日の西武戦で9回に4安打3失点だった石崎投手について。「狙わせて三振を取れ、という前回の反省を生かしてきたね。ファウルか空振りに取りたいという課題をしっかりクリアして、5三振?そのくらいの力は持っているよ」。最速が151キロでした。「この前は146キロで、彼はストレートに威力がないとダメなんでね。しっかり前回登板から修正してきているわな。石崎くらいだと、狙って三振取らなきゃ」

初登板に「野球をしている感覚が楽しかった」という秋山投手。
初登板に「野球をしている感覚が楽しかった」という秋山投手。

 ついで、右ヒザの手術後初実戦となった秋山投手に「きょうは天気もよかったし、実戦に投げられたってことで。マウンドの感触とかバッターとの対戦っていうところ。順調だよ。順調にいってくれているんで、本人は次が先発くらいの感じでいるのかな?まあ、まだわからんけどね。きょう1イニング投げられて、あしたの状態をみて一歩ずつ」。そして「必ずシーズンに入ったら、要るピッチャーなんでね」と締めくくった平田監督です。

 次に打者。ルーキー・片山選手が3打席連続ヒットを放ちました。「見事だね。それもそうだけど、盗塁を刺したのも。いいスタートを切られたんで、どうかなというところで刺したのが、やっぱり大きいよ」。変化球にもタイミングを合わせていたのでは?「まあ合わせてというか、追い込まれて食らいついていったのが彼の持ち味なんでね。そういうのが特長。おもしろい存在になるんじゃない?やっぱり打席で向かっていく姿勢が出る。逆方向にも打てるんだよ、あいつ」

山本リンダの懐メロが登場

8回、先頭で中前打して伊藤隼選手の内野安打で二塁へ。陽川選手の打席でこの動き。
8回、先頭で中前打して伊藤隼選手の内野安打で二塁へ。陽川選手の打席でこの動き。

 同じくルーキー・小幡竜平選手がタイムリーを含む2安打!「実戦の方が見ばえがいいよね。この前も1本打って、きょう2本。ちゃんと駆け引きというか、あそこ引っ張ってやろうとか、そういう意図がわかる。荒木がランナーで出ると、配球などを考えながらベンチで見とけって、そういう勉強もしとけって話もしていたけど」

この日は4安打の荒木選手。6回には中前打して、2つ目の盗塁も決めました。
この日は4安打の荒木選手。6回には中前打して、2つ目の盗塁も決めました。

 それにしても、毎回の21安打はすごいですね。「みんな良すぎて困るわ~」。荒木選手と山崎選手が4安打ずつ、森越選手も3安打でした。「みんな、それくらいの力は持ってるとはいうものの、なかなか打てん。みんな良すぎて、困っちゃうなあ。山本リンダだよ。わかるか?知らんやろ?困っちゃうな」。高代コーチの「ウララ~ウララ~♪」という合いの手が入って笑ったあと「ほんと、みんなが仕上がって来ている。推薦するのが困るぐらい。力のある選手ばかりだから」と、しみじみ語っています。

陽川選手が3ラン!ホームに戻って伊藤隼選手とタッチ。
陽川選手が3ラン!ホームに戻って伊藤隼選手とタッチ。

 陽川尚将選手のホームランは「何にも驚かないよ。な?陽川。普通だよな?驚くことでも何でもないよ」と、ちょうどベンチへ顔を出した陽川選手本人に“取材”する平田監督。残念ながら1人だけノーヒットだった藤谷洸介選手ですが、平田監督は「実戦で藤谷や牧たちは、自分が練習でやってきていることを出してくれりゃいい。藤谷はフォアボール1つ選んだだけで成長だよ。経験して失敗して、それでまた練習する」という話で締めくくりました。

さすがの石崎投手、秋山投手は第一歩

 では選手のコメントです。先発で3回を投げ2安打ながらソロで1失点だった谷川昌希投手は「初回、立ち上がりのボールの高さ。難しいですけど、それはしっかりブルペンで意識してやらないと。また強い球でファウルをとることですね。相手を見ながら」と反省の言葉でしたが「左バッターにフォークをしっかり使えたのと、外からのスライダーでストライクを取れたのは収穫です」とのこと。

石崎投手は2度目の登板。香田投手コーチいわく「ブルペンから気合いが入っていた」そうです。
石崎投手は2度目の登板。香田投手コーチいわく「ブルペンから気合いが入っていた」そうです。

 石崎投手は「前回が前回だったので、バランスよく…という言い方はおかしいですけど。前は力いっぱい投げていても結果が出なかった。自分に求められているのは、そういうとこじゃないんだなと。きょうはキャッチボールから球の回転などを意識しながらブルペンで投げて、マウンドへ行きました。結果が出てくれてよかった」と納得の表情です。

 前回はどこが悪かったんでしょう?「ベース板が弱いので、弾き返されてヒットになったり、自分の中で勘違いしてボールになったり」。三振は狙って?「そうです。ストライク先行で0-2になったので、球の回転を意識しながら思いきりやりました」

レフトへ上がった打球を森越選手がナイスキャッチ!「2アウト」と野手に声をかけ、森越選手に感謝の合図をする秋山投手。
レフトへ上がった打球を森越選手がナイスキャッチ!「2アウト」と野手に声をかけ、森越選手に感謝の合図をする秋山投手。

 秋山投手は「久々だったので緊張もしましたが、マウンドに上がって野手と確認とか声出しとかして、野球をやっているなという感覚は楽しかったです」と、少し笑顔も。「配球とかも自分で考えながらやりましたけど、ちょっとまだ低めを狙いにいって、うまくいっていないので。もうちょっと、いい感覚を出していけたらと思います」

 今度については「まあ、まずは足の状態が問題なければ次に進める。細かい課題も取り組めるようになるので、そこができれば」と話しました。香田勲男投手コーチは「久々でしたが、今やれる100パーセントに近いことができたと思います。きょうからステップアップしてくれるでしょう」と期待の言葉です。

ルーキー捕手が大暴れしました

2回の1打席目で右前打、プロ初ヒットを放った片山選手。一塁で山田バッテリーコーチに迎えられました。
2回の1打席目で右前打、プロ初ヒットを放った片山選手。一塁で山田バッテリーコーチに迎えられました。

 “プロ初ヒット”どころか、5打数3安打4打点に盗塁阻止と大活躍だった片山選手。試合後は「練習でやっていることが形になってきたので、よかった」と言います。真っすぐ(もしくはツーシーム)だけでなく、カーブも。うまく対応できた?「そうですね」。左方向へのタイムリーも「とにかく強く打とうと意識は持っていました。ヒットを打ちたいという思いがそういう形で、強引にならず出てくれた」とのこと。

 そして監督がほめていた盗塁阻止は「いい形で準備して入れたのでよかったと思います」というコメント。これから実戦が続きますね。「やることは変わらないので、とにかく準備をして。何度も何度もチャンスはないと思うから、常に準備して万全の形で臨みたいです」

 実は、スコアボードが故障で文字の出ない部分がいくつかあり、メンバー表では一塁側の8番のところが欠けていて、ずっと片山選手の名前がないままだったのです。せっかく活躍したのに。でも本人は「そっちの方がいいのかもしれませんね」と笑っていました。

先輩、後輩による相乗効果?

3ランを放って三塁を回る陽川選手。
3ランを放って三塁を回る陽川選手。

 小幡選手は4回に代打で出場し、まず左飛、6回は中飛。そのあと8回の先頭で右前打を放ち、一巡して今度は左前タイムリー!“プロ初打点”です。このタイムリーは狙って運んだもの?「狙ってないです。狙ってない。落ちてくれました!」。16日は内野安打だったけど、1本目はナイスヒットでしたね。「はい!しっかり振ろうと、フルスイングを心掛けていたので。よかったです」。初々しさ満開。

 陽川選手は3ランについて「手応え?なかったですよ」とひとこと。それよりも「初回のチャンスで三振したので…。一番ダメなケース。そこを反省しています」というコメントでした。

4安打を放った山崎選手。4回と5回は先頭でのヒット、8回も含めて3得点でした。
4安打を放った山崎選手。4回と5回は先頭でのヒット、8回も含めて3得点でした。

 最後は4打席連続安打で6打数4安打の山崎選手。このキャンプ、毎朝の早出特守を含め、すべてに全力投球ですねと言ったら「自分のためだけじゃなく、若い子の手本にならないと」という返事でした。なるほど。ことしの安芸キャンプは、そういう“働き盛り”の選手が多く、若手にとってはチャンスです!話を聞く前に、その姿を見ているだけでも勉強になりますね。残り5日、貪欲に吸収して帰りましょう。先輩方が困るぐらい。

    <掲載写真は筆者撮影>

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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