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韓国女子ゴルフの世界ランクに“異変” 100位以内に韓国ツアー選手12人、日本に並ばれ危機感?

金明昱スポーツライター
韓国女子ツアーの選手たち(写真・KLPGA)

 韓国のゴルフニュースを見ていると興味深いタイトルが目に飛び込んできた。「KLPGA世界ランキング、“今が1年の内で最下位”…100位以内の12人中、11人が下落」。

 経済紙「毎日経済」が報じたものだが、内容を簡単に説明すると、今月6日からようやく韓国女子ツアーは開幕を迎えたため、韓国ツアー選手のランキングがどんどん下がり続けているというもの。

「4日に発表された女子ゴルフ世界ランキング100位以内に入った韓国女子プロゴルフ(KLPGA)ツアーの選手たちは全部で12人しかいない。しかも、その12人中、パク・ミンジだけが順位の21位を維持したが、残り11人の選手たちは、すべて順位が下がった。これは主要ツアーの中で韓国が最も遅くシーズンをスタートさせるからだ」

 2023年シーズンの日米女子ゴルフツアーはすでに開幕を迎え、試合を重ねるごとに選手の世界ランキングのポイントが上がる一方、韓国の選手たちのランキングが上がることがないのを嘆いている。

 とはいえ、今月から毎週トーナメントが開催されるため、韓国選手のランキングが大幅に下がり続けるということはないだろう。ただ、気になるのは、韓国選手の勢力に少しずつ陰りが見え始めていることだ。

100位以内に韓国27人、日本18人をどう見る?

 世界ランキング上位を席巻していた韓国勢だが、トップ10を見ると長らくトップに君臨していた同3位にコ・ジンヨン、9位にキム・ヒョージュが入っているのみ。かろうじて11位にチョン・インジの名前が確認できるが、いずれも米女子ツアーを主戦場にしている選手たち。

 全盛期にはトップ15以内に韓国選手が7人ほどいたのを考えると勢力が変わりつつある。さらに調べてみると100位以内に米女子ツアーを主戦場にする韓国選手は15人、韓国女子ツアーを主戦場にする選手は前述した通り12人。合わせて27人だ。韓国メディアはこの数に“危機感”を募らせるも、それでも約3割の韓国選手がトップ100以内にいるのは多いと見ていいだろう。

 では日本はどうなのか。トップ10以内に日本選手はおらず、米女子ツアーを主戦場にしている選手で100位以内を見ると、上から13位に畑岡奈紗、19位に古江彩佳、30位に笹生優花、38位に渋野日向子、47位に西村優菜、51位に勝みなみの6人。また、日本女子(JLPGA)ツアー選手は100位以内に24位の山下美夢有を始め、12人の名前が確認できた。こちらは合わせて18人。

 つまり、トップ100位以内に韓国の選手は27人、日本の選手は18人。これだと日本の選手がかなり増えた印象を受ける。実際のランキングを見ても、日本選手たちの順位の上昇が顕著に表れていて、数年後にはこの数がもしかすると逆転している可能性もあるかもしれない。

韓国選手の米ツアー進出に陰り?

 というのも、日本の女子ツアーの試合数は今後、増える可能性があっても、減ることはないほどの人気ぶり。今季から米ツアー進出の勝みなみや西村優菜のように若手の海外志向も強まり、競争も激しさを増している。

 しかし、韓国ツアーは例年通り4月から国内ツアーが始まるため、ランキングに差が出てくるのは致し方ないが、それでも年々試合と賞金の増額などの充実ぶりで、米ツアー進出への意識に少しずつ陰りが見えはじめている。そればかりか、昨年から韓国開催の米ツアーの日程に韓国ツアーをぶつけたため、国内選手の米ツアー進出機会を奪ったことも影響していると見られている。

こうした競争はあってしかり。韓国が“ゴルフ強国”としてのプライドを守り続けるのか、日本が新たな風を吹き込むのか。いずれにしても、女子ゴルフの勢力図の風向きが少しずつ変わりつつあるのは間違いない。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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