単身世帯の菓子への支出の実情を年齢階層別にさぐる(2023年公開版)
主にコンビニの独自ブランドにおけるデザートの開発と普及に伴い、この数年で菓子は洋風・和風、さらには和洋折衷のものまで含め、これまで以上に多様なものが展開され、商品棚に彩りを添えることとなった。また商品の購買性向、店舗の来場客層の変化に対応させる形で、主に和菓子や和菓子風の味わいによる商品の進出が著しい。それら菓子周辺の環境変化により、消費者の購買実情はどのような動きを示しているのだろうか。総務省統計局による家計調査の結果(年次分は2022年分が最新)を基に、個人の消費性向がよく分かる単身世帯にスポットライトを当て、その状況を確認する。
今回確認する菓子の品目は、「他の菓子」以外の、ある程度区分されているものについて。そのうち具体的に商品内容が把握しにくいものの内情について、家計調査の説明を抽出すると次の通りとなる。
・他の和生菓子……大福餅、くずもち、ゆべし、どら焼き、おはぎ、串団子、今川焼き、たい焼き、最中(もなか)など。半生菓子も含む。スイートポテトやおやきは含まれない。
・他の洋生菓子……エクレア、シュークリーム、ワッフル、マドレーヌ、クレープ、バームクーヘン、アップルパイ、ロールケーキ、パウンドケーキ、ババロア、ムース、スイートポテトなど。
・スナック菓子……じゃが芋やとうもろこし、小麦粉などを主原料とし、焼き上げたもの。ポテトチップス、ポップコーン、クラッカー、野菜や果物のチップス。
・キャンデー……水あめ、ドロップ、キャラメル(ソフトも含む)。
また、家計調査では単身世帯の年齢階層に関して、34歳以下(若年層)・35~59歳(中年層)・60歳以上(高齢層)に区分している。そこでこの年齢区分に従い、各種計算をしていく。
まずは直近5年間における、月あたりに換算をした菓子類項目への支出金額。単身世帯であることから当然として、世帯主本人のための購入になる。
単身世帯の菓子出費は大体月3000円台。おおよそ年齢が上になるに連れて支出金額が大きくなる。直近年では60歳以上層が一番支出金額が大きいが、35~59歳層とほとんど変わらない。新型コロナウイルスの流行で中年層の在宅勤務が増え、お菓子の需要が増加したのだろうか。
そして菓子類の具体的項目別における月あたりの支出金額を算出したのが次のグラフ。年齢階層別で菓子の好みが大きく異なることが分かる。
すぐに目につくのは他の和生菓子の年齢階層による格差の大きさ。元々若年層でもそれなりに(220円/月)支出があるが、高齢層になると月618円も支出している計算になる。高齢層において全菓子代の1割台後半は大福やどら焼き、串団子などに費やされている計算。
その他「若年層ほど高額」は赤矢印、「高齢層ほど高額」は青矢印を使い、動きを追っている。見た限りではほぼ世間一般のイメージ通りの購入性向が確認できる。よく好まれる種類として、
・若年層…ケーキ、プリン、他の洋生菓子、ビスケット
・高齢層…ようかん、まんじゅう、他の和生菓子、カステラ、ゼリー、せんべい
が挙げられる。
金額別に見ると、高齢者の他の和生菓子がずば抜けて高いのは別として、高齢者でもゼリーはそれなりに若年層以上の人気ぶりを見せていること、似たような性質を持っているがスナック菓子は若年層から中年層、せんべいは高齢者に高い人気があることが分かる。またチョコレートは中年層からの支持がもっとも厚いようだ。
今件のデータを見る限り、今後ますます増えるであろう単身の高齢者は、大福やどら焼き、串団子などの和生菓子、そしてせんべいに強い関心を抱いている。レジ横・レジ前ワゴンの菓子コーナーに並べられた品々を見れば、そしてコンビニ各社が続々と「和」の要素を取り入れた新スイーツを展開する状況を思い返せば、今件の結果も納得できるに違いない。
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