油断大敵 今年は体感的にきつい「寒の戻り」
記録的な春の暖かさも小休止
今年、平成30年(2018年)の3月の平均気温は、鹿児島で14.5度など、全国21の県庁所在地で観測史上1位を記録しました。
3月下旬からゴールデンウィークの頃の気温が現れていますので、1ヶ月ほど早く季節が進んでいます。
しかも、今年の春は、単に記録的な暖かさというわけではありません。
冬の厳しい寒さのあとに記録的な暖かさがきたということで、桜の開花・満開が異常に早かったり、暖かい地方でも北国の春のように色々な種類の花が一斉に咲くなど、各地に春の異変が起きています。
日本付近が大きな高気圧に覆われたことで晴れて日射が強くなったことや、南から暖気が入ったことによる高温傾向は、週半ばには寒冷前線が南下してきますので、小休止です(図1)。「寒の戻り」がおきます。
「寒の戻り」は、一般的には暖かくなった晩春の頃に一時的に異常に寒くなる現象のことですが、気象庁の天気予報等で用いる用語としての「寒の戻り」は、「3~4月に再び寒くなること」とシンプルな定義です。
ただ、気象庁の言う「寒の戻り」には5月が入っていません。5月の発達した低気圧(メイストーム)の通過後の寒気南下による寒さは、気象庁では「寒の戻り」とは言いません。定義のいきさつは不詳ですが、寒気といっても、5月の寒気は、真冬並みの寒気ではないということかもしれません。
また、6日(金)から7日(土)にかけては、低気圧が発達しながら日本海を進むため、全国の広い範囲で荒れた天気となるおそれがあります。この低気圧が通過後に「寒の戻り」があります(図2)。
さらに、12日(木)頃には、北日本を発達中の低気圧が通過し、オホーツク海でさらに発達して北日本を中心に寒気が南下する見込みですので、このときも「寒の戻り」があります。
暖かさが続く季節は、暖かさの中にときどき寒気が南下して「寒の戻り」がある季節に変わりそうです。
体に応える寒暖差
春は一般的に寒暖差が大きいのですが、今年は寒さが続いた冬から一気に暖かくなるという寒暖差の大きい春になったため、体感的には、温度差がきつく感じた3月ではなかったかと思います。
春は、体が暑さに慣れていないので、夏場では熱中症にならない気温でも、熱中症になる可能性があります。例年、ゴールデンウィークの頃から熱中症の患者がでるのですが、今年の3月末からの暖かさは、真夏の頃の気温には達しなくても、熱中症に注意する必要がある気温です。
しかも、日中は気温が高いといっても夜間は気温が下がり、暑さから寒さへの寒暖差が大きいと、くしゃみや鼻づまりなどの症状が出る寒暖差アレルギーがでることがあります。暖かいからと言って薄着で出たことで、寒い思いをしたかたも多いかと思います。
気象庁の天気予報等で用いる用語として「冷え込む」は、「日中の暖かさに対し、朝や晩の気温の下がりが大きいこと」です。
暖かい春といっても「冷え込む」ことがおきていたのが、今週からは、日中の最高気温が上がらない「寒の戻り」が周期的にある春に変わりそうです。
「寒の戻り」があっても進む季節
今年、平成30年(2018年)3月からの東京の最高気温と最低気温を見ると、時々、気温が低い日がありますが、前回に気温が低くなった温度までは下がっていません(図3)。大きく見ると、夏に向かって気温は上昇しています。
実際の気温と体感で感じる気温には差がありますが、春にはこの差が顕著です。春に非常に寒いと感じても、冬の終わり頃に比べれば高い気温のことが多いのです。
このため、春は健康管理が難しい季節です。
今年の「寒の戻り」は、異常な暑さが続いたあとの「寒の戻り」ですので、体感的にはつらい「寒の戻り」です。
体調を崩さないよう、天気予報で最高気温の予報は、前日の最高気温との差と、翌日の最低気温との差にも注目して行動する必要があります。油断大敵な春です。
図1、図2の出典:気象庁ホームページ。
図3の出典:気象庁ホームページをもとに著者作成。