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危険な低気圧が今夜帰宅時間帯に関東を直撃か、台風並みに吹く強風(暴風)にも十分警戒を

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
雨や風の予想(ウェザーマップ)

線状降水帯の発生に警戒

気象レーダー(気象庁発表)
気象レーダー(気象庁発表)

気象庁から九州南部、奄美、四国、東海地方に、線状降水帯発生予測情報が発表されています。上図はきょう28日(火)午前9時30分現在の雨雲の様子ですが、沖縄から奄美を通り、西日本にかけて、南北に突っ立つように活発な雨雲がライン状に連なっていて、ゆっくりと東進しています。

解析雨量では、鹿児島県や宮崎県で、局地的に1時間に50ミリ以上、3時間で100ミリから150ミリ近い雨量となっている所がありますが、雨雲はゆっくりと東進しているため、今のところ、線状降水帯の発生に至った地域はありません。今夜にかけてこの南北に連なる活発な雨雲のラインは九州から東海地方にかけて東進するため、引き続き、線状降水帯が発生する可能性があり、警戒を要します。

一方、関東地方に関していえば、線状降水帯発生予測情報は出されていないものの、もちろん雨脚が強まる所がある他、今夜遅くにかけて、台風並みに吹き荒れるおそれがある南風に十分な警戒が必要です。

危険な低気圧が今夜遅く関東地方を通過へ

予想天気図(ウェザーマップ)
予想天気図(ウェザーマップ)

今夜午後9時の予想天気図をみると、西日本の太平洋沿岸を東進している低気圧が今夜関東地方に上陸するように通過する予想となっています。この低気圧には沖縄の南にある台風1号周辺の湿った空気が舌状に流れ込んでいて、線状降水帯をもたらすおそれがある他、南からの暖気の勢いが強いため、低気圧のすぐ南側では、台風並みの暴風が吹き荒れるおそれがあります。いわば危険な低気圧の通過といえます。(関連記事

今夜遅く、関東地方は暴風のおそれ

雨と風の予想(ウェザーマップ)
雨と風の予想(ウェザーマップ)

上図は今夜28日(火)午後10時の関東地方の雨や風の予想です。ちょうどこの頃、危険な低気圧が関東北部付近を通過している予想で、東京湾周辺や千葉の太平洋沿岸部では、平均20メートル近い強風が計算されています。

気象庁が発表している強風に関する情報では、最大風速が千葉や神奈川の陸上で15メートルから18メートル、東京23区の東京湾周辺で20メートルと予想されていて、最大瞬間風速は台風並みの30メートルから35メートルに達する所もある予想です。

今夜帰宅の時間帯に雨や風がピークを迎え、特に関東の沿岸部では、強風(暴風)が吹き荒れるため、羽田空港や東京湾周辺のJR線など、交通機関に影響が生じる可能性もあります。今夜遅くにかけては、大雨による災害はもちろんのこと、特に関東沿岸部では、台風並みに吹くおそれがある強風(暴風)に警戒が必要です。

台風1号は31日(金)頃、関東や伊豆諸島に接近も?

台風1号の予報円(ウェザーマップ)
台風1号の予報円(ウェザーマップ)

気象庁発表の最新の台風情報

きょう28日(火)、本州付近を通過する危険な低気圧に、周辺の暖湿気を送り込んでいる台風1号は、午前9時現在、フィリピンの東海上を強い勢力で北東へ進んでいます。今後、あす29日(水)にかけても強い勢力を維持しながら、沖縄の南大東島の南を通過するでしょう。

その後は海水温の低い所に入り、徐々に勢力を落としながら北上し、予報円の真ん中を通ると、31日(金)に伊豆諸島八丈島のすぐ南を通過する見込みで、もし予報円の北側を通過すると、関東の沿岸に近づく可能性もあります。台風1号に伴う雨雲は関東にも広がる計算ですが、近づくほど、影響が大きくなるかもしれません。今後の情報にご注意ください。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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