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なぜ台風1号は1000キロ以上離れているのに大雨となるのか?そこには危険な低気圧の存在あり

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
雨と風の予想(ウェザーマップ)

台風1号は日本の南を北東へ

台風1号の予報円(ウェザーマップ)
台風1号の予報円(ウェザーマップ)

きのう26日(日)午前9時に、統計史上7番目に遅く発生した台風1号は、きょう27日(月)午前9時現在、フィリピン付近の海上を北東へ進んでいます。発達を続けていて、スケールは小さいものの、すでに暴風域を持つ強い台風となっています。今後はさらに発達し、あす28日(火)は沖縄の南を離れて北東へ進むでしょう。

この段階ではまだ本州付近から1000キロ以上も離れていますが、本州付近で発生する低気圧に向かって、台風1号を起源とする暖湿気が流れ込むため、台風1号がまだかなり遠く離れているあす28日(火)が本州付近での一番の大雨のタイミングとなりそうです。

その後は海水温の低い所に入るため、徐々に勢力を落としながらあさって29日(水)から31日(金)頃にかけて、日本の南を北東へ進み、やがて温帯低気圧となって日本の東へ抜ける見通しです。ただ31日(金)頃には関東へ近づく可能性もあり、今週後半の動きには要注意です。

台風1号周辺の暖湿気を補給する危険な低気圧が通過へ

予想天気図(ウェザーマップ)
予想天気図(ウェザーマップ)

上図はあす28日(火)午後9時の予想天気図です。

上述した通り、台風1号はまだ天気図には表れない沖縄の南にありますが、その周辺の暖湿気が本州付近を通過する低気圧に向かって舌状に流れ込むため、この低気圧周辺でかなり雨雲が発達する予想です。いわば台風1号の暖湿気を補給する危険な低気圧の通過ともいえる状態です。

気象庁から大雨に関する全般気象情報が発表されています。

大雨のピークは西日本であす28日(火)昼過ぎにかけて

雨や風の予想(ウェザーマップ)
雨や風の予想(ウェザーマップ)

危険な低気圧はあす28日(火)朝には九州付近で発生し、日中にかけて西日本を東進するでしょう。このため、西日本の雨のピークはあす28日(火)昼過ぎにかけてとなりそうで、太平洋側を中心に、雷を伴った非常に激しい雨の降る所がありそうです。

特に九州南部では、あす28日(火)明け方から昼前のタイミングで、線状に連なるような活発な雨雲が発生し、3時間に100ミリ以上の大雨となる確率が最大で50%程度と高く見積もられています。短い時間に集中的な大雨となるおそれがあり、厳重な警戒が必要です。

東日本であす28日(火)昼過ぎから夜遅くにかけて

雨や風の予想(ウェザーマップ)
雨や風の予想(ウェザーマップ)

雨雲は危険な低気圧の通過とともに東へ進むでしょう。東日本ではあす28日(火)昼過ぎから夜遅くにかけて雨がピークとなり、沿岸部では南風も強まるため、台風を思わせるような横殴りの降り方をする所がありそうです。

なかでも東海地方では雨脚が強まる予想で、特に静岡県では最大300ミリの大雨となるおそれがあります。土砂災害や低い土地の浸水、河川の増水や氾濫などに、警戒が必要です。

関東ではあす28日(火)帰宅時間にかけてピークか

雨や風の予想(ウェザーマップ)
雨や風の予想(ウェザーマップ)

関東地方では、あす28日(火)も朝から雨が降りやすく、南風も強めに吹くでしょう。そして危険な低気圧の近付く夜から夜遅くにかけて、もっとも雨が強まり、沿岸部では平均15メートル以上のかなり強い風を伴う予想です。帰宅時間に荒天がピークとなり、交通機関にも影響が出るかもしれません。あす28日(火)は、なるべく早めの帰宅を心がけた方がよさそうです。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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