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チームで1人しか選出されなかった「ローン・オールスター」はカブスの今永昇太だけでなく…

宇根夏樹ベースボール・ライター
今永昇太(シカゴ・カブス)Jun 15, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今年のオールスター・ゲームのメンバーに、シカゴ・カブスから選ばれたのは、今永昇太しかいなかった。

 もっとも、チームで唯一人の選出は、今永を含め、15人を数える。30チームのうち、半数がそうだ。ちなみに、0人のチームはない。各チームから少なくとも1人、というルールがある。

筆者作成
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 ミネソタ・ツインズ、セントルイス・カーディナルス、シアトル・マリナーズは、7月7日を終えた時点で、ポストシーズン進出圏内に位置している。にもかかわらず、3チームとも、選出は1人だ。

 なかでも、マリナーズは、ア・リーグ西地区の首位に立っている。

 ただ、マリナーズで280打席以上の6人は、いずれも、OPS.680未満だ。100打席以上の11人のなかにも、OPS.740以上はいない。それに対し、100イニング以上の4人は、いずれも防御率3.85未満。2.91のローガン・ギルバート、3.39のジョージ・カービー、3.72のルイス・カスティーヨ、3.84のブライス・ミラーのうち、最も防御率が低いギルバートが選ばれている。

 カブスの場合、防御率3.20未満の先発投手が4人いて、今永の3.16は、そのなかで最も高い。けれども、それぞれの防御率は、ジャスティン・スティールが2.95、ジェイムソン・タイオンが2.99、ハビア・アサッドは3.04だ。今永を含む4人とも、その差はほとんどない。

 一方、今永の91.0イニングは、4人のトップだ。2番目は83.0イニングのアサッドなので、8.0イニングの差がある。カブスの試合数×1.0イニング以上は、今永だけだ。しかも、今永は、奪三振率9.10と与四球率1.48に、10度のクオリティ・スタート――先発6イニング以上&自責点3以下――と登板の62.5%がクオリティ・スタートも、あとの3人を凌ぐ。

 カブスの野手から1人選ぶとすれば、イアン・ハップマイケル・ブッシュだろう。とはいえ、目を惹くほどのスタッツではない。ハップは、打率.241と出塁率.354、13本塁打、OPS.799。ブッシュは、打率.264と出塁率.359、11本塁打、OPS.816だ。ブルペンにも、際立った投手は見当たらない。

 なお、イニングが今永を上回り、防御率は今永より低い、両リーグの17人中、ロネル・ブランコ(ヒューストン・アストロズ)、ジェイク・アービン(ワシントン・ナショナルズ)、ブレイディ・シンガー(カンザスシティ・ロイヤルズ)、クリストファー・サンチェス(フィラデルフィア・フィリーズ)、ギャビン・ストーン(ロサンゼルス・ドジャース)、エリック・フェディー(シカゴ・ホワイトソックス)の6人は、選出されていない。

 また、20本塁打以上の11人のなかでは、23本塁打のアンソニー・サンタンダー(ボルティモア・オリオールズ)と22本塁打のクリスチャン・ウォーカー(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)が、メンバーに入っていない。本塁打ランキングの順位は、サンタンダーがア・リーグ3位タイ、ウォーカーはナ・リーグ3位だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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