なぜレアルはケパを獲得したのか?パリSG残留濃厚なエムバペとアンチェロッティのプラン。
ビッグクラブに、新たな守護神が到着した。
レアル・マドリーは、チェルシーからGKケパ・アリサバラガを獲得。1年のレンタル移籍で、マドリー側に買い取りオプションは付けられていない。
マドリーは、このプレシーズンでGKティボ・クルトワが負傷した。左ひざの前十字靭帯の断裂で、5ヶ月から9ヶ月の離脱が見込まれている。クルトワの代役として、ケパを確保した格好だ。
■R・サンチェスの加入とバイエルンの関心
一方で、チェルシーはこの夏にロバート・サンチェスを獲得している。移籍金固定額2500万ユーロ(約39億円)+ボーナス500万ユーロ(約7億円)をブライトンに支払い、スペイン人GKと2030年までの契約を締結した。
また、ケパにはバイエルン・ミュンヘンからの関心が伝えられていた。ヤン・ゾマーのインテル移籍が決定して、バイエルンとしてはGKを探している状況だった。
「我々はケパと合意間近だった。(ハリー・)ケインと一緒に、入団会見を行う予定だった。だが彼はレアル・マドリー移籍を選んだ。彼はスペイン人なので、マドリーからのオファーを優先したかったんだ」
バイエルンのヤン・クリステンセン・ドレッセンCEOはこのように語っている。
■ケパ獲得の背景
マドリーがケパを獲得したのには理由がある。
無論、ひとつ目はクルトワの負傷だ。2018年にマドリーに加入して以降、正GKとして活躍してきたクルトワが、このタイミングで重傷を負った。先日、第二GKのアンドリー・ルニンへの信頼を強調していたカルロ・アンチェロッティ監督だが、長いシーズンのフル稼働を考慮すれば、トップクラスの守護神の確保が不可欠になっていた。
ふたつ目は“繋がり”である。マドリーでGKコーチを務めるルイス・ジョピス氏は、以前アトレティック・クルブで働いていた。その時、ケパを指導していたという過去がある。GKコーチのお墨付きがあり、マドリーはケパの獲得に動いた。
なお、現在、ケパ(マドリー)、ウナイ・シモン(アトレティック)、アレックス・レミーロ(レアル・ソシエダ)、アイトール・フェルナンデス(オサスナ)、ラウール・フェルナンデス(グラナダ)など多くのスペイン人GKがラ・リーガ1部で躍動しているが、彼らはいずれもアトレティックのカンテラ出身である。アトレティックの練習場レサマにおけるGK育成のレベルの高さも見逃せないところだ。
■ミリトンの負傷と新戦力の躍動
マドリーはケパを確保した。だがリーガエスパニョーラ開幕節でエデル・ミリトンがひざを負傷しており、クルトワ同様に長期離脱を強いられている。
そのような状況で、アンチェロッティ監督は再びチームビルディングを行う必要がある。
クルトワとミリトンの離脱は痛手だ。シーズン序盤から、マドリディスタにはショッキングなニュースが続いている。他方で、ポジティブな面に目を向けるなら、新加入のジュード・ベリンガムの適応だろう。
アンチェロッティ監督はプレシーズンでシステム変更を試していた。【4−3−3】から【4−4−2】へと布陣を変えて、選手たちを馴染ませていた。そのなかで、ベリンガムをトップ下に配置。得点力アップを図るためだった。
先のアトレティック戦で、ベリンガムは好パフォーマンスを披露した。チームの2点目となる得点を挙げ、勝利に貢献。プレシーズンのアメリカツアー(4試合2勝2敗)では苦しんだが、一発目の公式戦でチームとしても手応えを感じる出来だった。
「ベリンガムは常識から外れた選手だ。強いパーソナリティを備えている。このシステムで、我々は快適にプレーできている。選手たちはハードワークしてくれた」
「我々は試合をコントロールした。コミットメントがある時、我々は強さを発揮する。前半のボールの回収は凄まじかった。両サイドの選手たちはよく走ってくれた」
これはアトレティックを撃破した後のアンチェロッティ監督の言葉である。
ケパの獲得で、マドリーは陣容を整えた。基本的には、2023−24シーズン、このスカッドで戦う考えだろう。
キリアン・エムバペがパリ・サンジェルマン残留に近づいており、ミリトンが負傷したCBに関しても、ナチョ・フェルナンデスとアントニオ・リュディガーでカバーする方針だ。
マドリーは、アンチェロッティ監督の契約が2024年夏までとなっている。契約期間が満了したら、ブラジル代表の監督になることが濃厚だ。アンチェロッティ・マドリーの、最後の挑戦が幕を開けている。