女子プロ野球2019 ヴィクトリアシリーズ 春季リーグ 京都F×愛知D 第3戦
3月23日開幕してから5試合を戦い、負けなしの京都フローラ。3月31日に行われた6試合目となる、愛知ディオーネとの第3戦(わかさスタジアム京都)の模様をリポートします。
京都、打線が沈黙、苦しみながらも、引き分けに持ち込む
京都 000 001 0 1
愛知 001 000 0 1
(先攻)京都フローラ
1 中 三浦
2 遊 厚ケ瀬
3 捕 村松
4 一 岩谷
5 右 中村
6 二 三原
7 左 田中
打、左 中嶋
8 指 シェー
打、指 戎嶋
9 三 佐々木
投 植村→森
(後攻)愛知ディオーネ
1 左 西山
2 遊 岩見
3 三 星川
4 中 三浦
5 捕 寺部
6 一 太田
7 左 佐藤
8 使 ヂェン
9 二 浅野
投 笹沼→松谷→坂東
3回表、京都フローラはチャンスを生かしきれず無失点に終わると、京都先発・植村美奈子投手が3回裏、愛知ディオーネに二死から連打されランナー二、三塁とすると、四球と死球を与え、1点を献上。
1点ビハインドのまま迎えた6回表、2死二、三塁の好機に代打・戎嶋美有選手がタイムリーを放ち、同点に追いつきます。勝ち越しこそなりませんでしたが、その後は、植村投手と最終回には森若菜投手が愛知打線を抑え、引き分けに持ち込みました。
植村投手、我慢のピッチングでチームへ貢献
二試合目の先発となった、京都フローラ・植村投手が踏ん張りました。3回裏こそ連打でランナーを溜めた後、踏ん張りきれず2四死球を与え先制を許しましたが、次の4回裏や、同点に追いついたすぐの6回裏など要所を三者凡退に抑えるなど、6イニングを投げて1失点と好投しました。
植村投手は、自身のピッチングを振り返り、失点した3回裏を指し「3回表にチャンスをつくり、流れがこちらに引き込みかけ時だっただけに、勿体なかったです。ボールを置きに行ってしまいました」と、反省を口にしました。
テンポの良いピッチングが持ち味。キャッチャーから返球されるや否や、即、投球動作に入り、その間、自己申告によれば、8秒程度だそうです。これはかなり早いといえます。「コントロールが良くない分(笑)、相手に考えさせる間をつくらないように」と、グイグイ投げていきます。加えて、自身が楽観的なタイプとだと話すように、打たれてもいつもは切り替えが早いのに、「あの回は、慎重になってしまいました」。
同じ過ちを繰り返さなかったのは、5回裏のピッチング。先頭打者に四球を与え、送りバントで一死二塁から、次の打者にも四球を与え、1死一、二塁とピンチを招きましたが、後続を打ち取り無失点におさえました。
同じようにボールを置きにいったと言いますが、「気が付いたら視野が狭くなっていた」ことに気づき、「遠くを見て気を紛らせ」、改めて打者へ向かっていったといいます。そうして、最少失点におさえた結果が、同点に追いつけた要因となったようです。
先発としての植村投手の今季の目標は、2つ。ひとつは、「ひと試合2失点までに抑えること」です。7イニング制の女子野球にとって、先発が2点以上失点することは致命的だと考えるからです。
その目標をクリアしたピッチングなのに、勝ち星がつかなかったのが残念ではあります。しかし、植村投手は「負けなかったので良いんです」と話します。なぜなら、今季もう一つの目標が「負けないこと」だからです。“勝つ”ことは何よりですが、それ以上に“負けないこと”にこだわっていると言います。
今日のように、味方打線が苦しんだ中でも負けなかったことは、首位を走る京都にとっては勝ちも同然。負けないこと、というこだわりがもたらしたのかもしれません。
実は、植村投手は、前回先発した開幕二戦目も3対3の引き分となり、未だ、未勝利です。負けていないだけに、次戦こそは、勝ち星に期待がかかります。
トップチーム一年目、戎嶋選手が好機に同点タイムリーを放ち活躍
昨年プロ入り、育成チームのレイアに在籍し、今年、京都フローラへ昇格した、戎嶋美有選手が、チャンスで打ちました。代打で起用された6回表に、同点タイムリーを放ちました。
三球目のストレートを思い切り振り抜きました。「初球はまっすぐ、二球目が変化球だったので、三球目はまっすぐ」と読んでいたと言います。
川口知哉監督からは特に指示はなく、「『日ごろから思い切って行け』と言われているので、積極的に行くことだけを意識して」打席に立ったそうです。打った瞬間、「抜けた!」と、手応えを感じられたといいます。
京都フローラは、現在、若手選手たちによるレギュラー争いが熾烈です。戎嶋選手もその中の一人。自身の中では、現在、バッティングに力を入れていて、「小柄な分、長打力というよりは、出塁率を上げるバッティングを心がけたい」と話します。初球から振る積極性で、レギュラーを勝ち取りたいと話します。
4勝2分で3月を終え、首位に立つ京都。この勢いがどこまで続くのか、今後の戦いぶりに注目です。
写真:著者撮影