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教員は国のロボットなのか?それが教員の「資質」なのか?

前屋毅フリージャーナリスト
(写真:ペイレスイメージズ/アフロイメージマート)

 教員免許更新制が導入されて10年になるが、「資質の向上、乏しい効果」という意見もある。『神戸新聞』(2019年12月7日付)は、「(教員免許更新制の)目的は教員としての資質を高めることにあったが、導入以降も体罰やわいせつ行為などで懲戒処分を受ける教員数は高止まりし、大きな変化は見られない」と指摘している。

 神戸といえば、神戸市立東須磨小学校での「激辛カレー事件」が衝撃的な記憶として残っている。教員のイメージを地に貶めたのは確かである。

 そうしたなかで、「資質の向上」は空しく聞こえる。ただし、教員免許更新制の目的が「倫理的な資質の向上」なのかどうか、考えてみる必要がありそうだ。

 文部科学省(文科省)のホームページには、教員免許更新制度の「目的」として、「その時々で求められる教員として必要な資質能力が保持されるよう、定期的に最新の知識技能を身に付けること」と記されている。ここから、「倫理的な質の向上」を目的としていると読み取ることは難しい気がする。

 実際、更新で義務付けられている講習での「必修」は、国の教育施策などを学ぶことだ。コンプライアンスなどに関する講習は乏しいという。教員免許更新制の講習では、コンプライアンスは二の次にされているのだ。

 教員免許更新制で重視されているのは、国の教育施策を教員に徹底させることでしかない。国の目標とする教育を忠実に実行する「ロボット」になることを教員に強いる姿勢の表れが、教員免許更新制なのではないだろうか。

 ロボットを強いる姿勢が、学校現場では大きなストレスにもなっている。全部とはいわないが、それが「倫理的な質の低下」を招く一因でもある。

 教員は国の施策を忠実に実行するだけのロボットでいいのだろうか。そこを問い直すことが、教員の「質」を考えるうえでも重要になってきているのではないだろうか。

フリージャーナリスト

1954年、鹿児島県生まれ。法政大学卒業。立花隆氏、田原総一朗氏の取材スタッフ、『週刊ポスト』記者を経てフリーに。2021年5月24日発売『教師をやめる』(学事出版)。ほかに『疑問だらけの幼保無償化』(扶桑社新書)、『学校の面白いを歩いてみた。』(エッセンシャル出版社)、『教育現場の7大問題』(kkベストセラーズ)、『ほんとうの教育をとりもどす』(共栄書房)、『ブラック化する学校』(青春新書)、『学校が学習塾にのみこまれる日』『シェア神話の崩壊』『全証言 東芝クレーマー事件』『日本の小さな大企業』などがある。  ■連絡取次先:03-3263-0419(インサイドライン)

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