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森保ジャパンと「鎌田システム」の功罪。「戦術伊東」からの脱却と次の課題。

森田泰史スポーツライター
アメリカに勝利した森保ジャパン(写真:なかしまだいすけ/アフロ)

日本代表が、絶賛されている。

日本は23日に行われた国際親善試合でアメリカと対戦した。2−0で勝利を収め、カタール・ワールドカップを前に楽観的なムードが漂っている。

先に述べておくが、この空気は危ない。確かに、鎌田大地の活躍があり、追加点を挙げた三笘薫の動きも素晴らしかった。

しかしーー、である。このゲームに関して言えば、日本が良かったというより、アメリカが悪かった。「本番仕様」で臨んだ日本が、フィジカル、メンタル、インテンシティとすべての面でアメリカを上回っていた。

そういう意味では、あまり参考にならない試合だった。もっと競ったゲームが、必要だった。それでも、課題や収穫はある。やたらと前向きな雰囲気に呑まれず、浮き足立たずに、森保ジャパンの現状を分析したい。

■布陣変更

まず、システムチェンジについてだ。

森保一監督は、アジア最終予選で使用した【4−4−3】をやめて、【4−2−3−1】をアメリカ戦で採用した。遠藤航、守田英正、田中碧という「盤石の中盤」にメスが入れられ、田中が先発から外された。

代わりに出番を得たのが、鎌田と久保建英だった。スターティングメンバーを見た段階では、久保がトップ下、鎌田が左の配置かと思ったが、実際にはその逆だった。

鎌田をトップ下に置いた効果は、守備とトランジションの場面で見て取れた。

日本は守備時に【4−4−2】を形成する。鎌田と前田大然が2トップ化して、アメリカのビルドアップを封じた。

これは逆説的に遠藤と守田という守備力が高いダブルボランチが構えているからこそ機能したとも言える。また、この辺りが、田中がスタメンから外された要因だ。

■守備とトランジション

日本は【4−4−2】で守備を行なった。さらに、アメリカが3枚でビルドアップをする際には、伊東純也を前に押し出し、3トップ的にして縦のコースを塞いだ。

守備の仕方は、理にかなっていた。アメリカが苦し紛れに出したパスというのは、前述したように中盤で遠藤と守田が回収する。

そして、そこで奪えば、トップ下の鎌田に早くボールを預けられる。状況判断が良い鎌田は、前を向くのがうまい。鎌田にパスを出し、そこからのトランジションで前線に仕掛けていくというのは攻撃として形を成していた。

(全2039文字)

■久保のパフォーマンスは

ダブルボランチと鎌田について触れてきた。ここで、「あえて」久保に言及しておきたい。

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スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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