米海兵隊員5人が死亡した2022年のオスプレイ墜落事故、原因はクラッチの欠陥だった
2022年6月に米海兵隊員5人が死亡したMV22オスプレイの墜落事故は、クラッチの機械的故障が原因だったことが同軍の調査報告書で明らかになった。
米海兵隊は21日付の声明で「調査の結果、パイロットと乗組員に過失はなく、この事故を予期したり防いだりするために何もできなかったことは明らかだ」と強調、「この壊滅的かつ予期せぬ機械的故障が発生したとき、彼らは適用規制に従って通常の飛行運航を行っていた」と述べた。
報告書はまた、天候や鳥をはじめとするその他の外部要因を事故原因から排除した。調査では、海兵隊員に対して懲戒処分や行政処分を行うべきではないとの結論に達した。
事故は2022年6月8日にメキシコ国境から北に約55マイル(89キロ)、アリゾナ州ユマから西に80マイル離れたインペリアル郡の人里離れた砂漠地帯であるカリフォルニア州グラミス付近で訓練飛行中に発生した。海兵隊はこれまで事故の詳細について発表していなかった。
400ページを超える報告書によると、墜落原因は当該機のデュアルクラッチの作動不良によるものだと判明した。クラッチが故障し、オスプレイの右側にあるプロップローター(プロペラとホバリング用のローターを兼ねた部品)で機体を推力させることができなくなった。これにより「コントロールされた飛行からの回復不可能な逸脱」が発生したと海兵隊は述べた。
事故原因となった「ハードクラッチエンゲージメント」(HCE)は、2つのエンジンのうちの1つをプロップローターに接続するギアボックス内のクラッチが滑り、その後突然再びつながり、航空機が傾くときに発生する。
調査では2010年以降、飛行中の海兵隊オスプレイで同様のクラッチ問題が16件発生していたことも判明した。
オスプレイのクラッチ問題により、V22統合プログラムオフィス(JPO)は2月、軍全体でオスプレイの運航停止を余儀なくされた。その機数は明かされていない。そして、オスプレイの機器の交換を始めたのはその時だった。JPOは21日、同じようなクラッチ故障のリスクを99%排除したと発表した。
米海兵隊のMV22オスプレイをめぐっては、日米合同委員会が7日、住宅地などの上空を避けた日本の山岳地帯で低空飛行訓練をする際の最低高度を200フィート(約60メートル)まで下げることで合意したと発表した。
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