ロマチェンコを破ったロペス陥落の衝撃 新王者のプロモーターが番狂わせの背景を語る
11月27日 ニューヨーク MSG Huluシアター
WBAスーパー、WBCフランチャイズ、IBF、WBO世界ライト級タイトル戦
ジョージ・カンボソス Jr.(オーストラリア/28歳/20戦全勝(10KO))
12回判定 2-1(115-111, 113-114, 115-112)
王者
テオフィモ・ロペス(アメリカ/24歳/16勝(12KO)1敗)
世界的には無名のカンボソスが、昨年10月、当時世界最強と評価されたワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)を下したロペスを撃破。ダウンを応酬する激闘の末の勝利は、多くの主要媒体から「年間最高番狂わせ」に選ばれそうだ。
この衝撃的な試合後、カンボソスを傘下に持つディベラ・エンターテイメントのルー・ディベラ・プロモーターがカンボソス勝利の背景と、新たに4つのタイトルを手にした新王者の今後を語った。
大番狂わせはなぜ起こったのか
テオフィモとの試合で勝負を分けたのは、ジョージの自信、練習熱心さだと思います。それらが今戦で見せた機動力と手数に繋がりました。試合を通じ、運動量でテオフィモを上回ったのです。
テオフィモもコンディション自体が悪かったわけではなく、何発か強烈なパンチを打ち込んでいました。ただ、今戦ではジョージのエネルギーが飛び抜けていたということ。試合前、彼自身と陣営がイメージした通りに戦い、ほぼすべてを適切な方法でやってくれました。
採点は妥当だったと思います。初回にダウンを奪ったジョージが先手を取り、私の採点では一時は4ポイントをリード。10ラウンドまでにテオフィモもハードパンチで追い上げてきましたが、ジョージが最後の2回を明白に奪って突き放したというのが私の見方です。
こういった番狂わせが起こるのがボクシングの素晴らしさ。こういう勝利を信じて私たちは試合を組むのです。ジョージはライト級の頂点に躍り出て、私、ディベラ・エンターテイメント、マネージャーのピーター・カーン、そして何より、ジョージ本人にとって素晴らしい結果になりました。
オプション、テレビ局からの拘束はなし
ジョージはキャリアを通じて、期待を超える戦いを見せてきてくれていました。正直に言いますが、もちろんいい試合をしてくれるとは思っていましたが、私もジョージが年間最高試合級のバトルを制し、テオフィモに勝ってライト級の統一王者になると100%確信していたわけではありません。ただ、初めて会った時から、彼の父親は息子がボクシングのスーパースターになると信じていました。私自身も彼の能力を気に入り、契約に至ったわけです。
この勝利のあとで、ジョージは自身の運命をコントロールできます。指名戦での勝利なのでオプションはないし、今回の試合を生配信したDAZNからの拘束もありません。完全に自由な立場なので、陣営とともに最善のオプションを追い求めることになります。まず彼はオーストラリアに戻って家族と喜びを分かち合い、その後に未来について話し合うことになるでしょう。
ライト級ではデビン・ヘイニー(アメリカ)がWBC正規王座のタイトルを持っていますが、現状、ジョージがヘイニーを必要とする以上に、ヘイニーの方がジョージとの戦いを必要としています。だからといってヘイニーとの試合を受けないという意味ではなく、すべては条件次第ですね。テオフィモとのダイレクトリマッチは考え難いですが、どんなオプションも打ち消すつもりはありません。
テオフィモ、ヘイニー、ジャーボンテ・デービス、ライアン・ガルシア(すべてアメリカ)がライト級周辺の“フォー・キングス”だなんて声が出ていましたが、そもそも彼らはまだ実力を証明していないですし、今回の結果でそんな称号は使われなくなるでしょう。
ヘイニーは来週、ジョセフ・ディアス(アメリカ)との好カードが待ち受けていますし、ガルシアも復帰してくるはず。来月にはロマチェンコが私の契約選手であるリチャード・コミー(ガーナ)と対戦し、勝てばタイトル戦を追い求めてくるに違いありません。
いずれにしてもこれから先、ライト級のトップ戦線の話をする時、もうジョージの名前抜きでは語れません。次戦がどうなるかはわかりませんが、様々な観点からチーム・カンボソスにとって最善の選択肢を選ぶつもりです。