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安芸キャンプ訪問記 シート打撃で18歳・高寺が!《阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
ルーキー・高寺望夢選手は安芸キャンプの注目株。平田監督も期待を寄せる18歳です。

 阪神タイガースの安芸キャンプでは練習試合が全部で5つ組まれており、最初が13日の社会人・四国銀行戦でした。その模様はこちらでご覧いただけます。→<安芸キャンプ訪問記 初実戦リポート>

 次が第5クールの3試合で、20日に西武ライオンズ(B班)、21日は社会人の三菱自動車倉敷オーシャンズを安芸に迎え、そして23日に再び西武と今度は相手キャンプ地の春野で行います。その次は第6(最終)クールに四国アイランドリーグplusの2チームで、27日は香川オリーブガイナーズ、28日は高知ファイティングドッグスと安芸で対戦予定。最後の2試合はちょっとお天気が心配ですかねえ。

 さて、きょう20日から第5クールに入った安芸キャンプ。今ちょうど西武との練習試合中です。先発は2年目の及川投手で4イニング、そのあと守屋投手、尾仲投手、牧投手が投げるとか。宜野座では西純投手、安芸では及川投手と2年目コンビの“投げ合い”とあり、テレビとパソコン、またはスマホなど動員された方もいらっしゃるでしょう。

 スタメンはこちら。西武は4番ファースト山川選手です。

1]三:遠藤

2]二:熊谷

3]一:荒木

4]左:江越

5]中:板山

6]指:俊介

7]捕:長坂

8]右:植田

9]遊:高寺

 今クールの3試合は、私も皆さんと同じく映像での観戦です。もしかすると最終クールの最後3日間だけ、また安芸に行けるかもしれませんので、その時は試合経過と選手のコメントなどをご紹介できればと思います。

安芸2度目のシート打撃

 では、安芸キャンプ訪問記の2回目にまいりましょう。きょうは第3クール最終日の14日に行われたシートバッティングについて平田監督、登板した桑原投手と守屋投手、また桑原投手からヒットを打ったルーキー・高寺選手の話を書かせていただきました。いつもに比べると少し短めですので、ご安心(笑)ください!

14日の13時20分頃から始まったシートバッティング。最初に中田投手が登板という練習メニューだったのですが、左ふくらはぎの張りで回避しました。よって桑原投手、伊藤投手、小林投手、守屋投手の4人がそれぞれ6人ずつに投げています。球数は“約”と思っていただければありがたいです。

桑原(24球)-片山

【藤田】四球

【江越】空振り三振

【俊介】空振り三振

【長坂】中飛

【植田】二ゴロ

【高寺】中前打

伊藤(17球)-片山

【藤田】左中間二塁打

【江越】三ゴロ

【俊介】中前打

【長坂】二ゴロ

【植田】左前打

【高寺】四球

伊藤投手は最後の打者・高寺選手にストレートの四球(おそらく)で苦笑いでした。
伊藤投手は最後の打者・高寺選手にストレートの四球(おそらく)で苦笑いでした。

小林(22球)-藤田

【遠藤】二内野安打

【熊谷】右前打

【奥山】二ゴロ

【板山】中前打

【荒木】中前打

【片山】右前打

小林投手はヒットを許したものの、スタンドで見ていた平田監督から何度も「小林、いいよ!ナイスボール!」と声が飛びました。
小林投手はヒットを許したものの、スタンドで見ていた平田監督から何度も「小林、いいよ!ナイスボール!」と声が飛びました。

守屋(15球)-長坂

【遠藤】二ゴロ

【熊谷】左越え二塁打

【奥山】見逃し三振

【板山】一ゴロ

【荒木】三直

【片山】中飛

「内容もずっといい」「大したもの」

 平田監督は練習後、桑原投手のシート打撃初登板について聞かれ「いいボールがいっていたね。コントロールのばらつきがあるにしても、変化球はフォークも混ぜたり、しっかり腕も振れていたし順調だね。フォーク、使えるよ。江越に投げたりしていたけど、ブルペンでも順調。1月の鳴尾浜の自主トレからずっと投げ込んできているんでね。非常に仕上がりはいいよ」と答えています。

 もちろん1軍を意識しないといけない投手ですね。「当然、当然!もう一度、1軍というよりセットアッパーのポジションで、という気持ちが強いだろう。ことしに賭ける思いは自主トレから見ていてわかる」

 そんな桑原投手から高寺選手がヒットを打った話へと移ります。「いや~こりゃもう見事だ。インコースの(球を)ねえ。あれを、詰まらずにセンターへはじき返した。高寺は内容がいいもん、ずーっと。シートバッティング、フリーバッティングも含めてね。最初は“島田や熊谷にも引けを取らんなあ”という評価をしていたけど、今やもう。実際に結果を残しているもん。そういうところは目立つよね」

シート打撃終了後に野手全員を集め、話をする平田監督(背番号78)。
シート打撃終了後に野手全員を集め、話をする平田監督(背番号78)。

 まだ18歳、チーム最年少ルーキーの高寺選手ですが「高校生で個別練習などは配慮して免除したりしていたけど、キャンプをしっかり過ごしてきている。体力面も含めて。普通はバテバテだと思うで、初めてのことでさ。そういったことを考慮しても大したもんだよ」と、日々絶賛の平田監督でした。本人のコメントは最後です。お待ちください。

高寺に「負けたな~(笑)」と桑原

 続いて桑原投手。初のシート打撃登板はいかがでしたか?「投げられたこと自体はよかったと思いますけど、まだまだかな~という感じですね」。ちょっとボールが先行気味だったんでしょうか?「そうですね。変化球はそこそこストライクを取れたんですけど、真っすぐがまだまだでしたから、これからやれることをしっかりやって修正していきたいと思います」

 その中で、きょうはスライダーがよかったのでは?「そうですね、そこそこよかったですかね」。フォークも投げました?「何球か放っていますよ」。よかったですね?「そう…ですねえ。まあシートなので何とも言えないかなと。(フォークを投げることが打者の)頭にあるかないかというところでもあるし。投げてみてどうか、ですね」

 ちなみに受けた片山捕手に聞いたところ、江越選手に投じた2球目の空振り(126キロ)と、空振り三振を奪った6球目(125キロ)がフォークだったと思われます。

 次は試合で、ですね。「はい、何もなければ」。21日の社会人・三菱自動車倉敷戦に投げるのではないでしょうか。

桑原投手は今キャンプ初のシート打撃登板。順調に来ています。次は練習試合!
桑原投手は今キャンプ初のシート打撃登板。順調に来ています。次は練習試合!

 ところで、高寺選手に打たれたのは内角のいい球だったかと。「そうですね。いいとこるへいったけど、ちょっと甘かったかな。まあでも…負けたな~と思いました(笑)。きっちり打ち返されたんで。そのへんはまだまだこれからですね」。負けたな~って言葉は後輩ルーキーへの褒め言葉でしょう。優しい笑顔でした。

優勝して恩返し!と誓う守屋

 変わって守屋投手です。熊谷選手にレフトフェンスを越えそうな二塁打(結果はフェンスの一番上部分を直撃)を打たれたものの、他は奥山選手の三振以外、初球か2球目を打たせて終わっています。でも開口一番「全然でした」とため息の守屋投手。どのへんが?「リリースのタイミングが合っていないですね」。球自体は?「思ったよりいかなかったです」。きょう20日の西武戦でも少し打たれてしまいました…。

 守屋投手にとって2018年以来3年ぶりの安芸キャンプ。ここまでいかがですか?と聞いたら「もう疲れがヤバいです!」とのこと。朝は練習が始まる前に毎日ひとりでネットスローをしていて、しかも「あす(休日)も来ますよ。僕に休みなんかないです。毎日来ています。一回も休んでません」と言います。

 そのあと「だって僕…去年、何にもしてないんですよ」と。

 なるほど、そういう意味なんですね。昨年は開幕直後に右肩を痛め、1軍登板は3試合のみでした。「やることがいっぱいあるんです、僕は」。肩は問題なし?「大丈夫です!このキャンプでも最初から結構バンバン投げています」。まだ寒い日もあるので無理はせず、でもしっかり結果が残せるよう祈っています。

守屋投手も今季初めてシート打撃で投げ、きょう20日の西武戦に臨みました。
守屋投手も今季初めてシート打撃で投げ、きょう20日の西武戦に臨みました。

 終わりかけた時、また守屋投手の方から言葉を発しました。「ことしはしっかりやりますよ!」と。昨年の契約更改で「ガッツリ下がった」と言っていた年俸を取り返してください。「はい。あれはもう前払いだと思っているので」。ほお~“前払いだと思っている”ってカッコいい表現ですね。

 「そうですか?前払いを何倍かにして返してもらいます。それしか考えていないです。日本一になれば上がる。なりますよ!矢野監督も言っていますから。監督が言っている以上、やっぱり恩返ししないといけない。絶対に恩返ししますよ!」。一気に述べて、かっこよく去っていきました。

高寺、積極打法プラス選球眼

 では最後に、この日のシートバッティングで桑原投手からヒットを打った高寺選手です。感触はどうでしたか?「悪くなかったというか、しっかり芯で打てたかなと思います」。またまたファーストストライクから振っていったんですね。「はい、これから先もずっとストライクが来たら。追い込まれてからは打てないというか確率が低くなると思うので、しっかり初球を、ファーストストライクを打っていきたいと思います」

 桑原投手から打てたのは自信になる?「1軍で活躍されている方なので、そういう方から打てると少しは自信が持てるかなと思います」。簡単なボールではなかったのでは?少しインコース寄りの、投げ方も特徴があって初見でなかなか打ちづらいピッチャーでしょう?「でもバッティングピッチャーされていた時に球は見ているので、角度とか少しはわかっていたかなと思います」

 平田監督は、2打席目(伊藤投手から四球)も球がよく見えていたと。選球眼はあるほうですか?「そうですね。練習からボール球は振らないようにと高校でもやっていたので。でも自分で“ある”とは言えないですけど…。そうですね、はい。少し…ある、ほう、かなと」。かなり言葉を選びながら答える高寺投手でした。特別な練習は?「いや、練習でもボール球は振らないとか、そういうことぐらいで。選球眼のための特殊な練習は何もしていないです」

シート打撃で桑原投手の2球目(ファーストストライク)をセンター前へ!
シート打撃で桑原投手の2球目(ファーストストライク)をセンター前へ!

 そうそう、桑原投手は打たれて「負けたな」と思ったそうですよ。自信になりますか?「そう、ですね。まあでも1回…そうっすね。はい、自信になります。でも1回…はい」。最後はちょっとしどろもどろになっていましたね。何を伝えようとしたのか?繰り返した“1回”とは、いったいどんな意味だったのか?めちゃくちゃ気になっています。それを聞くためにも、もう一度行かねば!

  <掲載写真は筆者撮影>

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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