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安芸キャンプ訪問記 初実戦リポート《阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
安芸で無心にバットを振る6年目の板山選手。「明らかに目立つ結果」でアピールです!

 阪神タイガースは例年通り、2月1日から沖縄・宜野座と高知・安芸に分かれて春季キャンプを行っています。無観客での開催となったけれど、選手のいろんな姿がテレビや動画で配信され、現地へ見に行けないファンの皆様を癒やしてくれているようですね。そんな“新しい様式”のキャンプも、あっという間に3分の2が終了、3月1日の打ち上げまで残り10日です。

 安芸ではあす20日からの第5クールで練習試合が3つあるなど、本格的に実戦モード。その前に第3クールの13日は社会人の四国銀行を迎えて練習試合が行われ、安芸ではこれが今季初の実戦でした。唯一の高卒ルーキー、というか今はまだ高校生のドラフト7位・高寺望夢(たかてらのぞむ)選手が先発出場して初ヒットも放っています。

 ことしは『安芸キャンプ訪問記』として、ほんの少しで恐縮ですけど現地の様子をお伝えします。今回は13日から17日まで行ってきました。きょうは13日に行われた練習試合の結果と経過、コメントをご紹介しましょう。

<安芸キャンプ練習試合>

 プロアマ交流試合 2月13日

阪神-四国銀行 (安芸市営)

 四銀 100 000 100 = 2

 阪神 210 011 000 = 5

  ※特別ルールにより9回裏まで

◆バッテリー

 【四銀】菊池(2回)-大田(1回)-平山(3回)-浮橋(2回)-佐田(1回) / 大河-南(5回~)

 【阪神】望月‐浜地-石井将-及川-牧 / 長坂-片山(6回~)-藤田(8回~)

◆二塁打 四:柴田

◆盗塁 神:植田、島田、江越2、片山

◆打撃    (打-安-点/振-球/盗/失)

 1]二:植田   (6-1-1 / 0-0 / 1 / 1)

 2]三遊:遠藤  (6-0-0 / 2-0 / 0 / 0)

 3]中:島田   (3-1-0 / 0-2 / 1 / 0)

 4]右:江越   (4-2-1 / 1-1 / 2 / 0)

 5]一:板山   (5-3-2 / 1-0 / 0 / 0)

 6]捕指:長坂  (2-0-0 / 0-1 / 0 / 0)

 〃打指捕:藤田 (1-1-0 / 0-1 / 0 / 0)

 7]指捕指:片山 (5-1-0 / 0-0 / 1 / 0)

 8]左遊三:熊谷 (3-2-0 / 1-2 / 0 / 0)

 9]遊:高寺   (1-1-0 / 0-1 / 0 / 0)

 〃左:奥山   (3-1-1 / 0-0 / 0 / 0)

◆投手       (安-振-球/失-自)

 望月  2回 8人 19球 (0-0-1 / 1-0)

 浜地  2回 6人 27球 (1-1-1 / 0-0)

 石井将 1回 4人 15球 (0-1-1 / 0-0)

 及川  2回 9人 33球 (3-1-1 / 1-1)

 牧   2回 6人 12球 (0-0-0 / 0-0)

4番・江越選手は1回、同点の右前タイムリー!8回には左前打、盗塁も2つ決めました。
4番・江越選手は1回、同点の右前タイムリー!8回には左前打、盗塁も2つ決めました。

《試合経過》※敬称略

 先発の望月は1回、先頭に四球を与えたあと犠打などで2死三塁とし、二ゴロ失策で1点を先に失います。しかしその裏、中前打を放った先頭の植田が1死後に二盗、島田の四球で一、二塁となり、江越の右前タイムリーで同点!島田が三塁まで進み、江越も二盗を決めて板山の中前打で生還!勝ち越しました。

 2回は内野ゴロ3つ(うち2つはショート高寺へのゴロ)で三者凡退に切って取った望月。するとその裏に熊谷の左前打と高寺の中前打(左中間)で無死一、三塁と攻め、続く植田の二ゴロで1点追加します。

 3回からは浜地が登板。先頭に四球を与えるも2死後に長坂が盗塁阻止!4回は2死後に一塁線を破る二塁打を浴びましたが、今度は浜地自身の二塁牽制でタッチアウト!5回の石井将は先頭に四球を与えたものの、以降はキッチリ3人で片づけ無失点です。

 打線は5回に長坂が四球を選び、2死二塁となって途中出場の奥山が左前タイムリー!6回にも1死から右前打した島田が投手の牽制悪送球で二塁へ進み、2死後に板山の中前タイムリーで還って5対1とリードを広げました。

5回2死二塁で、この日初打席の奥山が左前タイムリー!
5回2死二塁で、この日初打席の奥山が左前タイムリー!

 なお6回からは及川と片山のバッテリーに代わり、6回は1安打無失点ながら7回は先頭への四球から暴投などで無死二、三塁として、1死後にタイムリーを許しました。最後は中飛で一塁走者が戻れず併殺。最少失点でとどめています。

 8回からは牧と藤田のバッテリーで2イニングをパーフェクト!空振りもファウルもなく、8回は5球、9回は7球という数でした。打線は7回に熊谷が中前打、8回は江越と藤田が左前打するも0点。特別ルールで行われた9回裏は1四球のみで試合終了です。

高寺の“競争入り”を明言

 ではコメントです。まず平田監督から。取材陣に、初実戦の初打席で初安打を放ったルーキー・高寺選手のことを聞かれて「いやいやいやいやいや~!」という感嘆の声に続き「素晴らしいんじゃない?うーん。楽しみがまた1つ増えたねえ。これはもう内野手のいろんな競争、刺激というより競争に入ってこられる。いいバッティングしてるもん」と絶賛。

 この日2打席だけで交代したのは予定通りだったそうです。「どうせなら先に使ってと思ってスタメンでね。守りの方も打球が2個飛んでいったかな?ゲームに入って“いつもの練習とは違うなあ”という動きでもなく普段通り。実戦でも、まったく臆することなく、そういう感じだよな」と感心していました。

試合が終わって約30分後のスコアボード。ことしから球速が表示されるようになりました!左端の時計の下です。
試合が終わって約30分後のスコアボード。ことしから球速が表示されるようになりました!左端の時計の下です。

 バッティングに関して「勝負強さっていうところまではいってないけど、場慣れしているというか、高校時代にしっかり指導されているんだろうな。監督さんの指導の賜物だよ」と言い、次の試合もスタメンで?との問いには「そのへんはね、体力的なことも考えたり、俊介や荒木もいるんでね。うまくいろんな経験を徐々にさせていきたいな」とのことです。

経験を積む選手、結果が必要な選手

 投手陣については「まあ先頭へのフォアボールなどの反省点はあったけど、久しぶりの実戦でね。望月はまだまだスピードもコントロールも精度が上がってくるだろうし。浜地はいい球を投げていたんじゃない?石井将は今まだゼロに抑えて自信をつけるというところで経験させようかなと。及川は打たれて勉強、勉強。牧はあれくらい抑えるよ。まだ物足りないけど、これくらいは普通だもん、牧なら」と振り返った平田監督。

 打つ方では板山選手が3安打、江越選手も2安打でしたね。「このへんはもう当たり前と言えば当たり前。あたり前田のクラッカー!知らんか?俺と岡本さんしかわからんな(笑)」。おっしゃる通り、私以外は誰も笑いません。藤田まことさんや『てなもんや三度笠』を説明してもキョトンとしています。さらに平田監督は「中森明菜の“DESIRE”も知らんのやで!ビックリするよ」と。まあ年齢的にはそうでしょうねえ。

 話を戻します。「江越や板山は普通。ただこうやって実戦で結果が出るとね、やっぱり上がね。高寺や遠藤や及川らは、まだまだ経験を積まなきゃいけない選手。江越や板山や植田海、島田、熊谷らは結果を出さなきゃいけない選手。ファームの場合、いろんな段階の選手がいる。立場が違う」。安芸キャンプスタートで、いっそう奮起している選手にとっては結果が一番のアピールですからね。

望月「ゆっくりやってはいられない」

 次は投手陣の話を紹介します。最初は先発した望月投手。初実戦の感想は「細かいコントロールはまだまだでしたし、ストレートで後ろへのファウル、左打者だったら三塁側へファウルという打球もなかったので。コーチとも話したんですけど、これから実戦を積み重ねていく上で、しっかりそういうボールを出していかなければいけないと思います」というもの。

望月投手は2回無安打1失点(自責0)。球速や精度はこれから、と平田監督。
望月投手は2回無安打1失点(自責0)。球速や精度はこれから、と平田監督。

 2イニングを投げ、味方エラーで1点を失ったもののヒットは打たれていません。「(昨秋の)フェニックス・リーグ以来の実戦で、入りは力んだかなというのはありますね。2人目くらいから、しっかり下半身を使って投げられたので、そこはより早く対応していかないと。先頭を出したのは反省として、次は出さないようにやっていきたい」と望月投手。

 「思ったところに投げきれていないのも何球かありましたけど、気持ちとしてはゾーンの中で結構腕が振れていたので、ファウルになってほしい球がいくつかあった。ゾーンの中で勝負できたので、ああいう結果になったかなと思いますね」。また試合の間隔が空きますが「この1週間は実戦を意識してやりたい、ブルペンから。次はもう20日を過ぎてきますし、期間的にもゆっくりやっていられないので」とのことです。

次は100%の力をボールに伝えること

浜地投手も2イニングを投げ、1安打無失点。キャンプ初の実戦登板での手応えを聞かれ「ムチャクチャいいとも思わないし、かといってすごく悪いという感じじゃないんですけど。一番思ったのは全力で投げられなかった、(力を)出そうと思って出せなかったので、それをしっかり修正しないと次に相手のレベルが上がったら、ちょっと痛い目に遭うなと感じました。まあ他にもいろいろありますが、まずは100%ボールに伝えるというところができなかったのかなと一番思います」と、納得していない様子。

浜地投手は2回1安打無失点。走者2人はバッテリーで刺しました!
浜地投手は2回1安打無失点。走者2人はバッテリーで刺しました!

 その理由に心当たりは?「やっぱりバッターが立って、どうしてもコントロールを乱したくないとか、先頭に四球を出しましたが、もう出したくないとか考えて、ちょっとリリースの時にふわっとした感覚があった。その割にボールは悪くなかったと思いますけど、もっとちゃんとやらないと。しっかり自分の思っていることを表現できるようにしないと」

 監督はいい球を投げていたと話していましたよ。「僕の感覚ではリリースがふわっとしていて、(指に)かかっていないというか伝わり切れていないというとこがあったので。そこですかね、一番は。もっと球速も上がってくると思うし、上がってこないといけない。がむしゃらに投げるのとはまた違うんですけど、しっかり伝えるところに伝えることができないと1軍では打たれるし、プロ相手でも厳しくなる」

 さらに「100%出せる状態での80%ならいいんですけど、きょうは80%しか出せないところの80%のイメージだった。100%が出せる状態にまずならないと」と説明。なるほど、よくわかる説明でした。「最初の実戦で、ゲームである程度投げられるなというのがわかったので、ここからは試合に向けての調整というより、しっかり追い込んで、トレーニングや技術を向上させる方にシフトしていこうと思います」

サイドスローで少しずつ自信を!

 石井将投手は1イニング無安打無失点。反省と収穫を交互に述べました。「左バッターの先頭に四球は絶対しちゃいけないことで…。ただ、きょうは右バッターにも左バッターにも、スライダーはいいボールもあったかなと思います。クイックや、先頭が出たところでの勝負という課題はいっぱいあるんですけど、その中で0点に抑えて、いい球もあったと。いいものも見つかったので、そこはよかったかなと思う」

5回に登板した石井将投手。先頭に四球を与えるも後続を断って無失点です。
5回に登板した石井将投手。先頭に四球を与えるも後続を断って無失点です。

 昨秋、フェニックスから取り組んでいるサイドスローについて「フェニックスの時はまだ不安感というか、どうしたらいいんだろうというのがあって自信がない感じだったけど、今は自分の中である程度投げていける感覚があるので、そこはだいぶ変わってきたと思います」とのこと。今後の課題は?「球児さん(藤川SA=スペシャルアシスタント)が来られた時に『サイドは右左の投げ分けっていうのをちゃんとやって、1球1球を大事に投げていかないといけない』と言われたので、そこはしっかり自分の課題としてやっていきたい」

 110キロ台のスライダーが結構多かった?「そうですね。ほぼ(笑)」。腕を下げて、いい効果が出てきた球種もある?「今そこまで安定したボールはないんですけど、きょうスライダーを右打者にも左打者にも、ちゃんと感覚よく投げられていたのでよかったですね」。自分でも新しい発見がある?「やったことがないので、多分いろいろ探り探りになるとは思いますが、ちょっとずつ自信をつけていきたいと思います」

早くフォームを固めたい及川

 及川投手は2イニングを投げ3安打1失点でした。「ストレートの“かかり”というか感覚がすごくよくて、それをうまく(生かせず)、こう…フォームの乱れなどで、ちょっとボールが多かったのはどうかなと思うんですけど。でも真っすぐがすごくいい感覚だった。よかったです」

 クイックの方がいい球だった?「体重移動に入る時にちょっと軸足の曲がりが早くて、折れが早いと言われました。上体も反り気味になっちゃって、しっかり前で離せていなかったというか。ボールが滑っている感覚じゃなかったので単純に、フォームや離す位置の問題だと思います。動画を見返すと折れが早くてズレているなというのがあったけど、フォームが決まったボールは左バッターのアウトローにいっていたので、何とかしてフォームを固められるようにやっていきたい」

「お客さんがいたら緊張していたかも」と及川投手。2イニングで3安打1失点でした。
「お客さんがいたら緊張していたかも」と及川投手。2イニングで3安打1失点でした。

 変化球も?「そうですね。投げきれないでチョコンと当てられて、飛ぶ場所がよかったからセンターフライになりましたけど。要はやっぱり右バッターのインコースにストレートが投げきれないと決め球のスライダーが浮いてしまう時があるので、その2つが投げきれなくてボールが先行しちゃったり、ライト前に打たれたり。悔しいというか、惜しいところはありました」

 次の実戦までの課題は?「軸足の折れはクセというか前々から気づいていて、さらに藤川SAからも指摘され、本当にもう重々承知なので、そこをどう変えていけるか。もちろん継続して投げるスタミナもつけていけたらいいと思います。今も、疲れてはいますけど、どこも痛みなく投げ続けられているので、しっかりケアを怠らずにフォームも固めていきたいです」

まず考える。「1軍で投げるためには」

 投手陣の最後は牧投手です。8回からの2イニングをパーフェクト!手応えは?「四球がなかったのはよかったですけど、先頭へ2ボールにしちゃったりして。そこで1-1というカウントを作れるようにしないと厳しいかな~ってのと、逆球も多かった。相手が打ち損じてくれただけ。そういうところ、ストレートでファウルを取りたいと思います。三振も、もっと狙いに行く場面があったんですけど、空振りがなかった。そこがちょっと僕としては。はい」

 空振りやファウルでカウントを作り、三振で決着?「そうですね。きょうは右、左ともインコースというのを課題に投げていたので。去年、左バッターに打たれているデータがあるから、左をどう抑えるかです」。藤川SAに言われたことは継続して?「はい。練習の時から、マウンドでも変わらず意識してやっています」。できた?「バッターが立ったり、試合になったりすると、やっぱり逆球が多かった。練習と同じように出せないと意味がない。教えてもらったことが試合でもできるように練習していくしかないですね」

牧投手は2回12球でパーフェクト。藤川SAの教えを意識して投げています。
牧投手は2回12球でパーフェクト。藤川SAの教えを意識して投げています。

 まずは支配下に戻ること?「上で(小野寺)暖さんが打っていたり、鈴木(翔太)さんが投げていたり、そういうのを見ていて意識はします。あと1枠しかないので。でも球児さんから『支配下に上がることではなく1軍で投げられるにはどうすればいいかを考えてやりなさい』と言われた。そこのレベルにいく時には多分、支配下になれていると思うし。1軍の人と自分は何が違うのかを考えて答えを出し、それに向かって練習していくのが今やるべきこと」

 きょうの結果に満足することなく、さらに?「そうですね。まあ内容は別として悪くはなかったんで。四球もなかったし。ことし初めての試合でしっかり投げられたってところではよかったと思いますけど、また相手がプロになった時にどうするかなど、しっかり考えてやっていきたい」

 牧投手の話はまだまだ続くのですが、ここからは日を改めて書かせていただきます。変わって野手陣のコメントにまいりましょう。といっても板山選手と高寺選手の2人だけでした。

「普通じゃダメ、明らかに目立つ!」

 1回と6回のタイムリーを含む3安打2打点の板山選手に、打撃好調ですねと声をかけたら「いや、普通じゃないですか」と冷静な言葉。まあ平田監督も、これくらい当然だと言っていました。「はい。プロ相手とはまた違うので、あれくらいできないとダメだなと思います」

 とはいえ結果が出たことで、手応えもあったのでは?と聞かれると「まだ1試合なので、これからもっと試合を重ねていって、もっと相手に崩されたりして、そういう時でもやっていることができて初めて成果だと思うので、まだまだ手応えっていうのは早いかな」と、やはり冷静に分析しました。そして「3本打ったので、よかったのはよかったんですけど、また継続して練習はとことんやっていこうと思います!」と続けた板山選手。

板山は1回が右前タイムリー、写真の4回は2死二塁で右前打(本塁アウト)、6回にまた中前タイムリーの3安打。
板山は1回が右前タイムリー、写真の4回は2死二塁で右前打(本塁アウト)、6回にまた中前タイムリーの3安打。

 またこの日、タイムリーのあと暴投で1回は二塁へ、6回は三塁へ進みました。「それもやっぱり、めちゃくちゃ足が速いわけじゃない分、そういうところで次の塁を狙うってのはアピールの1つだと思う。試合に出るためには打てなきゃいけないし、走れなきゃいけないし、守れなきゃいけないので、そこは常に高い意識を持ってやっていきます!」

 全試合3本ずつ打つくらいのアピールで?「そううまくはいかないと思いますけど、そのためにこのオフからバットを振ってきたので何とか結果を出して。普通の結果じゃ上がれないと思うから、明らかに目立つような。そういう気持ちでやっている。継続して結果を出します!」

 コメントの後半は「~したいと思います」ではなく、語尾が「やっていきます!」「結果を出します!」と言い切る形ですね。強い気持ちの表れと受け取りました。

末っ子ルーキー、積極打法で初安打

 最後は高寺選手です。初実戦で先発出場することが決まり、前日には「チャンスでは打つことしか考えていない」と言い切った末っ子ルーキー。見事に初打席でヒットが出て「ストライクゾーンにボールを通させないというか、ゾーンに来たら多少厳しめでも振ると決めていた。それでゾーンに来てしっかり振って、ああいう結果になってよかったと思います」と振り返りました。

 手応えは?「すごくいいという感じではなかったんですけど、それなりに芯には当たったので」。インコースでかなり難しめのボールだったのでは?「はい、インコースです。少し詰まったのかなと思いますけど、そんなに根っこでもなかった」。音が非常によかったですね。「はい」

 インコースの球を左へ打ちましたが、意識はセンター方向?「いや、無理やり引っ張らないようにいつもやっていて、意識はコースによって(違う)。インコースならライト、外ならレフトというふうにやっていたんですけど。インコースでも逆方向にいきました」

2回に初ヒットの高寺選手(左)。2球目を打ったのですが…撮れなくてすみません!
2回に初ヒットの高寺選手(左)。2球目を打ったのですが…撮れなくてすみません!

 初球(ファウル)を振れたのは大きかった?「はい、振ると決めていたので。ストライクかボールかよくわからなくて…多分ストライクなんですけど、振れたのはよかったと思います」。2打席目は見ていった?「ちょっと変則で手が出なかったというのはあります。四球までもっていけたのはいいんですけど、甘いボールもあったと思うので、しっかり打って出塁できればよかったかなと思います」

“平常心”も大きな武器

 初ヒットは嬉しかった?「嬉しくなくはないんですけど(笑)、1本出てよかったなと」。どちらかというとホッとした?「はい、少し」。ヒットのあと、ベンチから「ボール、ボール」と声が。記念のボールをもらった?「ないです(笑)。それは1軍でもらいます」

 試合では緊張しないと言っていましたね。「試合に入ってしまえば緊張は全然ないので、いつも通り動けたと思います」。打席の前にあった守備機会も落ち着いて?「形がちょっと悪くて。練習からしっかりやっていきたいです」。2つ目の遊ゴロは送球が少し浮いた。そこは課題?「はい。あれでセーフになったら流れもわからなくなるので、送球エラーはなくしたい。アウトを取れたことはホッとしましたが、しっかり形を作っていきたいと思います」

 試合は疲れた?「今のところは、試合が初めてで慣れないところでの疲れというのは少しあるんですけど、いつも疲れているので(笑)。あまり試合後の疲れってのは今はないです」。次の西武戦で、初めて阪神以外のプロのピッチャーと当たりますね。「対戦してみたいです。対戦して結果を出したい」。いつも疲れている、という本音に思わず笑っちゃいました。

3回表の守備で二盗を阻止する場面。長坂選手からの送球を受け、高寺選手(左)が走者をアウトに!
3回表の守備で二盗を阻止する場面。長坂選手からの送球を受け、高寺選手(左)が走者をアウトに!

 そういえば去年、ルーキーだった井上選手が西武戦でホームランを打ったのは聞いている?「いえ、知らないです」。意識させちゃったかな。「あ、大丈夫です(笑)」。今後に向けて「この1日の1本じゃ意味がないというか、打っただけになってしまうので、これからも出た試合でヒットを打ち続ければいいと思う」と締めくくった高寺選手。あすの試合を楽しみにしましょう。

   <掲載写真は筆者撮影>

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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