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ヤンキースが契約の残るスピードスターを解雇し、2000万ドル以上をドブに捨てた理由

宇根夏樹ベースボール・ライター
ヤディアー・モリーナ(左)とジャコビー・エルズベリー Apr 14, 2017(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 11月20日、ニューヨーク・ヤンキースは、ジャコビー・エルズベリーを解雇した。エルズベリーはボストン・レッドソックス時代に盗塁王を3度獲得したスピードスターだが、ここ2シーズンは度重なる故障に見舞われ、メジャーリーグだけでなく、マイナーリーグの試合にもまったく出場できなかった。

 2013年のオフに、ヤンキースは7年1億5300万ドルでエルズベリーを迎え入れた。契約は2020年までだ。この時点で解雇しても、1年分の支払いは残る。ヤンキースとしては、約2100万ドルをドブに捨てた格好だ。■追記(11/23):2021年の球団オプションを破棄するのに必要な500万ドルを含めると、合計は約2600万ドルとなる。■

 であれば、解雇する必要はなかったと思うかもしれない。36歳とはいえ、復活する可能性は皆無ではない。

 ただ、40人ロースターに空きがない球団は、来月に行われるルール5ドラフトで選手を指名することができない。エルズベリーの解雇は、これが大きな理由だと思われる。ルール5ドラフトの前にロースターをセットするのは、11月20日が期限だった。

 ヤンキースは、エルズベリーの解雇に加え、グレッグ・バードネスター・コーテズJr.をロースターから外した。その一方で、7人を新たにロースターに入れ、ルール5ドラフトで他球団に奪われないように「プロテクト」した。

 エルズベリーは、どこかの球団とマイナーリーグ契約――メジャーリーグに昇格した場合は最低額の年俸56万3500万ドル――を交わすことができる。MLB.comのマーク・フェインサンドは、「リハビリは終わりに近づいていて、スプリング・トレーニングに照準を合わせている。彼はきっとやるだろう」という、エルズベリーに近い筋のコメントを報じている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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