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東京五輪への“死のロード”に挑むU-23韓国代表はどんなチームなのか

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
チョン・ウヨン(写真提供=FA Photos)

1月8日からタイで始まるサッカーのU-23アジア選手権。今年7月の東京五輪のアジア最終予選を兼ねており、日本が開催国枠での出場がきまっているので、上位3チームに東京五輪の出場権が与えられる。

日本は本番に向けた強化の場として位置づけられるが、そのほかの出場国にとっては“絶対に負けられない”大会だろう。

韓国の大会準備過程とは?

東京五輪で9大会連続のオリンピック出場を目指す韓国も、今大会に照準を合わせて早くから準備を始めてきた。

2018年9月のジャカルタ・アジア大会で優勝したキム・ハクボム監督がそのままU-22(当時)代表監督になり、2018年12月には最初の合宿を行って準備を進めてきた。

昨年3月のU-23アジア選手権予選ではチャイニーズ・タイペイ(8-0)、カンボジア(6-1)、オーストラリア(2-2)らと対戦し、1位通過で今回のU-23アジア選手権に名乗りを上げた。

昨年9月からはU-20ワールドカップで準優勝したメンバーたちを迎え入れてチーム内競争も盛り上げてきた。

U-22シリア代表と予定していた9月の強化試合はシリア選手団のビザの問題で直前にキャンセルとなったが、10月にはU-22ウズベキスタン代表とホームで2連戦を行ない、11月にはドバイカップに出場して、サウジアラビア(2-0)、バーレーン(3-0)、イラク(3-3)のU-22代表とテストマッチを経験している。

12月9日からは国内で合宿を行い、28日からはマレーシアで最終キャンプを開始。1月3日はU-23オーストラリア代表と非公開の練習試合を行っていよいよ決戦に挑むが、不安は尽きない。

“死の組”に属し、期待の欧州組も合流ならず

というのも、韓国が属するのはグループC。中国(1月9日)、イラン(1月12日)、ウズベキスタン(1月15日)と同じグループC。過去の対戦成績ではいずれも韓国が勝ち越しているが、組み分け発表直後には「死の組」と称されたほどなのだ。

中央日報のサッカー班のパク・リン記者も「グループリーグが簡単ではない。むしろかなり厳しい相手です」と心配する。

また、イ・ガンイン(バレンシア)とペク・スンホ(ダルムシュタット)の招集ができなかったことも懸念されている。

U-20ワールドカップで韓国を準優勝に導き自らもゴールデンボール(大会MVP)に輝いたイ・ガンインと、A代表でも活躍するペク・スンホはキム・ハクボム監督がかねてから大会参加を要望していた選手だ。

所属クラブの協力を要請するためにKFA(韓国サッカー協会)のホン・ミョンボ専務理事とキム・ハクボム監督が渡欧までしたが、イ・ガンインは昨年11月に太ももを痛めて本調子ではなく、ペク・スンホもクラブからの協力を得られず見送られた。

チームの主軸となるのは?

もっとも、今大会に挑むチームに欧州組がいないわけではない。ドイツ・ブンデスリーガのSCフライブルクに所属するチョン・ウヨンだ。

彼については以前本欄でも詳しく紹介したが、元ヴィッセル神戸のチョン・ウヨンではない。

昨季まで所属したバイエルン・ミュンヘンではチャンピオンズリーグも経験したスピードスター(30m走3秒79らしい)は、昨年10月からU-23韓国代表の主力となっている。

(参考記事:「ミュラーが“狂ったように走れ”と激励してくれた」欧州CLデビューした19歳チョン・ウヨンに直撃)

チームはこのチョン・ウヨンとU-20ワールドカップで活躍したオム・ウォンサン(光州FC)、昨季Kリーグ2(部リーグ)MVPのイ・ドンジュン(釜山アイパーク)のスピードと機動力を生かした攻撃が特長だ。

システムは4-2-3-1。昨年はA代表にも呼ばれたGKソン・ボムグン(全北現代)、MFイ・ドンギョン(蔚山現代)らが不動でU-20ワールドカップの日韓戦でゴールを決めた身長193センチのオ・セフンがワントップを務める。

GKアン・ジュンス(鹿児島ユナイテッド)やDFイ・サンミン(昨季までV・ファーレン長崎。今季は蔚山現代)、MFウォン・ドゥジェ(昨季までアビスパ福岡。今季は蔚山現代)などJリーグ経験者もいるU-23韓国代表。

監督はトーナメントに強い“ハクボムソン”

チームを率いるキム・ハクボム監督は、研究熱心なことからアレックス・ファーガソン監督ならぬ韓国では別名“ハクボムソン”と呼ばれ、2014年にはKリーグの城南(ソンナム)FCをFAカップ優勝に導き、2018年にはアジア大会優勝なども成し遂げたことから「トーナメントに強い知略家」ともされている。

そんな知将が率いる韓国ははたして “死の組”とされるグループCを勝ち上がり、決勝トーナメントを勝ち抜いて東京五輪へのチケットを手にすることができるだろうか。

仮に“死の組”グループCを勝ち上がっても、準々決勝で対戦するのはUAE、ベトナム、北朝鮮、ヨルダンが属するグループDの勝者。まさに韓国にとって東京五輪への道のりは“死のロード”だ。

いずれにしても、東京五輪のアジア出場枠は3枠。上位3チームに出場権が与えられる。日本がベスト4に進出した場合、準決勝に進出したチームには無条件で東京行きのチケットが与えられるので、韓国はベスト4まで駒を進めることができなければ東京五輪のピッチを踏むことができない。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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