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熱帯低気圧が北上し、東海・関東に近づくおそれ 週明けは強い雨も

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
7月23日正午の雲の様子、日本の南に熱帯性の雲域がみられる(ウェザーマップ作画)

 今年は台風の発生が少なく、今月1日の台風4号を最後に、台風の発生が途絶えています。しかし、今、熱帯性の雲域(低圧部)が日本の南を北上しています。

 今後、熱帯低気圧となり、東海や関東地方にかなり近づくでしょう。26日(火)~27日(水)頃、天気が崩れ、強い雨が降るおそれがあります。

24日は小笠原諸島に熱帯低気圧

 低圧部とは気圧がやや低い所という意味で、やがては熱帯低気圧や台風に成長する可能性のあるじょう乱です。いち早く、台風の発生をキャッチするため、この時期は低圧部から目が離せません。

 この低圧部は23日(土)中に熱帯低気圧となる可能性があり、24日(日)は小笠原諸島付近まで北上する予想です。

2022年7月24日(日)午前9時の予想天気図(ウェザーマップ作画)
2022年7月24日(日)午前9時の予想天気図(ウェザーマップ作画)

 そして、この熱帯低気圧はさらに北上を続け、26日(火)には東海沖に達するでしょう。熱帯低気圧の雨雲と高気圧の縁を流れる非常に湿った空気が重なり、東海や関東地方では再び、雨が強まる可能性がでてきました。

記録的短時間大雨は昨年の2倍以上

 記録的に早く、6月中に梅雨が明けたものの、7月は梅雨をやり直すような天候が続きました。短時間に猛烈な雨が降ったときに発表される、記録的短時間大雨情報は今月だけでも全国のべ43回に達し、昨年の2倍を超えています。

 なぜ、梅雨が明けても大雨が続いたのでしょう。そもそも梅雨は明けていなかったという見方もあるかもしれませんが。

 そのあたりを上空1,500メートルの天気図で探ってみました。

梅雨明け後の大雨は「三極構造」がカギ

2022年7月中旬の850hPa流線関数、気象庁ホームページより(筆者が加工した)
2022年7月中旬の850hPa流線関数、気象庁ホームページより(筆者が加工した)

 注目したのは日本付近の高気圧と低気圧の分布です。暖色は高気圧を、寒色は低気圧を示しています。いつもの天気図とは逆の色です。

 拡大してみても、わかりにくいのですが、 本州付近は寒色=低気圧、北と南は暖色=高気圧になっています。高気圧→低気圧→高気圧とまるで串団子のような重なった構造となっていることから、長期予報では「三極(Tripole)構造」といいます。

 三極構造となったことで、上空の寒気や低気圧などの影響を受けやすかったことが大雨につながったようです。

【参考資料】

気象庁:大雨に関する東京都(小笠原諸島)気象情報(第4号)、2022年7月23日

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは128冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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