なぜバルサはV・ロッキを獲得したのか?レヴァンドフスキの代役とガビの穴を埋めるアプローチ。
バルセロナに、新たなヤングプレーヤーが到着する。
バルセロナは今夏、ビクール・ロッキの獲得を決めている。移籍金固定額3000万ユーロ(約45億円)+ボーナス3100万ユーロ(約46億円)で確保した選手が、今冬のマーケットで加入する。
■ガビの負傷と代役探し
バルセロナは、11月のインターナショナルウィークで、ガビが負傷した。ひざの前十字靭損傷で、今季絶望の見込みだ。
バルセロナはガビの代役を獲る可能性があった。ジオバニ・ロ・チェルソ(トッテナム)、パブロ・フォルナルス(ウェスト・ハム)、ピエール・エミール・ホイビュルク(トッテナム)、イドリサ・ゲイェ(エヴァートン)、アブドゥライェ・ドゥクレ(エヴァートン)、ナディーム・アミリ(レヴァークーゼン)…。複数候補が、挙げられていた。
バルセロナはガビのサラリーの80%を新加入選手に充てることが可能だった。そこで選ばれたのがV・ロッキで、半年前倒しになる形でブラジル人アタッカーの正式加入が決定している。
■レヴァンドフスキの調子
バルセロナがV・ロッキの獲得を早めたのには、理由がある。
バルセロナは今季、レヴァンドフスキの調子が上がっていない。レヴァンドフスキは、ここまで、リーガエスパニョーラ13試合で7得点。昨季、移籍一年目で得点王(34試合23得点)を獲得したポーランド代表のストライカーだが、今季は得点ペースが落ちている。
レヴァンドフスキは、35歳を迎えている。シャビ・エルナンデス監督のバルセロナにおいては、前線からのプレッシング、即時奪回、ポストワーク、裏抜けとCFに関してはタスクが多いポジションだ。ハードワークが求められるなか、レヴァンドフスキを一枚で回すというのは難しさがある。
無論、V・ロッキの得点力にも期待が懸かる。V・ロッキは今季、国内リーグで21得点を挙げている。負傷で戦列を離れた期間が2ヶ月あったが、その上で、この数字である。
■ジョアン・フェリックスの去就
もうひとつ、ポイントになるのは、ジョアン・フェリックスの去就だ。
フェリックスは今夏、アトレティコ・マドリーからバルセロナにレンタルで移籍した。今季、ここまで公式戦17試合で5得点3アシスト。ただ、先のチャンピオンズリーグのポルト戦で決定的な仕事をしており、シャビ監督の評価は高まっている。
「ジョアン・フェリックスはアトレティコ・マドリーの選手」と語るのはアトレティコのエンリケ・セレソ会長だ。
「ジョアン・フェリックスはレンタルの選手としてバルセロナでプレーしている。我々は彼の幸運を祈っている。彼はヨーロッパのベストプレーヤーの一人だ。仮に来シーズン、バルセロナが彼を欲しくないとしたら、彼はアトレティコに戻ってくる。私は彼にヨーロッパのベストプレーヤーだと思っていると伝えなければいけない。非常に簡単な問題だ」
バルセロナはジョアン・フェリックスを移籍金4000万ユーロで獲得したいと考えているようだ。それに対して、アトレティコ側は移籍金8000万ユーロでの売却を望んでいるといわれている。
バルセロナは1月以降、ジョアン・フェリックスについての交渉を本格的にスタートさせるプランだ。ただ、裏を返せば、その考えがあるからこそ、このタイミングではV・ロッキを一人獲得するに留まったと言えるだろう。
「我々はすでにロッキの獲得を決めていた。当初の予定では来年6月に加入する予定だったが、それを1月にするオプションを有していた。ガビのことがあって、我々は決断に迫られていた。シャビ監督とも話し合い、ロッキをすぐに加えるのがベストだと判断した」
「ロッキは、ライン間でのプレーが得意だ。スペースに出るのも上手い。そして、若い選手だ。ポジションを争う上で、選手が一人増える。もちろん、レヴァンドフスキの存在を忘れてはいけない。ロッキにとって、レヴァンドフスキがいるのは、学ぶために良いことだ」
これはスポーツディレクターのデコ氏の言葉だ。
ティグリーニョ(『虎』の意)の愛称で親しまれるV・ロッキの加入で、前線のポジション争いは激化するだろう。レヴァンドフスキ、フェリックス、フェラン・トーレス、ラフィーニャ、ラミン・ヤマルらが控えており、シャビ監督の選択肢は増える。
バルセロナは今季、負傷者が続出している。加えて、ガビが長期離脱を強いられた。そのような状況で、V・ロッキの早期フィットとゴール量産が、クレにポジティブなニュースとして届けられることに期待したい。