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なぜ久保建英はソシエダで活躍しているのか?来季のCL出場決定と新たな挑戦。

森田泰史スポーツライター
ドリブルする久保(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)

大きな挑戦が、彼らを待ち受けている。

レアル・ソシエダはリーガエスパニョーラ第37節、アトレティコ・マドリーと対戦。敵地ワンダ・メトロポリターノで1−2と敗れたが、他会場の結果(ビジャレアルの敗戦)により来季のチャンピオンズリーグ出場が決定した。

■充実のシーズン

「このチームが成し遂げたことはクレイジーだ。選手たちは限界というのを知らない。3シーズン連続でヨーロッパリーグに出場して、それだけでも大したものだった。しかし、今シーズン、1試合を残して勝ち点68を積み上げチャンピオンズリーグ出場を決めた。もはや評価するのが難しいくらいに素晴らしいことを達成している」

「まず、このシチュエーションを楽しむべきだ。これ以上、何かを良くするのは難しいかもしれない。だが彼らはそこにチャレンジする。大事なのは結果ではなく過程だ。シーズンを通じて、基本的に4位と3位の位置をキープしていた。カップ戦やヨーロッパリーグの試合を戦いながら、だ。そこに誇りを感じている。自分の生涯のクラブで、ホーム出身の選手がたくさんいるので、なおさらだ」

これはイマノル・アルグアシル監督の言葉である。

ソシエダはチャンピオンズリーグ出場を決めた。そして、そのチームで素晴らしい活躍を見せたのが久保建英だ。

久保は今夏、レアル・マドリーからソシエダに移籍した。移籍一年目で、リーガエスパニョーラ34試合に出場して9得点7アシストをマークした。

イマノル監督はシーズン序盤戦、【4−4−2】の2トップの一角に久保を据えた。その采配は周囲を驚かせるものだった。

開幕節のカディス戦で久保が決勝点を挙げ、方向性が定まった。あそこでゴールを決めて、自分のサッカー人生は少し変わったーー。後に、久保がそのように回想するほど、重要なゲームでありゴールだった。

アレクサンデル・イサクが移籍金7000万ユーロ(約105億円)でニューカッスルに移籍してからも状況は変わらなかった。レンタル2年目のアレクサンダー・スルロットと久保が、ソシエダの2トップを務める。それをトップ下のダビド・シルバが操る形で、ソシエダの攻撃は成り立っていった。

攻撃を好むソシエダだが、イマノル監督は守備を疎かにしなかった。前線からは久保とスルロットがボールを追う。中盤でD・シルバ、ミケル・メリーノが回収の機会をうかがい、最終ラインではイゴール・スベルディアとロビン・ル・ノルマンがCBでコンビを組んで相手のアタックを跳ね返す。また、ボランチのマルティン・スビメンディが常に目を光らせながらDF陣を助けた。

イマノル監督はシーズン途中から【4−4−2】と【4−3−3】を使い分けながら戦うようになった。久保には右WGのポジションが与えられるようになったが、チーム全体のバランスは保たれた。大崩れしないチームで、久保にも安定してボールが供給された。

また、バランスで言えば、ソシエダの均衡のとれたスカッド編成も見逃せないポイントだった。

■補強と育成のバランス

久保、スルロット、ブライス・メンデス、彼らは夏の補強で獲得された選手だ。一方で、スビメンディ、スベルディア、ル・ノルマン、ミケル・オジャルサバルらはソシエダのカンテラーノ(下部組織出身選手)である。

ソシエダは補強と自家栽培で育てた選手をうまくミックスさせて、魅力的なチームを作り上げた。それは今季の成功の大きな要因になったと言える。

「有名なスタジアムはたくさんある。僕はこれまで、いくつかのスタジアムでプレーする幸運に恵まれた」とはチャンピオンズリーグを見据えたオジャルサバルのコメントだ。

「だけど、現時点で、どのスタジアムでプレーしたいかは言えない。いまは、とにかく目標達成を喜びたいね。夢が叶った。これからは、思い切り、そこに向かうだけだ」

ソシエダは大きな目標を達成した。オジャルサバルが語るように、夢が叶った、と言うのも大袈裟ではないだろう。

だがソシエダの、久保のチャレンジは続く。更なる飛躍を期待しているのは、筆者だけではないはずだ。

スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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