Yahoo!ニュース

甲子園で決めた3年ぶりの優勝は、ウエスタン・リーグ単独トップの17度目!《阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
甲子園のスクリーンには『ウエスタン・リーグ チャンピオン2021』のイラストが。

 阪神タイガースのファームが、ウエスタン・リーグ優勝へのマジックナンバーを1として迎えた9月24日の阪神甲子園球場。9回表2死ランナーなしでオリックス・来田涼斗選手が打った飛球を、レフト・奥山皓太選手がつかんで試合終了!午後3時33分、阪神が3年ぶり17度目の優勝を決めました。

 本来なら本拠地・阪神鳴尾浜球場で組まれていたオリックス3連戦は今季最後の公式戦で、16日に甲子園へと変更されたもの。この日は1216人のお客様がスタンドで見守りましたが、優勝の瞬間にも皆さんは自席に座ったまま拍手で祝福という形。やはりこのご時世なので仕方ないですね。

 選手たちもしかり。試合が決まった時にベンチを飛び出す人はなく、いつも通り勝利の“エアタッチ”をして、そのあとグラウンドで整列しました。胴上げもありませんが、平田勝男監督自身がマイクを持ってお礼の挨拶をしています。のちほどご紹介しましょう。

 2018年に矢野燿大監督で優勝してから3年ぶりのリーグ制覇。通算17度目はリーグ最多です。これまで阪神と中日が16度、ソフトバンク(南海も含む)が13度、広島は9度、オリックス(阪急も含む)は8度という優勝回数でした。これで阪神が単独トップとなったわけですね。

 なお、きょうも甲子園でオリックス戦が行われていて、5回を終わって2対0で阪神がリードしています。俊介選手は1番レフトで先発出場(途中からライトへ)。牧丈一郎投手が5回まで2安打無失点の好投です。

 余談ですが、きょうとあすの2試合とも勝てば貯金32でシーズンを終える阪神。これまで2005年の終盤に記録した31が最多(シーズン終了時は28)だったので、これは阪神ファームとしては史上最多の“貯金額”ということになりますね。余談でした!

リーチの翌日に決めた優勝!

 では試合を振り返ります。そして平田監督の話は、試合後のスピーチとテレビインタビュー、記者取材によるものの3種類とも書かせていただきました。2010年の優勝から11年を経て、平田監督の言葉はお父さんのような…というと失礼かもしれませんが、より大きく包み込むような感じを受けたのは私だけでしょうか。ただ昔から変わらない平田語録は健在です。ぜひ堪能してください。

《ウエスタン公式戦》9月24日

 阪神-オリックス 25回戦 (甲子園)

  オリ 030 000 000 = 3

  阪神 040 100 00X = 5

◆バッテリー

 【オ】●スパークマン(2敗)(3回)-荒西(1回)-飯田(2回)-中川颯(1回)-斎藤(1回) / 松井

 【神】中田-○岩田稔(4勝1敗)-守屋-小野-斎藤-伊藤和-S湯浅(2勝1敗4S) / 長坂 

◆三塁打 オ:岡崎

◆二塁打 オ:大下

◆盗塁 神:江越(7)

◆打撃    (打-安-点/振-球/盗/失) 打率

 1]中:江越  (4-3-2 / 1-0 / 1 / 0) .254

 2]遊:山本  (3-2-1 / 1-0 / 0 / 0) .306

 3]三:板山  (4-1-1 / 1-0 / 0 / 0) .258

 4]一:小野寺 (3-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .315

 5]左:ロハス (2-0-0 / 0-2 / 0 / 0) .255

 〃左:奥山  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .294

 6]指:片山  (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .215 

 〃打指:榮枝 (1-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .264

 7]右:高山  (3-1-0 / 0-1 / 0 / 0) .204

 8]捕:長坂  (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .216

 9]二:遠藤  (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .228

◆投手     (安-振-球/失-自/防御率) 最速

 中田 3.2回 54球 (4-2-2 /3-3/ 5.81) 144

 岩田稔 1回 6球 (1-0-0 /0-0/ 1.97) 143

 守屋 0.1回 3球 (0-0-0 /0-0/ 4.73) 144

 小野  1回 12球 (1-0-0 /0-0/ 1.50) 153

 斎藤  1回 21球 (1-2-0 /0-0/ 2.72) 155

 伊藤和 1回 19球 (1-1-1 /0-0/ 2.54) 140

 湯浅  1回 11球 (0-0-0 /0-0/ 2.66) 152

      ※“球”は四球と死球の合計

《試合経過》※敬称略

 先取点はオリックスでした。1回を三者凡退で立ち上がった中田ですが、2回に4番・中川と5番・西野に連打され、犠打や四球などで2死満塁となって9番・岡崎にライトフェンス直撃のタイムリー三塁打で走者を一掃。一気に3対0とリードされました。

 しかし、ここから即反撃に転じるのが今季の阪神。その裏、高山の四球と長坂、遠藤の連打で無死満塁とし、江越が右前タイムリー!2人を還し、二盗も成功。続く山本の中前タイムリーで追いつきました。なおも無死一、三塁。板山の打席でオリックス・スパークマンの暴投があり、三塁から江越が生還して勝ち越し!

 4回には1死から江越、山本がまたしても連打で一、二塁として板山が右前タイムリー!荒西の初球を思いっきり引っ張って一、二塁間を抜いたものです。2回は4連打で3点、この回も3連打で1点。これは江越、山本、板山と1番からの3人で挙げた4打点ですね。

なお中田は3回が三者凡退で、4回にヒットと四球、暴投などで 1死一三塁とし、2死を取ったところで降板。代わった岩田は1球で片付け、5回は1安打されながらも2死を取って交代します。続く守屋は中川を右飛に仕留めて無失点。

 6回の小野、7回の斎藤ともに1安打ずつ許したものの得点は与えていません。8回の伊藤和は2死から西のへの四球と6番・大下の左翼線二塁打で二、三塁としましたが、松井は左飛で2者残塁です。

 打線は5回以降、3人ずつで攻撃を終えており、8回に1死から代打・榮枝が左中間へのヒット、続く高山の中前打、そのあと2死二、三塁とチャンスを作るも追加点はなし。

 そして9回のマウンドには湯浅が上がり、元を初球で投直、岡崎は2球で投ゴロと簡単に2死を取ります。1番・来田には8球粘られたものの、最後は左飛で試合終了!この回、ロハスに代わってレフトを守っていた奥山がウイニングボールをつかんでいます。

スピーチは平田監督

 試合が終わり、全員がグラウンドに整列したところで平田監督がマイクを持ち、挨拶をしました。さすが平田監督、お客様の反応も見ながら、こんなふうに話しています。

 「タイガースファンの皆さん、本日は観戦していただき、ありがとうございました。こうやってファームの選手たちのひたむきなプレー、どうでしたでしょうか?」

 ここで大きな拍手が起こり、少し間を取る平田監督。

 「ことしはですね、ファーム18連勝、そしてファーム優勝ということで、本当に選手たちが一生懸命、努力した結果だと思います。でも、ここにいる選手たちは誰1人、今のこの状態に満足している選手はいません。1軍は26試合を残しています。必ず、きょう皆さんがごらんになった選手たちが1軍の戦力となって優勝に貢献することを、私は確信しております。どうか皆さん、ここにいる選手たちをほめてやってください。そして、もっともっと応援してやってください!」

 拍手を受けて「ありがとうございます。やっぱりこうやって、ファンの皆さんが拍手してくれるのはうれしいもんですね。ありがとうございます!」とスタンドへお礼の言葉。

 「そして最後になりますが…おい俊介、俊介どこいった?」。突然呼ばれて戸惑う俊介選手が隣に並んだところで「クワ(桑原)は?どこ?きょうはいないか」と、相変わらず臨場感あふれる平田監督のスピーチです。

 「あした俊介と桑原が引退試合。本当にタイガースで命をかけて頑張ってくれた俊介です。そして桑原です。あしたこの2人が…残念ながらチケットは完売?俊介の人気やな。そういうところで、あしたは俊介と桑原が最後のタイガースのユニホームを着、プレーしますので、楽しみにしていただきたいと思います。スピーチはあしたに残しておきますので。本当に皆さん、きょうはありがとうございました。ありがとう!」

 俊介選手の引退試合が25日というのは、引退会見の日にも知らされていましたが、桑原謙太朗投手がいつ投げるかは聞いていなかったので、さすが平田監督らしいサービスですね。

勝ちへの執念を感じた2試合

 勝利の『六甲おろし』が終わったあと、平田監督のテレビインタビューが行われました。

Q、優勝おめでとうございます。

 「どうも、ありがとう。ありがとうございます」

Q、まずは率直な感想からお願いします。

 「やっぱりね、きのうも9回、最終回に2点のビハインドを逆転して、きょうも3点先制されましたけど、すぐ4点。やっぱりこの選手たちの勝ちたい、いや勝ちたいじゃない、勝つんだというね。勝ちたいを通り越した執念というかね。これを非常にこの2試合は感じましたね」

Q、優勝で選手にどんな言葉を?

 「これでホッとするような選手いませんよ。これから1軍がね26試合、非常に厳しい戦いをするとこなんで。そこに、この中から何人も選手たちが割って入る。それがチームの競争力につながるんでね。ホッとしている選手は誰もいませんけど、これからがまたもうひと勝負なんでね。ハッパかけますね」

Q、優勝の要因は何だと思われますか?

 「あす、あさっての2試合で終わりますけど、最後まで緊張感というか集中力というか、意識の高さというかね、こういうのを持ってくれて。各自が「1軍に行くんだ」という、1軍へ行くためには自分をどうやって磨くんだというのを見つめ直して、しっかりやってきてくれたところが非常に我々はうれしいですよね」

Q、終盤は18連勝もありました。

 「すごい!18連勝ね。あれよあれよという間に。これはなかなかできないですよ。そういうところは選手たちの意識の高さを、すごく感じたシーズンでしたね」

Q、育成をしながら、1軍で活躍する選手を生み出すという指名もありますが。

 「これはファームの場合は育成と、1軍に戦力として送り込む選手と、いろんな立場の選手がいます。そういうところで選手たちが、それぞれその立場でやってくれたというのは評価していいと思いますね」

Q、このファームの優勝が、1軍のリーグ優勝にもつながれば。

 「そういうことを願っているというか。ほんと1軍はね、毎日しびれるゲーム、胃が痛くなるゲームばかりこれから続くわけですから。そういう時に必ず、佐藤輝明もファームで経験して1軍に上がりましたし、この中でも必ず1軍の戦力となる選手が出ることを信じていますね」

Q、佐藤輝選手もウエスタンの優勝争いを経験したわけですね。

 「貢献してくれた。1試合ね(笑)、由宇で。あのホームランで1軍に昇格と決まりましたし、彼はもっともっと自信を取り戻せば間違いなく1軍で活躍できます。それを若い選手たちと一緒に知ったということが、ファームですけど、彼にとってはいい経験。必ず彼の野球人生に生きてくる10日間?12日間?だったと思いますね。僕は確信していますよ」

Q、ファームとしてももうひとつ、ファーム日本選手権という目標が。

 「できたねえ。何年か前、僕はファーム日本選手権でロッテに敗れちゃってね。また10月入っても、そういう緊張感のあるゲームでね。ピッチャーも野手も、1試合ですけど、どういうゲームをやってくれるか。また1つ僕の楽しみが増える一方で、すごくワクワクしていますね」

Q、最後に、ファンの方々へ。

 「ことしもファームの場合は無観客でね。こうやって甲子園で優勝を決める時に、コロナ禍でも多くのお客さんが来てくれて。この拍手、この空気、やっぱり違うんですよね。それを選手たちは感謝せなあかん。こういう時だからこそ、ファンの皆さんのありがたさを本当に感じていますよ、我々野球人はね。やはり、ファンあってのプロ野球だなと改めて感じています」

 インタビュー後にスチールカメラマンの方々から、小さなキラキラ光る“くす玉”を受け取った平田監督。「もう、きょうは何でもやるぞ(笑)」と左手にくす玉、右手にはおそらく奥山選手から手渡されたであろうウイニングボールを持って、笑顔の記念撮影となりました。

諦めない今季を集約した戦い

 まだ続きますよ、平田監督の談話。今度は記者による取材内容をご紹介しましょう。ここまでのコメントと内容が重なる部分もあります。ご了承ください。

Q、改めて優勝おめでとうございます

 「お、ありがとうございます。本当にね、きのうといい、きょうといい選手たちの粘り、勝ちたいというのを通り越して勝つんだという、そういう意気込みっていうか。点取られた後の4点でしょ?これは選手たちの素晴らしい集中力だな」

Q、2回はチャンスで江越大賀選手が食らいつきましたね。

 「おお、食らいついた。あれだよ!あれをやれって言うてんねん。おととい、きのうは三振ばっかりしてさ。きょうのために江越は取ってたんかな。選手たちは1軍に上がるためのきっかけっていうのをやってるのでね。ああいう球際の強さというか、執念なんだよ。そういうところで、バットを投げようが何しようが食らいついていく。ああいうヒットになるっていうのを感じてほしいね」

Q、投げるほうでは、前日と同じく無失点の継投でした。

 「まあ、(中田)賢一も頑張って先発の役割を果たしてくれて、そのあとね。ベテランの岩田(稔)がしっかり締めて、そのあとのピッチャー陣がゼロに抑えたわけなので。これは素晴らしいよね。ずっと投手陣がいい」

Q、山本泰寛選手が同点打。初回にはバントも決めていますね。

 「ヤス(山本)はもう本当にありがたいわ。バントは決める、とこでも守れる、勝負強い。そういったところでは、ファームでも若い遠藤とかいるけど、堅実な守備といい、いいお手本になってくれている。江越にしてもそうやで。チャンスがあれば、いつでも1軍の戦力になれるんでね」

Q、村上頌樹投手や小野寺暖選手ら、若手がタイトル争いを演じていることについて。

 「やっぱり1軍はピッチャーに関しては、及川(雅貴)とか小川一平を使ってくれて、すごくピッチャーの入れ替えがあった。今は浜地(真澄)が頑張ってくれているけど、ファームで成績がいい選手たちを矢野監督が使ってくれているので、すごい競争意識。打たれたらベンチに入れないんだもん、ファームのピッチャーも。そのぐらいのレベルの高さがあるというのは刺激。1軍であいつに負けない、負けてたまるかというのがあると思う。野手もそうだよ。首位打者だった島田(海吏)が今はいい仕事をして奪った。小野寺も4番で首位打者を取れるぐらいになっているし。井上広大の故障が一番痛いけど、そういうところで各選手たちが、すごく自分のレベルを上げようと今シーズンやってくれたな」

Q、ここまでの投打のMVPを挙げるとしたら誰ですか?

 「やっぱり村上は素晴らしいんじゃない?キャッチャーは引っ張ってくれた榮枝(裕貴)と長坂(拳弥)。榮枝だけじゃなくて、長坂。このピッチャー陣を引っ張ったのは長坂と榮枝だからね。長坂もいれておいてくれよ。きょうも粘り強くリードしてさ。榮枝もずっと。18連勝中も、このキャッチャー2人が非常に頑張ったと思うよ」

Q、その長坂選手が見事なブロッキングを見せていましたね。

 「拳弥もきょう気合いが入っていたよ。あと2試合を残して、こういう緊張感がある。そうやって、ひたむきにやってるとこよ。きょうもファンのお客さんへ、俊介にひとこと言わせようかと思ったけど、調子に乗りすぎたらあかんな。俺ももう10分くらいまだしゃべろうかと思ったけど。自分を止めるのに必死だよ、きょうは」

Q、印象に残っている試合は?

 「いやいや、きのうときょうだよ。歳を取っているからさ、過去のことは忘れちゃうんだよ。還暦を過ぎると。やっぱり、きのうの2点差から4点取っての逆転勝ち、きょうの3点取られてのすぐ4点で、5対3か。この2試合は最後まで諦めないという、ことしを集約したゲームじゃないかな」

Q、劣勢からの勝負強さは集中力によるものですか?

 「いや、選手たちの実力だよ。そのぐらいの実力がついてきている。それを1軍へ行ったときに、どうパフォーマンスするか。そういうところをもう一回、もっともっと自分にプレッシャーかけてやらなきゃ」

「やるからには日本一!」

Q、今季、2軍監督として大事にしてきたことは?

 「何にもしない、スタイルを変えないもん。ただフィールド内で、どうやってパフォーマンスを(するか)。自分でパフォーマンスを出せ、じゃない。出せないやつは練習するしかないねん。どうせ失敗するやろなってバントをさせて、〝ずっとできるまでやれ。それでないとプロじゃ飯食えないよ〟っていう。そういうスタイルをずっと貫き通しているんで。だから言ってるでしょ。強い選手を作るねん、強い選手を。そんなことで、へこたれてどないすんねん。ここはファームやで。そこで打ち勝つために、やっぱり種をまき、水をやり。嵐にも(耐え)。そんなもん、へこたれてるやつは終わりや。そういうとこでへこたれるやつを、育てた覚えはないもん」

Q、矢野監督からはどんな選手を送って欲しいと言われていましたか?。

 「やっぱり、矢野監督とはしょっちゅうコミュニケーション取って、井上ヘッドとも話をしてるけど。今もすごく使ってくれるでしょ?ファームで成績を残している選手を。やっぱり外国人が多いから、足と守備が効くやつ。その中でも島田みたいに、しぶとくずっと成績を上げている選手とかさ。小幡(竜平)も含めてそうやん。そういう1軍の需要にマッチしたやつ。だから、ファームで調子がよくても、足が速くて守備がいいやつが行ったり、もっともっと打力を上げなきゃいけない、とかさ。ゲームによって変わってくるんでね。そこは矢野監督と井上ヘッドと、しょっちゅう話している。外国人もそう。ファームっていうのは若い子や1軍から落ちてきた選手だけじゃない。外国人もいる」

Q、何年か先を見据えている?それとも今を見ている?

 「いやいやいや。それは俊介と、ことし入ってきた選手はまた違うし。そこは何年先ってビジョンが。ファームの場合は遠藤(成)とかは、ことし何百打席立たせて色んなポジションを守らせようとか、フロントと常に一体となって。1軍ともだけど、フロントとも」

 「投手を何球投げさせるとか。及川なんか、それがきっちりハマって去年も故障しないように10日空けよう、きょうは60球で収めようと(やっていた)。もう西純矢は大丈夫やから投げさせろとか。村上なんかキャンプは我慢させ、我慢させで、4月ぐらいから投げさせるとか。これはもう我々、現場だけでやってるわけじゃないんで。現場とフロントとのそういう共同作業なんでね。フロントがいろいろ常に育成会議をしたりしてやるんで。そこを我々現場がうまく。共同作業ですね」

Q、無観客の春季キャンプで始まったが、有観客で優勝の瞬間を迎えられた。ファンの方の存在は?

 「最後にはね、こうやってお客さんね、挨拶をしていても熱が入るやん。拍手、温かい拍手がさ。お客さんは神様ですって三波春夫さんが言ったけど、やっぱり入場料を払って見に来てくれているんだもん。だから恩返しは、ひたむきなプレー。そして勝つことがファンの方への恩返しになるし。コロナ禍で改めて感じてる。選手たちもそう。ファームの場合には若い選手に興味をもっていただければね。もっともっと興味を持っていただければ、ありがたいな」

Q、次はファームの日本選手権(宮崎)。ロッテとの戦いになりますね。

 「前もロッテに逆転負けっちゅうか、やられている。まあやるからには日本一、俺が前のときはファーム選手権で負けているんでね」

 そうなんですよ。2010年10月2日、イースタンを制したロッテと戦ったファーム日本選手権(新潟)は、いまだに忘れられない試合でした。打線が4点を先制し、しかも先発の䔥一傑投手が7回までノーヒットノーラン!…でも負けたんです。また後日、ゆっくり書かせていただきますね。

 ちなみにロッテとはファーム日本選手権で過去に3度対戦していますが、1勝2敗という成績。親子優勝した2005年(スカイマーク)と前述の2010年は負けていて、2006年(山形)は勝ちました。これもまた改めて。

 <掲載写真は筆者撮影>

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

岡本育子の最近の記事