なぜ雅子さまのアカデミックガウンは赤だったのか? 色が意味するものとは
天皇皇后両陛下のイギリスご訪問でクライマックスは、最終日にお二人にとって思い出のオックスフォード大学を再訪された時だった。
留学していた時期は違うものの、両陛下がこの大学に通われていたのは20代の時。イギリスの地で過ごした、当時の記憶が蘇られたことだろう。
中でも印象的だったのは、雅子さまに対するオックスフォード大学の「名誉法学博士号」の授与式が行われる建物に、両陛下とも赤のアカデミックガウンをまとって歩かれたお姿だった。
このガウンの赤い色には、いったいどんな意味があるのだろうか?
◆雅子さまがまとわれた赤のガウン、その意味とは…
欧米の学校では、卒業式にアカデミックガウンを着用することが伝統となっている。
昭和56年、雅子さまはベルモントハイスクールの卒業式で、白のアカデミックガウンを身に着けていらっしゃった。その4年後、ハーバード大学の卒業式で雅子さまがお召しになっていたのは、黒のアカデミックガウンだった。
三笠宮家の彬子さまは、両陛下と同じくオックスフォード大学に通われたが、博士号の学位を取得した際、着用されていたのは赤と青のガウンだった。彬子さまがこの大学で学んでいた日々を綴られた書籍のタイトルは『赤と青のガウン』であることからも、このガウンは特別なものであることが伝わってくる。
しかし、どうして同じ大学で博士号を授与されたのに、雅子さまとガウンの色が違っていたのだろうか?
オックスフォード大学では、学位の種類によりガウンの色が決まっているという。
雅子さまが授与された「Doctor of Civil Law(法学博士号)」は赤。彬子さまが授与された「Doctor of Philosophy(哲学博士号)」は赤と青、といったように、博士号でも専攻によってガウンの色が違っている。
他にも、文学博士号は赤とグレー、神学博士号は赤と黒、音楽博士号は白と赤など、それぞれに色が定められている。つまり、ガウンを見れば、一目でその人の学位の種類が分かるというわけだ。
オックスフォード大学では、すべての法学博士号取得者は赤いガウンを着ることになっており、それは名誉博士号も同じだ。
「名誉博士号」は高度な専門の研究をせずとも、社会で多大な功績があり、博士号を有するにふさわしい人物に大学から贈呈される称号であるが、通常の博士号取得者と何ら変わらない。
◆陛下も赤のガウンを着用されていた理由
雅子さまが赤いガウンをお召しになっていた理由は分かったが、もう一つ、疑問が残されている。
なぜ隣にいらっしゃった陛下も、同じく赤のアカデミックガウンを着用されていたのだろうか?
実は、陛下は皇太子だった1991年、イギリスを公式訪問された時、オックスフォード大学から名誉法学博士号を授与された。「Doctor of Civil Law(法学博士号)」なので、ガウンの色は赤だった。
雅子さまと学位の種類が同じであるため、お二人は同じ色のアカデミックガウンをお召しになっていたのだ。それにしても、お揃いの色のガウンで、微笑みを交わしながら学内を歩かれる両陛下のご様子は、仲睦まじさにあふれていらっしゃった。
陛下はオックスフォード大学総長主催の昼食会で、以下のお言葉を述べられている。
「オックスフォード大学が私と雅子に与えてくれている比類ない豊かな機会とすばらしい思い出を、これからも大事にしていきたいと思います。また、日本の若者達が、オックスフォード大学のみならず海外へ留学して広く世界に学び、私たちと同様のすばらしい経験を得られることを希望します」
◆今、オックスフォード大学で学んでいる日本人の数は?
両陛下が通われたイギリスの名門オックスフォード大学は、英国の教育誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」の2024年版世界大学ランキングで、8年連続で第1位に輝いた。ノーベル賞受賞者を数多く輩出し、名実ともに世界最高峰の大学だ。
2023年12月1日の時点で、在籍している日本人は学部生・大学院生合わせて115名。日本には1500人以上のオックスフォード大学の卒業生がおり、同窓会や交流イベントが行われているという。
オックスフォード大学で学び、世界に羽ばたく日本人がたくさん出てくることを、きっと両陛下も願われていることだろう。
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