『ブギウギ』ヒロイン幼少期を演じた“趣里似”子役の現在、高石あかりのヒロイン発表の“真裏”で見た現実
10月29日、2025年度後期のNHK連続テレビドラマ小説『ばけばけ』のヒロイン発表会見がNHK大阪放送局で開かれ、主演を高石あかり(※註1)がつとめることが発表された。同会見は『列島ニュース』(NHK)で異例となる生中継がおこなわれ、数多くのメディアでもその模様が報じられるなど、華々しい雰囲気がうかがえた。
※註1:高石あかりの「高」は正しくは「はしごだか」
『ばけばけ』の“真裏”で開かれた記者会見、集まった記者の数は4名
そんな『ばけばけ』のヒロイン発表会見と同じ時間帯。筆者は、大阪・日本橋ポルックスシアターでの“朝ドラがらみ”の出演者の取材に足を運んでいた。
そこでおこなわれていたのは、12月7日、8日に大阪・一心寺シアター倶楽で開催されるミュージカル『ネバーランド年代記―クロニクル―』の記者会見。ただこちらは、筆者含めて参加記者の数はわずか4名。スポーツ紙は全紙不在。『ばけばけ』とは比べものにならないくらいのマスコミの少なさである。そのため各記者は質問時、“単独インタビュー”のような状態で登壇者たちと話し込むことになった(以下、記述する登壇者のコメントもすべて筆者による質問とその回答である)。
同作は、ファンタジー小説を執筆中のミステリー作家・ヤマナシと、生きる希望を失っていた少女・レンの交流を描く物語。レン役でミュージカル初主演となるのが、13歳(2010年11月4日生まれ)の澤井梨丘だ。彼女の名前を聞いてピンとくる読者は、かなりの“朝ドラ好き”ではないか。
澤井梨丘は、2023年度後期放送のNHK連続テレビ小説『ブギウギ』で趣里が扮したヒロイン・花田鈴子の幼少期役をつとめた。澤井梨丘にとって『ブギウギ』は、初めてのテレビドラマへの出演となった。作中では、梅丸少女歌劇団(USK)の研究生としてがんばる鈴子の姿を表現した。
記者会見で澤井梨丘は、『ブギウギ』で自分の出演回が放送されたときの反響をこのように振り返った。
「朝ドラが始まった途端、街ですれ違う人が二度見をしてくれました。『澤井梨丘さんですか?』と声をかけてくださることもあって、すごく嬉しかったです。今でもたまに『あの子、もしかして』という声が聞こえてきます」。
『ブギウギ』出演をきっかけに決心「将来の夢は俳優」
放送時、特に話題となったのがその見た目だ。花田鈴子役の趣里と容姿がよく似ていたのだ。数百人のオーディションから大役を射止めたのも納得である。ただ『ブギウギ』の放送が終わって半年以上が過ぎ、「似ている」と言われることはなくなったそうだ。
「『ブギウギ』に出ていた頃は『似ている』とよく言われました。趣里さんに間違われたこともあったんです。間違われたときは『あ、澤井梨丘です』って説明して(笑)。私は趣里さんのことが大好きなので、『似ている』と言われるのはとても嬉しかったです。でも今は、そういう声も落ち着きました」。
趣里への思い入れは強いようで、目標とする俳優の一人だという。
「趣里さんは演技をしているときの表情などがすばらしいだけではなく、カメラがまわっていないところでの私やスタッフの方々への接し方なども尊敬できました。なによりお話をすると、笑顔になれるんです。私も、趣里さんのような人間になりたいと思いました」。
かつてはバレリーナになるのが夢だったという、澤井梨丘。しかし「『ブギウギ』への出演をきっかけに将来の夢は俳優になりました。俳優になって、また趣里さんとご一緒できるように上を目指していきたい」とはっきり口にする。
『ばけばけ』の“真裏”の記者会見で、集まった記者の数は4名。カメラは、ケーブルテレビのものが1台。お世辞にも華々しい記者会見というわけではなかった。それでも澤井梨丘が今、心がけているのは、関西を拠点にひとつひとつの出演作で与えられた役割を全うすること。
ちなみに記者会見冒頭では、舞台のデモンストレーションを鑑賞することもできたが、澤井梨丘はやはり存在感が際立って見えた。さまざまな作品に出演している彼女の未来像が浮かんだ。
「『ネバーランド年代記』の脚本を読んだときの感動をみなさんに舞台でお伝えするため、日々、お稽古をがんばっています」と話す澤井梨丘。これからいろんな経験を積み重ね、いつかまた朝ドラの舞台にも帰ってくることだろう。