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鹿島失速の理由は左右のバランスにあり

杉山茂樹スポーツライター
内に入りすぎる傾向が目立つレアンドロ(鹿島)(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

 残り4試合で鹿島と川崎の勝ち点差は2。前節、鹿島が横浜に敗れ、川崎が広島に勝利したため、その差はグッと縮まった。この流れで行けば、逆転劇が起きる可能性はかなり高いと見る。

 川崎は負ける気配がない。勢いがある。原動力は小林悠だ。前にも述べたが、この選手、シューターとしてのレベルをワンランク上げた。一皮剥けた感がある。

 逆に鹿島は、いい流れの中にはいない。前々節の広島戦も、試合には2−0で勝利したが、内容的には苦戦だった。試合毎に少しずつ悪くなっているその流れを、早急に断ちきらないと優勝は見えてこない。

 何がどう悪くなってきたかと言えば、攻撃が真ん中に偏り始めているのだ。右と左で言えば、左からが少ない。左はサイドバック山本脩人1人に頼る状態だ。その前方にいるはずのレアンドロが、早い段階から中で構えているので、左サイドの深い位置にボールが運ばれることは滅多にない。左サイドは深みのない浅い攻撃を強いられている。

 中村充孝がサイドハーフを務める右についても、同じことが言える。だが、こちらは後半の途中、中村に代わり本来右サイドバックの伊東幸敏を投入することが、常套手段になっているので、左に比べればまだマシだ。対策は講じられているが、左には打つ手がない。90分を通してほぼ1人でカバーする山本に、ゴールライン際までの侵入することを求めれば、後半のなかばには、体力の限界が訪れる。

 想起するのは、ザックジャパンだ。4−2−3−1の3の左を任されていた香川真司が、その8割方の時間、真ん中で構えたため、左サイドからの攻撃はサイドバック長友佑都1人になった。人数が足りないため、プレスが掛からず穴となり、コートジボワール戦では、そこを狙われ2ゴールを奪われた。コロンビア戦も、55対45とボール支配率で上回ったが、遅攻で真ん中を突き、そこで奪われ反転速攻を仕掛けられ、失点の山を築いた。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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